2019年11月21日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は講評の50字要約です。
挑戦者→橋本良亮[7],美保純[3],千原せいじ[4],紺野美沙子[4],コロッケ[4],立川志らく[27],梅沢富美男[84] ※数字は挑戦回数●お題:満員電車
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位72点 | 橋本良亮 (A.B.C-Z) | 口ずさむアトムの出だし冬銀河 | くちずさむあとむのでだしふゆぎんが |
2 | 才能アリ2位71点 | 美保純
| 月曜の副都心線秋思 | げつようのふくとしんせんしゅうし |
3 | 才能アリ3位70点 | 千原せいじ
| 網棚の小さきマフラー「Y」の文字 | あみだなのちさきまふらーわいのもじ |
4 | 凡人4位65点 | 紺野美沙子
| 朝帰りラッシュ横目の冬帽子 | あさがえりらっしゅよこめのふゆぼうし |
5 | 才能ナシ5位37点 | コロッケ
| 都会きて取り残される冬もみじ | とかいきてとりのこされるふゆもみじ |
6 | 名人初段で 現状維持 | ★立川志らく
| 戦前のおしくらまんじゅう空広し | せんぜんのおしくらまんじゅうそらひろし |
7 | 名人10段★3へ 1つ前進 | ★梅沢富美男
| 乗り換えのマフラーの波寡黙なり | のりかえのまふらーのなみかもくなり |
→編集後記◆発表待ちシートにて※今回はこれまでの俳句査定で酷い点数を取った芸能人が勢ぞろいという才能ナシ集結回[VTR]
梅沢名人 もう今回はホントに
全部(星を)取ってもらっても結構です!
夏井先生 (全員才能ナシ経験者に)
意外!***
浜田 あのね、ここに過去の皆さんの成績があるんですけど、見てください。
ほとんど才能ナシです。
せいじ ありがとうございます。
浜田 ポンコツの回です。
出演者 | 過去の成績 | 最低点 | 備考(才能ナシの句について) |
コロッケ | 凡人1回、才能ナシ2回 | 15点 | 先生から「自分の脳みそを使うことに苦痛を感じた」 |
紺野美沙子 | 凡人1回、才能ナシ2回 | 15点 | 先生から「つまらん工夫が満載。添削するのに歯を食いしばった」 |
美保純 | 凡人1回、才能ナシ1回 | 30点 | ※前回「地図に咲く秋の先取り彼岸花」と詠み、季語以外全ての文字を直された |
橋本良亮 | 凡人4回、才能ナシ2回 | 10点 | 先生から「内容がスカスカ」と酷評。予告動画で「箸にも棒にも掛からぬ句」 |
千原せいじ | 凡人1回、才能ナシ2回
| 15点 | ※5年前の句で「のんびりと心あたため雪をだく」 |
***
浜田 コロッケさん、どうでした?今回のお題。
コロッケ 僕はいつもよりは…いけてんじゃないかな?
浜田 点数はちょっと上がってる?
コロッケ ええ、多分。
浜田 あら~。
コロッケ 想像をちょっと膨らませて。もう今回はホントに。
***
→
紺野美沙子は慶応義塾大学文学部出身の才女と紹介
紺野 今回は、夏井先生に褒められたい一心で学生時代以来の猛勉強をした。
一同 お~。
→学生時代の若い写真が披露される
浜田 うわ~、爽やか。爽やかやわ。
15点取るとはね、こんときにね。
紺野 そうですね。大丈夫、今日は大丈夫。
***
→朝ドラ女優・
美保純は自称”夏井先生の愛弟子”で、前回才能ナシ最下位と紹介
美保 (前回は)もう
全部ダメ。
***
→ランキングシートは分布を隠して発表
梅沢名人 2位でも才能ナシってことがあり得るからね。
浜田 あ~そうですよ。マジで。
せいじ それはないでしょ?
美保 ね~。
浜田 15点しか取ってないのに。
梅沢名人 1位でも才能ナシかもしれない。
コロッケ それ最悪なパターンです。
浜田 アハハ。
▲2位は才能アリで美保美保 え~!よっしゃー!おお~、先生!嬉しい!
浜田 アハハハ。
玉巻アナ すごい飛躍ですね。
***
→
A.B.C-Z橋本は出演者の中では過去最低の10点
橋本 でも、今回
めちゃくちゃ自信あります。
浜田 (つまらなそうに)ホント~?
