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【冬麗戦決勝】20200103 プレバト!!俳句紹介【お鍋】

2020年1月3日放送 プレバト!! 俳句冬麗戦決勝結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし優秀者のみが参加を許される群雄割拠な争いの俳句タイトル戦・決勝戦。
冬の季節に行われる第3回冬麗戦2020・決勝で名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
冬麗戦予選の詳細はこちら。
▼過去大会は以下のページから。
第2回 俳桜戦 / 炎帝戦予選炎帝戦決勝 / 金秋戦予選金秋戦決勝 / 冬麗戦予選冬麗戦決勝
第3回 
春光戦予選春光戦決勝 / 炎帝戦予選炎帝戦決勝 / 金秋戦予選金秋戦決勝 / 冬麗戦予選

※タイトル戦データはこちらのまとめ記事も

▲ようやく更新できました。お待たせいたしました。


[挑戦者]<名人10段★2>東国原英夫[56],<名人10段>藤本敏史(FUJIWARA)[53],<名人4段>横尾渉(Kis-My-Ft2)[36],<名人3段>中田喜子[35],<名人初段>千原ジュニア[45],<4級>皆藤愛子(0)[13],<名人10段★2>村上健志(フルーツポンチ)[42],<名人10段★2>梅沢富美男(0)[87],<5級>北山宏光(Kis-My-Ft2)[26] ※○△×は過去の成績,[数字]は挑戦回数
※数字は挑戦回数

名人10段★2梅沢、東国原、村上
名人10段藤本
名人4段横尾
名人3段中田
名人初段ジュニア
4級皆藤
5級北山


◎今回のタイトル戦・ルール
・優勝者にはトロフィーの他、副賞として賞金30万円(毎日放送社長賞)が与えられる
・決勝で上位に入ると、次回のタイトル戦の決勝シード権(※)が得られる
※今回は番組最後にシード権を得る人数を発表(順位付けの段階で先生が決定)
※炎帝戦までは無条件で名人に、前回金秋戦は決勝上位5名に与えられていた

⇒シード権獲得は【 4 】名でした!

●お題:お鍋

※順位クリックでリンク内移動します。
1位横尾渉(Kis-My-Ft2)名人4段庖丁始都心は計画運休ほうちょうはじめとしんはけいかくうんきゅう
2位東国原英夫名人10段★2湯豆腐の湯気アインシュタインの舌ゆどうふのゆげあいんしゅたいんのした
3位村上健志(フルーツポンチ)名人10段★2双六の駒にポン酢の蓋のありすごろくのこまにぽんずのふたのあり
4位梅沢富美男名人10段★2湯豆腐にすの立ちはじむ四方の春ゆどうふにすのたちはじむよものはる
5位藤本敏史(FUJIWARA)名人10段スイミーの音読二回おでん炊くすいみーのおんどくにかいおでんたく
6位北山宏光(Kis-My-Ft2)5級湯豆腐やくるりくるりと昆布回るゆどうふやくるりくるりとこぶまわる
7位千原ジュニア名人初段風邪の孫祖母の御飯を平らげるかぜのまごそぼのごはんをたいらげる
8位皆藤愛子4級ほろ酔いの帰路すき焼きの仄かな香ほろよいのきろすきやきのほのかなか
最下位中田喜子名人3段祝ひ歌山川響くみかん鍋いわいうたさんせんひびくみかんなべ

[順位発表順] 2位→3位→8位→5位→6位→4位→7位→最下位→1位 
→編集後記

◆発表待ちシートにて

***

●それでは順位別にみていきます。

1位◆『庖丁始 都心は計画運休 横尾渉(Kis-My-Ft2)
◎ギクシャクするリズムだが分析して評価が上がる。助詞「は」は外せない。最後1音入るが季語を大切にした。

東国原名人 なるほど。
梅沢名人 うん~。

【本人談】
都心にも雪が降り、前もっての計画運休で電車が動かない。予定がなくなったため「何をやろうか」と思ったとき、久しぶりに料理でもしようかと包丁をとったいう句。

