「プレバト!!」で披露された俳優 的場浩司の全俳句一覧です。
特待生5級 的場浩司(まとばこうじ) 合計12句
成績(2023年5月11日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ4回、
凡人3回、
才能ナシ1回
<特待生時代>
第6回金秋戦予選C5位(最下位)
第7回春光戦予選B5位(最下位)、浜田杯5位ふるさと戦(写真俳句)で
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人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 凡人 | 紅葉道大権現も酔いしれる |
2 | 凡人 | 梅みては亡き祖母偲ぶ花の名に |
3 | 才能ナシ | 太宰府や梅の枝(え)ゆらすホーホケキョ |
4 | 才能アリ | 渋滞の窓コツリ京のどんぐりか |
5 | 才能アリ | 職質をするもされるも着膨れて |
6 | 凡人 | 靴の中ギラリちび蜘蛛我が家ぞ |
| 炎帝⑤17位 ※順位のみ発表 | 殺陣終えて息荒く脱ぐ汗のシャツ |
7 | 才能アリ | 老犬や腹見せ眠る薄暑光 |
8 | 才能アリ | アクセルを開くや鉄馬月に吠え |
9 | 金秋⑥予選C5位 | 銀杏を拾いし背でまあだだよ |
10 | ふるさと戦(茨城)3位 | 秋暁や湖に童話の一頁 |
11 | 春光⑦予選B5位 | 校舎裏抱きし犬の目春の月 |
12 | 浜田杯5位 | 猛る友抱くや白雨のアスファルト |
▼人物紹介「プレバト!!」の番組初期からコンスタントに挑戦する俳優で埼玉県上尾市出身。1988年「首都高速トライアル」でデビューし、現在は幅広い役柄で活躍している。
句の特徴は実体験を中心に詠む表現力と独自の発想力。当初は発想が平凡で失敗する例が多かったが、舞台や撮影での実体験を詠んだ句で成功例が見られる。
2連続凡人が続き、3回目の挑戦で「夏井先生の著書をしっかりと立ち読みしてきた」と少しでも勉強したことを明かすも才能ナシに転落。この失敗で「創意工夫が一切ない」と先生に言われ、滅茶苦茶落ち込んだことを明かし、「俳句は嫌だと思ったがある日気づいた。夏井先生との感性がズレてただけだ」と開き直るが、「もう一度俳句の道を志そうかと。今回、俺に密着してたら滅茶苦茶良いVTR撮れたよ」と強気の宣言が功を奏し、4回目で才能アリを獲得。本人も目を丸くして仰天した。
そして、才能アリ獲得後、街を歩くとスラスラと俳句を書くようになり、俳句が好きになったと語った回で、映画「ビー・バップ・ハイスクール」のヤンキー役だった当時、職務質問を受けた経験を詠んだ句が見事に初の添削なしとなり、一挙に特待生候補の期待値が上昇。さらに、この句が石寒太氏編著の歳時記の例句に掲載される快挙に本人も仰天。ミスター歳時記と紹介されるまでになった。
その後、一度凡人を挟むも炎帝戦でも非特待生ながら成果を見せ、さらに才能アリを連続して獲得。夏井先生から「この人はやっていける」と太鼓判を押され、番組34人目の特待生に認定された。2014年11月の初登場から実に7年9か月を経ての特待生認定は、この時点において番組史上最長記録である。
その後のタイトル戦でも2回連続で予選最下位に沈んでいたが、2023年5月の浜田杯では20名中5位に食い込む活躍を見せ、周囲を驚かせた。
●[1] @14/11/13◆お題:紅葉 日光いろは坂
『紅葉道大権現も酔いしれる』凡人2位55点
添削後
『大権現酔いしれ賜う紅葉山』
季語は「紅葉」。先生は他の凡人の句とは違う発想を評価したいと高評価。俳句では「も」が散文的になるため敬遠されると解説し、添削例を示した(出演動画不明)。