橋本 ジャニーズって、電車乗らないイメージつかれてると思うんですけど、めちゃくちゃ電車乗るんですよ。だから、パッと出てきたような感じがあります。
▲3位は才能アリでせいじ浜田 おい、才能アリや。マジか。
コロッケ なんかやだな。
浜田 おいおいおい。やな感じ。
全然面白くない。
***
紺野 4位も才能アリかもしれないですもんね。
浜田 まあ、そうですね。今の段階ではそうですね。
▲4位は凡人で紺野紺野 ああ~!
梅沢名人 65点ですよ。
浜田 いや、上がりましたね。65はいいですよ。
紺野 でも凡人だった。
浜田 いやいや、15点やったんやから~。
***
浜田 さあ、皆さん残っているのはこの2人。
橋本 緊張してきた。
コロッケ やだな~。
浜田 アハハハ。
コロッケ やっぱ
モノマネ以外ダメなのかな~。
▲才能アリ1位は橋本、最下位は才能ナシでコロッケ橋本 よっしゃ~!嘘じゃん?えっ?
浜田 ようやった。コロッケさん、上がりましたやん、点数(15点→37点)。
コロッケ 全然嬉しくない。
浜田 順位はともかくね、全員が点数を上げたという回になりましたよ。
⇒最低点からの飛躍という意味ではそうだが、実は紺野は前回と同じ点数。
浜田 勉強したんですよね、コロッケさん。
コロッケ あの、
本買いまして(夏井先生の『赤ペン俳句教室』)。あんま、テレビ出て落ちこむことないんですけど。
一同 (笑)
***
◆それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ72点 橋本良亮(A.B.C-Z)
『口ずさむ アトムの出だし 冬銀河』◎実体験は強い。上五と「出だし」が具体的で共感性を呼ぶ。「アトム」と季語で未来のイメージと響き合う。
※手塚治虫の名作
『鉄腕アトム』が誕生した高田馬場にちなみ、山手線の高田馬場駅の発車チャイムは「鉄腕アトム」の出だし(♪空をこえて ラララ 星のかなた~)となっている。
【本人談】実体験を書いた。夕方に仕事が終わり、疲れているため山手線を3周したことがある。絶対に起きる駅が高田馬場駅で発車チャイムのアトムの曲「♬空をこえて~」を聞いたとき。3周もするため、疲れてすっかり夜になってしまう。アトムと銀河はつながりがある。
梅沢名人 大したもんですね。説明してもらった通り、この句を読んだだけでアトムの音が聞こえてくるもん。凄い。
本人 ありがとうございます。嬉しい。
浜田 あら!何それ~?
夏井先生 いや~、あなたでしたか。今日は本当に驚く。
実体験だったと。
俳句は実体験ほど強いものはない。褒めていく。
「口ずさむ」から始めたのも良い。「歌う」「叫ぶ」と似たような動詞はあるが、
どのくらいの感じで歌うのかがこの動詞で言えている。
次に
「出だし」が非常に具体的。「曲」「歌」という言い方でも良いが、「出だし」で
最初のあのフレーズが誰の耳にも聞こえてくる。
その後、
季語「冬銀河」がゆっくりと広がってくる。
冬の冷たい空気で銀河・天の川がまた綺麗に見える。
【冬銀河】冬の季語 冬の夜空に浮かぶ天の川のこと 生き生きとした輝きがある |
季語が「アトム」という固有名詞がもつ未来のイメージと響き合う。
よく頑張った。今日は褒める褒める。直しは勿論いらない。
本人 ありがとうございます。
添削なし◆2位
才能アリ71点 美保純
『月曜の 副都心線 秋思』◎字足らずの逸品。中七が具体的で人混みが伝わる。最後の空白で拒絶感や孤独感が強調される個性的な句に。
※俳句の最後は五音が基本だが、この句は二音足りない3音という「字足らず」の句。
【本人談】休み明けの月曜日は皆が憂鬱。(東京メトロ)副都心線に乗った時、周囲が秋めいてくると満員なほど無口になるのを感じた。寂しいような、くっついているような。ふと一人になる秋の物思いを詠んだ。
梅沢名人 大したもんだね。
才能ナシ(経験者)が
字足らずでこの俳句を作ったなんて信じられない!