東国原名人 これがチャレンジですよ。彼は(今まで)ずっと定型で来ていた。それでも2位・3位をずーっとチャンピオン戦(→タイトル戦)で来ていた。もう一歩だったと思っていたら、いきなりチャレンジとして持ってきた。
梅沢名人 いやいや、本当にそう思いますね。素晴らしいチャンピオンです。
本人 ありがとうございます。
千賀名人 横尾さんが頑張っている姿をずっと見てきたし、一番僕らのグループの中で勉強熱心だから、こうやって結果が出て本当に…(急に感極まって泣き顔になる)、本当に嬉しい!
一同 (笑)
藤本名人 急に。
北山:あいつ、情緒がおかしいな。
藤本名人 おかしいよね。
梅沢名人 最後、持ってくなぁ、お前。

夏井先生 
最初は、リズムがギクシャクしているため高い評価ではなかった。丁寧に分析すると評価が上がるタイプの句。
庖丁始(ほうちょうはじめ)」と7音の季語から始めた場合、定石では後半を七五で整えるが、無視している。
「都心計画運休」なら調べが入るものの、助詞「」がとても大事な1音。
自分の住んでいる地域は電車が動くが、都心”は”大晦日から大雪で計画運休すると予めニュースで知っている。「は」は絶対に外せない。この段階で七七五を潔く諦めた。
下五は「す」や「日」を入れると、後半のフレーズに比重が重くなり、肝心の季語とのバランスが崩れる
「は」があるおかげで、”都心の計画運休の報道で、自分は初詣にも行けず、福袋も買えないから、今日は台所で庖丁始めをする”という気分があり、比重が季語に少し寄る。
微妙な言葉のバランスを作者が色々考えて、この形で良いと決めたのではないかという感触があった。
送り仮名の有無は作者の表現として選んでも良い
俳句は一行で書くため、送り仮名「め」を入れた方が漢字続きにならず句の姿が綺麗になる
2位の東国原名人の句との違いは、肝心の季語を活かす心遣いの差で、1位は季語を主役にできている。2位の句は「湯豆腐」が「アインシュタイン」に微量負けてしまう。
今回の1位・2位は破調だが、俳句は定型が安定する
是非とも、五七五の調べで詠む王道の勉強をしてくれると嬉しい。
(優勝が)若い横尾さんだったと今嬉しく思う。

本人 ありがとうございます。

添削後
庖丁始 都心は計画運休

2位◆『湯豆腐の湯気 アインシュタインの舌 東国原英夫
◎無関係な物の取り合せで火花を散らした。季語と宇宙の奥深さを重ねたが季語が弱い。対句表現はリズミカル。

※鍋の写真から天才物理学者アインシュタインまで発想を飛ばした一句

一同 うわ~、すごい。
浜田 はっはっはっ。

【本人談】
御大みたいに置きにいってない。いつでも勝負。宇宙の真理を追究したアインシュタインの舌に湯豆腐の湯気を当てたら、どんな分析・発見をするのかという疑問を読者に投げかけたかった。

岩永 「アインシュタイン」って文字数も長いですし、さらにその舌で湯気を分析するのが素晴らしい発想でビックリしました。

夏井先生 
湯豆腐の昆布」「アインシュタインの舌」という2つの物がなぜ17音に取り合わせられるか分からない読者も当然出てくると思う。
取り合わせ(二物衝突)とは、完全に無関係な2つの言葉を一句にぶつけて言葉の火花を飛ばす手法。よく思い切ってやった。
「湯豆腐」はシンプルな食べ物だが、その分奥も深い
対して、「アインシュタイン」は物理・宇宙を奥深く考えた。そのようなイメージの言葉をぶつけてくる。
良い言葉の火花を散っている
五七五は裏切っているが「○○の○○」が2つある『対句表現』をキッチリと持ってきて、リズムの問題もしっかり収めている
【対句】
文の構造が同じものを並べ対比・強調の効果を与える手法

ここら辺はさすが。個人的にこの挑戦は大好き。この句もそういう意味で大きく評価したい。

[ここがポイント]
言葉の取り合わせ
※温かな「湯豆腐」と物理学者「アインシュタイン」の対比。完全に無関係である2つの言葉をわずか17音しかない俳句に取り合わせることで、独自の世界が表現できるのです。

添削なし

3位◆『双六の 駒にポン酢の 蓋のあり 村上健志(フルーツポンチ)
◎あるある感が上手いが類想的。双六の駒にされる蓋や背景の鍋も見える。作者と双六との距離感を微調整可。

※季語は「双六(すごろく)」。新年の季語。

浜田 さあ、これどういう句ですか?
本人 そのままなんですけど~。
浜田 じゃあ、やめときましょう。
一同 (笑)
本人 いやいや。違う違う。そうですけど、この17音だけに凄い物語が含まれてるじゃないですか。