●[2] @16/02/18◆お題:梅の湯島天神
『梅みては亡き祖母偲ぶ花の名に』凡人3位53点
添削後
『亡き祖母の名に梅の花香りけり』
季語は「梅」。亡き祖母の名が「梅子」のため、毎年梅を見上げると優しい祖母を思い出したという句。先生は亡き祖母をストレートに慕う気持ちは伝わると褒めるも、「梅」とあれば「みては」は当然で、「亡き」とあれば「偲ぶ」は不要だと言葉の重複を指摘。語順も祖母の思いから始めるべきで、余った音数で季語を映像として描写すべきと指南し、「亡き祖母の名に梅の花」で作者の語った情報量がほぼ入ると解説。梅の特徴として「香りけり」と嗅覚を呼び起こす情報を入れ、より情緒のある添削をした。
●[3] @17/02/09◆お題:梅と太宰府天満宮
『太宰府や梅の枝(え)ゆらすホーホケキョ』才能ナシ4位30点
添削後
『太宰府や飛べぬ飛梅ホーホケキョ』
季語は「梅」。春の訪れで梅が沢山咲き、鶯も来る麗かな春を表現した。先生は、兼題である大宰府天満宮の売店の隅っこで埃をかぶっている昔の絵葉書にある情景をそのまま描写した句で、己の創意工夫は微塵もないと酷評する。仰天して「メッチャ考えた」と返す本人に「だから才能がない」とけしかける。凡人の定番である「大宰府」「梅」「ホーホケキョ」の3点セットの発想を活かすならと提案する先生は、大宰府に何の梅があるかと本人に問うも、「紅梅」という答えに失笑し「聞いた私が間違いだ」と反省。菅原道真と共に太宰府へ飛んできた神木「飛梅(とびうめ)」を置き、「飛べぬ」で面白さをさらに演出。飛べるウグイスと飛べない梅の対比を醸し出し、各言葉を活かして季語を主役にするよう添削。「どうせなら破れかぶれでこれぐらいやって」と発想を飛ばした言葉選びをするように忠告した。
●[4] @18/11/08◆お題:
京都の紅葉と渋滞『渋滞の窓コツリ京のどんぐりか』才能アリ1位70点
添削後
『渋滞の窓打つ京のどんぐりか』
季語は「団栗(どんぐり)」。ドラマの撮影でよく訪れる京都は、車が渋滞することが多い。イライラしていた時に何かが落ちてフロントガラスにコツンと当たり、それが団栗とわかると秋の終わりを感じる気持ちになったのをストレートに表現した。特待生中田は「実体験の句。こういう俳句は好き」と評す。先生は「渋滞の窓」で状況や映像が語られ、「コツリ」の小さな謎も良く、「京」の地名の後の最後の季語で「落ちる」と書かずとも状況が判明する展開を絶賛。中七が8音の字余りが悩ましく、可愛らしい「コツリ」は、動詞「打つ」で映像をより鮮明に出来ると解説。「打つ」により最後の疑問の「か」が活き、地面に落ちて見えないのに団栗に違いないのではないかと読める添削後なら、点数はさらに伸びたと語った。本人は「浜田さん、先生のおっしゃる通りですよ」と納得した。
●[5] @20/01/23◆お題:
冬の新宿駅『職質をするもされるも着膨れて』才能アリ1位72点
添削なし
季語は「着膨れ」。自身が不良役で出演した「ビー・バップ・ハイスクール」の映画撮影の稽古の帰りに、新宿で約7割の確率で職務質問を受けた実体験を詠んだという一句。「お前何なんだ?」「役者です」「嘘つけ!」と警官と会話する心境を込めた。村上名人は「面白いし、シニカルで詩になっているんだよね、ちゃんと」と10段の権威を行使してタメ口を交える。先生は「職質」の一単語による言葉の経済効率がとても良いと褒め、警官ともう1人がいる状況が立ち上がり、見事だと称賛する。下五の季語で、警官はパトロールの厚手のジャケットを着こみ、片方の人物も着膨れていると読者の脳裏に浮かぶ効果を生むと解説。さらに、最後を「て」と言い切らずに「…」と余白を作り、この後連行されるのか、人違いと謝られるか、脅されて解放されるかなど状況変化も読者に任されるとし、飄々とした述べ方に味わいがあると語った。実体験ほど強いものはないと総括し、添削なしを認めた。