【本人談】
正月に鍋ものをしていた親戚が集まって双六をしたが、駒が足りずに開封したポン酢の蓋で代用したという。これだけなのに物語がある。村上だなっていう。

藤本名人 良いなぁ~これ。「ポン酢」で鍋やっていると分かりますし。これね。
梅沢名人 小さい。
浜田 ほかに何かご意見あられるんだったら。
梅沢名人 ホントに俳句がもう、目の距離感30cmばっかりだもの。小さい俳句を。
ジュニア名人 いいじゃないですか。
梅沢名人 こんな決勝の大きな舞台でこういう小さい句しか詠めない。3位になっただけでもラッキーだと思わないと。
本人 さっき…なんかお茶のやつとかやってましたよね。ちっちゃな。
一同 (笑)
→梅沢名人は「初旅やほのかに匂ふポリ茶瓶」と詠んで予選を3位で通過した。
ジュニア名人 いいぞ!村上!やってた、やってた。
本人 小さかったですよ、「ポリ茶瓶」。

夏井先生 
とても良いあるある感
双六」は一人でやるわけではない。新年の季語で複数の親類・家族が集まっていると伝わる。
中七以降が良い。「ポン酢の蓋」をポンと置いてある。物も見えるし、「ポン酢」で皆で鍋をしていたのかもしれない
「のあり」の解釈は、作者は双六の遊びに参加せず、距離を置いて”あ、蓋なんか使ってる”という印象。
仮に自身が蓋を駒にして遊んでいるならば、もう少し近い距離感にした方が良い。「蓋の白」など「あり」を変えることが出来る。
今の話ではどちらか分からなかったため、敢えて直さない。
切り取り方はやはり巧い。今どきの人は双六で遊ばないかもしれない。
我々の世代は子どもの双六遊びは当たり前のようにあった。双六の駒が足りないから、別の物で代用するという発想はないこともない。「マッチ箱」「飴玉」など、発想がありがちなのが勿体ない
「ポン酢の蓋」の発想は良かった。

本人 くぅ~。

添削なし
(作者の距離感が近い場合)双六の 駒にポン酢の 蓋の

4位◆『湯豆腐に すの立ちはじむ 四方の春 梅沢富美男
◎季重なりが巧くマイナスの描写を新年の季語が包む。切れが勿体ないが添削できず作者に同情。1位になれた。

※「すが立つ」は豆腐に熱を加えすぎてスポンジ状に細かい穴が開くこと。
※「四方(よも)の春」は新春の気配に満ち溢れる様子を指す新年の季語。

【本人談】
お分かりと思うが「湯豆腐」と「四方の春」が季語。「四方の春」は膨大なお正月の季語のため、敢えてサラッとした季語「湯豆腐」を使った。皆でワイワイやりながら飲むうちに豆腐に”す”が入るが、その時間までお酒を飲んだり話したりで湯豆腐を楽しんでいる。季語が2つ入っているから、どうのこうのではない。季語が2つのチャレンジをした。

東国原名人 僕は、御大にしては置きにきている。
一同 (笑)
本人 タブーに対してチャレンジしたんですよ。
東国原名人 確かに。
本人 視聴者も(優勝しての)30万円待ってたんだ!
一同 (笑)
東国原名人 自分で払いなよ。
藤本名人 もう、そうですよ。ポケットマネーで。
本人 何が?
藤本名人 お小遣いから30万円。
本人 優勝しての30万円に価値があるだろ!
藤本名人 視聴者は期待してるんですよ、30万を。出してもらっていいですか、30万。
本人 ど…。
一同 (笑)
藤本名人 出しましょうよ、ね。お正月やし。

夏井先生 
季重なりの挑戦は私は大きく評価している。冬の季語「湯豆腐」と新年の季語「四方の春」
中七「すの立ち」は分かりますよね。会場のお嬢さん方。
→弱い反応に苦い顔になる先生
夏井先生 えっ?分かってないのか?
藤本名人 いやみんな知らんと思う。
夏井先生 えっ? そっちに今驚いた。
本人 知らない?
夏井先生 お豆腐をずっと炊いてたら、間がスカスカになる。な、おっちゃん?
本人 そうだよ。
夏井先生 それが分からんやつがそこら中にいっぱいおるんよ、これ。
本人 アンタが俺を中途半端にするからこんなことになるんだよ。
夏井先生 何を言ってるんですか。
浜田 それは違うでしょ。
夏井先生 これは一つ押さえてほしい。なにが(観客席に)「へぇ~」だ。
非常に面白いのが、「湯豆腐」に対して「すの立ちはじむ」とマイナスの表現をして、最後に新年のめでたい季語を持ってきた。そこら辺は上手くやってる。
決して置きに来たとは思ってない。1点だけ。
本人 (不機嫌に)何?
夏井先生 今から言うんだよ。
「立ちはじ」が終止形のため意味が切れる。「四方の春」が付け足しだと思われる点が問題
おっちゃんが言いたいのは、湯豆腐にすの立ち始めたような賑やかな温かい四方の春ですと。続けていきたいはず。
本人 そうそう。
夏井先生 分かるのよ、私。
となると「立ちはじむる」と連体形にしないといけないが、「る」を入れたら中八になる
→文法ミスを指摘され、頭を抱える本人
夏井先生 
作者に凄く同情した。この内容なら1位になれる内容なのに。でも、直しようもないと思っていた。
今、語った「」を入れると良い感じになる。
「はじむ」を消す代わりに、「四方の春」の後「の酒」を入れたらどうか。
ジュニア名人 つながった。
→頭を抱え込む本人
夏井先生 こうしたら、ほのほのとめでたく酒の香りもする
これなら1位だったかもしれない。
本人 何でそんなに上手に直すの?
一同 (笑)
中田名人 ブラボー。
藤本名人 先生なんですから。
浜田 すごいな今の。
東国原名人 うわ、気持ちいいな今の。
本人 もうホントに…裏番組に出てやるからな!

添削後
湯豆腐に すの立ち四方の 春

5位◆『スイミーの 音読二回 おでん炊く 藤本敏史(FUJIWARA)
◎取り合わせは素直で「お」の韻も良い。上五の教材の選択が損で低学年と分かるが季語に対して語感が冷たい。
【スイミー】レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 発行 好学社
1963年出版。小魚たちが大活躍する子供向けの絵本。


【本人談】
自分が小学生の時に、親の前で『スイミー』を2回音読する国語の宿題が出た。母が台所で夕飯のおでんの支度をする後ろで「おかん、聞いてて~」と言って音読する思い出を詠んだ。関西では「煮る」ではなく「炊く」と言っていたので、「おでん炊く」とした。

千賀名人 「炊く」というのが、どっちでしょうね。自分が炊いてるのか、誰かに炊いてもらっているのか。目線がもうちょっとしっかりしてたら、上の方(上位)に行けたんじゃないかな?
一同 (笑)
藤本名人 えぇ~っと、千賀ちゃん…予選最下位だった記憶があるんですけど、どうなんでしょうかね。
梅沢名人 予選最下位の人が言った通りですよ。誰がおでんを炊いてるのか、何でおでんを炊くのか。
本人 でも「スイミーの音読二回」っていったら絶対子どもやと思うじゃないですか。子どもがおでんを炊くようなこと…。
梅沢名人 もちろん、お父さんだっておでん作ることあるでしょ、おばあちゃんだってあるじゃないの。
本人 おばあちゃんでも良いんです、だから。
梅沢名人 何が?
本人 後ろで親とかに…。
梅沢名人 どこに後ろに? 後ろも前もいるなんて感じられないでしょうよ。だから最下位の人に言われるんだよ。
一同 (笑)
本人 うるさいなあ。

夏井先生 下五の「炊く」には何の問題もない。全く問題ない。
→梅沢名人の顔が無表情になる
本人 ちょっと謝って。
千賀名人 問題があると思いますよ、先生。
夏井先生 問題あると思うから最下位だと思う。
一同 (笑)
千賀名人 すいませんでした。
夏井先生 
下五「炊く」は、むしろ地域性がほのぼのと見えてくる。何の問題もない。
写真の鍋の中に何が入っているのかという発想で来た。おでんではないかと。
自分の体験からおでんを炊いている時に音読の宿題をしたなと。非常に素直に取り合わせている
作品としてはきちんと出来ている。
「音読」「おでん」と「お」の韻も揃えている
本人 気づいてくれた。
梅沢名人 偶然じゃない?
夏井先生 偶然かもしれないが、俳句は結果論。
本人 偶然のようで必然です。
夏井先生 そうですか。
今回は僅差で順位を付けないといけない。ちょっと損したかなと思うのが、『スイミー』という教材を選んだところかもしれない。損得がある。
得の部分。記憶では小学校2年生くらいの教材。具体的にいうことで、低学年の子が一生懸命に音読をするのは伝わる。
おでん」という季語を活かそうとしたときに、「おでん」の温かさに対し、小さなお魚の物語の『スイミー』の語感の感覚が冷たいというか、寒い
「おでん」を活かす時に、この『スイミー』という教材を選ぶという徳か損かの天秤ばかり。
中七「音読二回」が大事のフレーズのため、上五は「宿題の」でも良い。
ほんわかと温かそうな教材名を入れるなら、「ごんぎつね」でも良い。
ここの損得の問題で微量に順位に差を付けざるを得なかった。