●[6] @21/05/13◆お題:
シューズ売り場『靴の中ギラリちび蜘蛛我が家ぞ』凡人4位60点
添削後
『新品の靴よりちび蜘蛛のギラリ』
季語は「蜘蛛」。買ったばかりの靴を玄関で履こうとしたら、中のソールに小さい蜘蛛がずっと逃げずにこちらを見ており、「この蜘蛛のオウチなんだな」と思った実体験と語る一句。梅沢名人は下五が蛇足だと指摘。先生は、小さな発見を切り取る姿勢を褒めるも、惜しい点が御大の言う「我が家ぞ」の擬人化だと語る。特に「ギラリ」の表現だけで17音を満たすには十分な材料が揃っていると解説し、語った「新しい」と書く方が映像が見えると指南。「新品の」から始め、「中」を消し、「靴よりちび蜘蛛のギラリ」と添削。最後に「ギラリ」とした方が印象が深く、描写の言葉になると述べた。本人は「いや~、大変勉強になりますね」と納得するが、「凄くないですか?車やバイクの部品は全部知ってますよ。パクってきたからね」と浜田がかつてのヤンキーぶりをいじると「浜田さん。ぶっ飛ばすよ」と返してしまった。
●[7] @22/05/26◆お題:
待て(犬の写真)『老犬や腹見せ眠る薄暑光』才能アリ1位70点
添削後
『老犬は眠る薄暑の腹さらし』
季語「薄暑光」は初夏の太陽の光。子どもの頃に飼っていた秋田犬が、老齢になるとお腹を見せて寝るようになり、初夏の陽を浴びて寝ている姿を想像して詠んだと語った。横尾名人が季語を入れずに「や」を用いる型、梅沢名人が映像描写力をそれぞれ称賛。先生も、季語ではない名詞を「や」で詠嘆し、後半に季語を置く型を無難にこなした点を勉強の成果だと褒める。語ったようにユーモラスな目線で作者が老犬を見ている描写なら原句でも良いが、特待生クラスに引き上げるためのアドバイスとして、「見せ眠る」に工夫の余地がある点を指摘する。老犬の哀れで衰えた感じを表現する場合は型を変えて、「薄暑の腹さらし」を後半に置いて添削。このような表現が出来るようになれば、特待生に定着できると忠告した。本人は謙虚に「頑張ります」と返した。
●[8] @22/08/18◆お題:
サービスエリア『アクセルを開くや鉄馬月に吠え』才能アリ1位▸5級73点
添削なし
季語は「月」。若い頃に単車に乗っていた時の思い出を詠んだという本人。「鉄馬」に風鈴の別名の意味があるが、単車乗りならバイクを「鉄の馬」などと呼ぶことがあり、みんなで夏の夜に集まってツーリングに行った際のことだと語ったが、浜田からヤンキーの所作を怪しまれてお互いに口論に。ミッツ名人は「けたたましい音が聞こえる」、志らく名人は「"バイク"ではなく"鉄馬"で冷たさが示され、『月』と呼応した」と両者称賛。先生は、表現したいことが表現したいように書けている句だと褒める。問題は「鉄馬」の意味が複数ある点だが、バイクだと思わせる仕掛けが「アクセルを開くや」にあり、強調の「や」でアクセルをふかしている感じがあると解説。「月に吠え」もカッコよく、萩原朔太郎の詩集『月に吠える』を思わせて、一瞬知性が匂うと述べ、浜田が疑い出す。先生はさらに、季語「月」に対する「鉄馬」の冷たい感触も良く、鉄馬の勇ましさ・鉄の感触・馬に跨る感じが全て入り、見事なものだと絶賛した。最後に「ここまで出来るようになったら特待生になってもやっていける」と特待生認定を認めた。本人は「マジっすか?マジっすか?」と仰天する様子を見せた。
[ここから特待生として査定]●[9] @22/09/15◆お題:
食欲の秋②『銀杏を拾いし背(せな)でまあだだよ』第6回 金秋戦予選C5位(最下位・予選敗退)添削後
『銀杏拾う「まあだだよ」の声かたわらに』
季語は「銀杏(ぎんなん)」。自分が銀杏を拾う最中に、近くでかくれんぼをする子の声が「まあだだよ」と聞こえた場面をそのまま切り取ったと語った。梅沢名人は「この書き方では背中に背負った子が『まあだだよ』と言っている」と指摘。先生は梅沢名人に同調する。「し」が連体形で、「背」を修飾するため、銀杏を拾った背中におんぶしている子が「まあだだよ」と言ってるように誤読されてしまい、「もっと銀杏獲れ」と子に言われているように思われると指摘。誤読を防ぐために「背で」を消し、「銀杏拾う」でカットを切り替えて台詞に鍵括弧をつけることを提案。声が「かたわらに」聞こえることを示して背中と切り離す形に添削した。最初のタイトル戦は不発ながら、本人は添削に深く頷いていた。
●[10] @22/09/22◆お題:
[霞ヶ浦の鉄道]北浦橋梁を走る列車(茨城県)『秋暁や湖に童話の一頁』ふるさと戦①(茨城)3位★添削後
『秋暁の湖や童話の一頁』
『鏡の国へと秋暁の一頁』
季語「秋暁」は空気が澄んで少し冷えを感じるようになる夜明けのこと。逆さ富士のような兼題写真から「不思議の国のアリス」が頭に浮かび、童話の挿絵みたいな感じがすると思ってひらめいたと語った。梅沢名人は「良い句だが、破れた童話の本の一頁が湖に浮かぶと読む人もいる」と指摘。先生は御大の指摘の原因が助詞「に」にあり、少し散文的なのが引っ掛かるため、「秋暁の湖や」と詠嘆すれば、"なんと美しい湖か"となって誤読を防げると指南する。ここで写真俳句コンテストの審査員を務めることを語る先生は、"写真俳句"では写真に写る「湖」を句に書くこと自体が既に勿体ないと指摘し、ルールを知った永世名人らも狼狽える。より良い取り合わせをどうやって実現するかがポイントで、語った「童話」が良い感覚だと褒める。「鏡の国のアリス」から「鏡の国へと」とし、「秋暁の一頁」と展開。"奥にある鏡の国の一頁を今一緒に開いてみましょう"という作品になり、写真俳句として成立すると忠告する。3位ながら感覚を褒められた本人は「何だろう。やべぇ俺、先生のこと好きになりそう」と嬉しそうに述べた。
●[11] @23/03/16◆お題:
引越し[トラックの荷台]『校舎裏抱きし犬の目春の月』第7回春光戦予選B5位(最下位)添削後
『抱く犬の目よ春月の校舎裏』
季語は「春の月」。小学生の時に拾った犬を持ち帰ったら、親に「犬を返してこい」と言われたため、家出して学校で犬と一緒に隠れたという本人。「犬と一緒に暮らそう」と思ったのが"引っ越し"に近いと思って書いたと語った。ジュニア名人は「ワード選びが良いが、カメラワークが慌ただしい」と指摘し、藤本名人は「的場さんが"校舎裏"を使うとボコボコにされそう」と笑いを取る。先生は、兼題から"プチ家出"への発想の広げ方のチャレンジで、素材も悪くないと褒める。ただ、カメラワークで損をしており、抱いている犬の目から書くべきと指摘。さらに、「し」が基本的には過去を意味するが、ここでは「抱く犬の」と今抱いている方がリアリティーがあると述べ、添削を始める。「目よ」と軽く詠嘆し、「春月(しゅんげつ)の校舎裏」と繋げた。カメラワークの問題もシンプルになり、抱いている犬の目に寄って、カットが切り替わって春の月の校舎裏に子と犬がいる光景になると述べた。悔しがる本人は「夏にはあの看板(→優勝者の肖像画)に載りますよ」といかにも悪い態度で抱負を述べた。
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