本人 ちょうど娘が国語で『スイミー』やっているんですよ。
夏井先生 そうですか、残念でしたね。
本人 「残念でしたね」、冷た! 『スイミー』くらい冷たい。そうか、そういうことか~。

添削後
宿 音読二回 おでん炊く』
 音読二回 おでん炊く


6位◆『湯豆腐や くるりくるりと 昆布回る 北山宏光(Kis-My-Ft2)
◎丁寧に真っ直ぐ観察できた。上五で完成した鍋を思わせるのが問題。「回る」も重複。鍋の出汁を取る光景に。

【本人談】
鍋の蓋を開けた光景を詠もうと思い、「くるりくるりと」というオノマトペを入れた。ジュニアが前回大会で用いた「ぐぅわんぐぅわんと」に偉く感銘を受け、鍋からオノマトペが出来ないかと思い、(湯豆腐の出汁をとるための)昆布(こぶ)が回っている様子につなげた。
→千原ジュニアは前回金秋戦で「台風やぐぅわんぐぅわんと信号機」と詠み決勝5位とシード権獲得となった

夏井先生 
俳句はしっかりと観察することろから生まれてくる。
自分の目を信じて観察しているのがとても良い
問題点が2つある。「湯豆腐や」と強く強調するため、湯豆腐が鍋に入っていて、既に完成したと読者に誤解させる
工夫した「くるりくるりと」は、「回る」とあれば不要
本人 回りすぎたわ。
夏井先生 
「回りすぎた」と言われようもあれではある。良い所に目を付けた
出汁を取ろうとしていることさえ分かれば良い。「回る」は良く見ている。
「や」ではなく、繋げないといけない。
湯豆腐の昆布」なら出汁をとる昆布がまだ鍋にあると伝わる。オノマトペを別のものに変え、最後は「回り出す」で良い。
「くるりくるりと」は「回る」と情報が被るため、「ほのほのと」ならどうか。
温度が上がってきて、ほんわりする感じ。複合動詞「回り出す」で今まさに回りだしたと。
これがあなたの見た光景だと思う。
本人 そうですね~。
夏井先生 
「そうですね~」と感心しているが、あなたの句だと思わなかった。
丁寧に真っ直ぐに観察する姿勢は素晴らしい。俳人の姿勢。
キスマイの人たちが頑張ってくれているから、若い人たちが俳句に真っ直ぐ興味を持ってくれる。本当にありがたいと感謝している。頑張っていきましょう。

本人 こちらこそ。今年もよろしくお願いします。
浜田 泣け。北山、泣け。
→急に目頭を掴んでウソ泣きして対応する本人
本人 良かった。

添削後
湯豆腐 昆布と 回り

7位◆『風邪の孫 祖母の御飯を 平らげる 千原ジュニア
◎孫の句は嫌われがちだが積極的に詠んで良い。「孫」は1音の「子」とし語順を変えて時間経過を表現する。

※「風邪」は冬の季語。

【本人談】
「孫」は昔の自身のこと。風邪を引いたとき、祖母のおじわを風邪気味なのに全部平らげたという実体験を親戚が集まるたびに話している。

梅沢名人 中七の「祖母」はいらないと思います。「孫」が出たら「祖母」に決まってるじゃないですか。他人(ひと)の事は分かるんですよ。

夏井先生 
俳句の世界では、「孫」の俳句を詠むことを嫌う先生もいる。
孫の題材はありがちな表現なので、その言葉を嫌う俳人も多い

自分に「孫」が出来てからこんな面白い生き物はいないと思っており、積極的に詠んでよいと思う。
色々な俳句を見ていると、あえて「孫」と書かなくても「子」で事足りる句の方が多いのも事実。
「祖母」がいらないのではなく、逆に「孫」が不要
「祖母」に対して「子」と書けば立場が分かる。「孫」は2音だが「子」は1音。
語順を変えると良い。(ジュニアの)育ちが良いから「御」をつけた気持ちは分かるがなくても良い。
藤本名人 育ちはメチャクチャ悪いですよ。
浜田 アハハハ。
本人 やかましいわ、アホ。
藤本名人 そこはすいません。
本人 俺はええわ、せいじに謝れ!
夏井先生 
下五は「子の朝(あした)」とする。昨日までは熱出て食べてなかったが、今朝にペロッと食べてくれたという対比が生まれる
”あさ”よりも”あした”の方が微妙な希望・喜びが入る。これで良い。

添削後
祖母の飯 平らげ風邪の 朝(あした)

8位◆『ほろ酔いの帰路 すき焼きの 仄かな香 皆藤愛子
◎読者に伝わるかの意図を客観的に検証すべき。自分の身体に匂いが残っているという肝心な部分を表現する。
※「すき焼き」は冬の季語。頭を七音にして、五七五のリズムをわざと崩した一句。

【本人談】
すき焼きを食べた帰り道、髪の毛や体に染み付いた甘じょっぱい香りを感じながらほろ酔いで帰る様子。

森口 凄い綺麗です。香りが感じられるから素敵だと思います。
梅沢名人 チャレンジしたんでしょうけど、まだちょっと五七五を崩すのは早いかな? どこにすき焼きの匂がしたんですか。
本人 自分の髪の毛とか…。
梅沢名人 あ~それは読めない。すき焼きの匂いがどこからかしているにしか読めない。

夏井先生 
おっちゃんの指摘の通り。
読者に正しく伝わっているかを客観的に検証する必要がある
この句は、”仄かな香りがしてきました。どこからともなく”とも読める。
自分の身体に匂いが残っているならば、肝心な所を書くべき
何か言葉を削らないといけない。なくても分かる情報・言葉が1つある。それは分かる?
本人 「仄かな」。
夏井先生 
その通り。これはなくても伝わる。
「ほろ酔い」で1回カットを切る。「すき焼き」にいく。「の香の」と続ける。
最後は「残る帰路」とする。
本人 あぁ~!
藤本名人 上手ね~。
そうすれば、言いたかったことは間違いなく読み手に全部伝わる。

本人 (言いたかったのは)これです。
浜田 これやったんでしょ。
本人 はい、精進します。ありがとうございます。
藤本名人 上手に直すな~。
浜田 そりゃ、そやろ。

添削後
ほろ酔い すき焼きの香の 帰路

9位◆『祝ひ歌 山川響く みかん鍋 中田喜子
◎下五が山口の郷土料理と伝わらない。鍋から始める謎かけの語順へ。中七も表現を変えてわざと三段切れに。

※「みかん鍋」は焼き蜜柑を使用した山口県周防大島発祥の鍋料理。

【本人談】
正月に「のど自慢」の(出場者の)祝い歌を歌う声が近所の山や川に声が響き、食卓にみかん鍋がある何とも言えない句を詠んだつもり。

村上名人 可愛そうです。
浜田 は?
村上名人 最下位なんで。
浜田 アハハハハ。
藤本名人 俳句が? 中田さんが?
村上名人 中田さんが。
浜田 可哀想。
梅沢名人 「みかん鍋」が出てきたのがビックリでしたね。これは伝わらない。

夏井先生 「みかん鍋」が悪いとは思わない
梅沢名人 何だよ、いちいちいちいち。何だよ。裏番組に出てやるからな!
夏井先生 
勝手に出ていただくとして。
「みかん鍋」から始めた方が読者に伝わる。「みかん鍋」ってどんな鍋かと。「みかん鍋」をする場所は、みかんの産地で豊かな実りがある所だと思うため、敢えて「故郷の」を入れて「響く」を消し、「山」に変えて字余りを防ぐ。
下五は「祝歌」なら故郷を讃える歌の感じが出るが、「祝ひ歌」が1つの物だと話を聞いて分かったため、「祝ひ歌」を置いてわざと三段切れになる形の方が作者の思いに近いかもしれない。

添削後
みかん鍋  祝ひ歌

***
玉巻アナ ここで浜田さん、夏井先生から追加の査定結果が届いています。
浜田 あぁ、そうなんですか。
玉巻アナ 実は次回の春のタイトル戦の予選免除のシード権なんですが、夏井先生に今回の作品の中でシード権を渡してもいいラインを引いていただいています。
浜田 あ、そうなんや。
一同 えぇ~。
→シード権を得れば、タイトル戦は決勝から参加できる
浜田 予選からしなくてもよいということですね。
藤本名人 何で急に?
浜田 何位までっていうことですね。
玉巻アナ はいその結果がこちらです(査定のパンフを浜田に渡す)。
藤本名人 えっ、ちょっと待って…。
浜田 次回、春のタイトル戦シード権のボーダーラインを発表します。
藤本名人 え、もう嘘でしょ。
東国原名人 ここ(1位と2位の間)じゃないよね?
浜田 さあいきましょう。次回、予選を免除されるのは!
→ごちゃごちゃ言いながら予想する一同
浜田 4位まで!
→優勝した横尾名人、2位・東国原名人、3位・村上名人、4位・梅沢名人がシード権を獲得
東国原名人 よし!
藤本名人 いやいやいや。
浜田 梅沢さん、免除ですよ次は。何でそんな顔してるんですか。
梅沢名人 私、裏番組に出ますから。
浜田 なんなんあの人。最後までずっと。
→少し苦笑いの梅沢名人
浜田 さあ、というわけで。2020年冬麗戦を制したキスマイ横尾さんには賞金30万円とトロフィーがございま~す。
梅沢名人 素晴らしい。
浜田 おめでとうございま~す!
***

編集後記
決勝のお題はお鍋。どの季語を持ってくるか、どのように発想を飛ばすかが重要なお題でした。

初優勝は横尾名人。破調で一見無難にも思える句ではあります。「庖丁始」と難しい字体を選んだことで、厳かに清々しく包丁を取る様子を感じ取れます。「都心は」は、都心の計画運休が珍しい希少性と、都心が自分の住まいから離れているというやや冷たく突き放す印象も感じ取れます。「計画運休」は、台風や雪以外にも今回の銀座線のように大規模な再開発の可能性もありますね。計画運休と事前に分かれば、買い出しにも行っているはずで、その材料を用いて何かしらの料理を作るのではと読み取れます。内容が兼題から離れていますが、昨今の上位句の特徴です。個人的には、陽と陰を上手く表現したのが1位の決め手に思いました。「計画運休」はマイナスの表現ですが、このフレーズが「庖丁始」というプラスのイメージを持つ新年の季語をより引き立て、一時期ゾーン状態だった村上名人と同じような感触を感じました。

2位は連覇を狙った東国原名人。これまたぶっ飛んだ破調です。取り合わせは「二物衝突」とも言いますが、まさに字面のごとく。固有名詞「アインシュタイン」を用い、「の」を用いる対句表現。火花を散らす、化学反応といえば聞こえはいいのですが、果たしてどれだけの人に理解されるのか。東さんの発想は毎回感心しますが、今回の句は正直意味が分かりませんでした。湯豆腐である必要性がないため季語も動き、「舌」と「湯気」に何の反応があるのか、背景が見えてきません。ポイントは「舌」で、読み終えた瞬間に有名なアインシュタインの写真が脳裏に再生される共感性を狙ってきているのは読み取れますが、意図が見え透いています。横尾さんのみならず、東さんこそ定型で勝負するのもありなのかもしれません。

3位は予選から参加した村上名人。今回も”村上節”が好調です。最も上手いと感じたのは俳諧的語順。同じ内容で、「双六にポン酢の蓋も駒となり」ともできますが、17音に情報がキッチリ入り、「双六」「駒」が離れ、散文的とも捉えかねませんから、評価が多少落ちてしまいます。「のあり」に指摘がありましたが、情報としてこれ以上入れると逆に勿体ないようにも思いました。「ポン酢」の発想はやはりさすがで、言葉の経済効率で言うとまさにピカイチという所。「双六」を正月にやる風習が消えつつある昨今、このような可笑しみのある句も大切ですね。

4位も予選から挑戦した梅沢名人。「すが立つ」という表現は当方も知りませんでしたが、知識を巧みに披露する梅沢名人から毎回学ぶことがあります。大きな時候の季語が小さな食べ物の季語を含む12音のフレーズを包む季重なりでしたが、「立ちはじむ」という複合動詞の使い方がやはり手馴れています。梅沢名人の苦手な文法ミスを指摘され、「酒」を加えて全体を繋げる凄い添削がありました。発想の点も含めて、「すの立ち」がマイナス、下五がプラスのイメージと捉えれば、1位を狙える句という説明にも納得がいきます。

ここまでが決勝シード権を獲得。次回は予選免除となります。

5位は藤本名人。「スイミー」は当方は知りませんでしたが、家族の一人はお遊戯会の経験があるとのこと。学校や教科書などで異なるようで、その辺りの共感性に評価の分かれ目がある一句。当方は、絵本よりも漫画の面白いシーンを親に読み聞かせた経験はよく覚えていますが、子どもの絵本を親に読み聞かせる宿題は今の時代にもあるのでしょうか。おでんの温かさに対して、「スイミー」の語感が冷たいという理由でシード権を獲得できないのは強引にも感じましたが、個人的には「二回」の数詞があまり効いてないように思いました(「音読す」でも良いような)。

6位は特待生5級の北山さん。オノマトペを使った点は面白く、昆布が回るという着眼点もさすがです。形がキッチリできており、成長が伺えます。実体験を詠む姿勢のみならず、観察する姿勢が結構ついてきている印象です。オノマトペは「ほのほの」に先生は添削しましたが、どのような意味なのか気になりました。北山さんの活躍はSNSでも凄いことになっており、千賀名人もライバル視しているに違いありません。

7位は優勝が期待されたジュニア名人。自身が小さい時の体験で、風邪でも食欲旺盛なわんぱくな孫の様子が感じ取れます。散文的な語順になったのが残念でしたが、構築が案外難しい句です。「御飯」は語った「おじや」でも良いですが、気になるのは「祖母の御飯」の部分で、これでは祖母が孫のために作ったご飯なのか、祖母が食べる分の御飯まで孫が食べたのか読みに迷います。最近は子や孫の句のイメージが強いジュニアさんですが、人物から発想を飛ばした句もそろそろ見てみたいです。

8位は予選1位だった皆藤さん。本人の意図する内容と句の内容の齟齬を指摘されやすいのですが、問題はそこではなく、句の内容で順位が付けられる点。内容は個人的にそこまで悪くはないと思います。下五「仄かな」という形容動詞が機能していないという指摘で消されましたが、「香」と嗅覚への発想が常套手段で発想もありきたりという評価なのでしょうか。「体」と書かずに、体に匂いが残るのが分かる添削は素晴らしいですが、上位になるためにこういう方向が欲しいというアドバイスが気になるところです。

最下位はまさかの中田名人。「みかん鍋」という郷土料理の発想は素晴らしく、これまた勉強になります。何がダメだったのか当初分かりませんでしたが、語順を大幅に添削されてしまいました。各地で開催される「のど自慢」で、出場者が本戦出場の祝い歌を歌うと地域の自然にも澄み渡るようだという意図があったのですが、何の「祝い歌」かが読み取れず、「みかん鍋」の唐突感が厳しかったのかもしれません。鍋を囲みながら祝い歌を歌っているように読み取れますが、綺麗な情景が特徴的な句を先生はあまり好まないのかもしれません。

さて、今回は「湯豆腐」の季語を用いたのが東国原名人・梅沢名人・北山さんの3名で、梅沢名人・北山さんは予選も「初旅」で被っていましたが、どれだけ発想を飛ばすかがポイントではありました。しかし、どの句も一長一短があり、僅差で勝負が決まった感触が強いです。

その中で、特筆すべきは1位の作者です。2位~5位は名人10段4名が綺麗に並びましたが、おそらく先生はそれぞれの作風から作者を見破っていたようにも思います。発想がぶっ飛んだ東国原名人、日常の近い距離感を詠む村上名人、格式がある梅沢名人はほぼ確実で、5位は子持ちのジュニア名人の可能性もありますが、『スイミー』の固有名詞を持ってくるあたりで藤本名人と踏んだのでしょう。当初、1位は評価が高くないという先生の言葉がありましたが、季語「庖丁始」と持ってくる特異性と取り合わせの素直さが評価され、番組的にも新王者誕生という演出に結び付きました。あえて作風を確立しないのがポイントなのかもしれません。横尾名人はこれでプレバトジュニアではなくなりましたね。これからは誰が王者になってもおかしくないくらい各自成長しているようにも感じますし、2020年もどのような俳句が出るのか今後もますます楽しみです。

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