字足らずでも良いと思います。こんなこと考えられるんだ、
才能ナシが。
浜田 才能ナシが、才能ナシがって。
夏井先生 字足らずくるかと。誰の作品かと思っていた。
「月曜日が憂鬱である」という句はいくらでもある。みんながそう。
中七
「副都心線」と非常に具体的に書いたところが良い。人混みも読み手に伝わってくる。
下五は当然5音で収めるだろうと読み手は思う。簡単に「
秋思(しゅうし)あり」で言い切る方法もあるが、少し強くなると思う。
最終的に、この
2音の字足らずが句の内容を非常に個性的なものにしている。
「秋思」でプツっと調べが断ち切られて、この空間に読み手は拒絶感・孤独感を感じ取る。
手慣れが考え抜いて作った一句か、うっかりできた一句かのどっちか。
よく思い切ってやった。偉かった。
下手に直したらバランスが壊れる。
字足らずの逸品としてみんなで鑑賞したい。
本人 先生、ありがとう~。
浜田 偉い成長~。何ぃ~?。嫌やで俺、
全員が才能アリとか。3位から才能ナシでもええんやから。
[ここがポイント]字足らずの効果
※俳句は五・七・五が基本だが、下五を字足らずにすると、あるべきものがないその物足りなさによって、読み手の孤独・寂しさがより強調されます。
添削なし◆3位
才能アリ70点 千原せいじ
『網棚の 小さきマフラー 「Y」の文字』◎言葉の選び方が良い。「小さき」で子の持ち物と分かる。映像を誘導する語順と焦点の絞り方が丁寧な一句。
【本人談】満員電車にパンパンに乗ると、小さい子がマフラーを忘れて可哀想だな~とか。「Y」の文字あるな~とか。よく見たらカシミアや!とか、ええとこの子やったんやな~と。色んなことを思いながら眼前のマフラーを見ているという一句。
志らく名人 「網棚」がポンと映って、さらに小さい「マフラー」になって、もっと小さくなる(「Y」の文字)という、ここら辺が素晴らしいですね。
夏井先生 網棚の忘れ物を詠むという句がないわけではない。
しかし、とても
丁寧に言葉を選んで一句を作っている。
「網棚」で電車・バスの中にいることがわかる。視線は少し上かもしれない。
季語「マフラー」が物として出る。
「小(ち)さき」で、一目で子ども用だとわかる。
さらに
アップの光景。「『Y』の文字」。「Y」の付く子の名前や学校かと
色々と想像ができる。
「網棚」から始まる
映像の誘導・焦点の絞り方がとても丁寧にやれている。
きちんと出来ている。声を大にして褒めたい。
本人 ありがとうございます。
浜田 ちょっと何これ?何ですか、これ。
梅沢名人 70点・71点ですよ。
浜田 ねえ。
梅沢名人 面白くもなんともないじゃないですか。
浜田 (笑)
添削なし◆4位
凡人65点 紺野美沙子
『朝帰り ラッシュ横目の 冬帽子』◎語順が大変勿体ない。ラッシュ時に帰る人物の事情を後に回せば表情が付随される。1位を争うレベルの発想。
【本人談】ちょっと後ろめたい朝帰りをしたときに朝の通勤ラッシュと重なってしまった(※1)。この人たちはこれから仕事なんだなと気が咎めつつ、帽子を深くかぶり直して家路につくというのを描写した。
※1
浜田 「後ろめたい朝帰り」って何ですか?
梅沢名人 俳句としては良い俳句だと思いますよ。ただ
語順がどうかな~? 語順をちょっと変えたら才能アリだったかもしれない。俺はそう思う。
夏井先生 おっちゃん偉い。おっしゃる通り。
今日一番勿体ない句。
語順を変えるととても良くなる。
「朝帰り」という
事情を先に書かずに、上五を字余りで
「ラッシュ横目」から始めるべき。
「ラッシュ横目
に」とし、”
自分が横目にしながら歩いている”と「に」で思わせる。
「朝帰り
なる冬帽子」と続く。「朝帰り」という
事情が後で出てくるため、人物の表情が後でくっついてくる。
“あ~なるほどな”と読み手は思う。語順をこうしていたら、
今日は1位を争った。
本人 悔しい。そうなんだ~。
梅沢名人 そうだと思ったもん。
[ここがポイント]事情を先に言わない
※「朝帰り」という事情を先に出してしまうのは、いきなり種明かししたのと同じ。面白みに欠けてしまいます。俳句の肝となるフレーズの語順に注意しましょう。
添削後
『ラッシュ横目に 朝帰りなる 冬帽子』◆最下位
才能ナシ37点 コロッケ
『都会きて 取り残される 冬もみじ』◎一見書けたが意味不明。下五は演歌歌手と誤読される。自身の上京の体験談を示す。学習の足跡は微かにある。
【本人談】僕が田舎から19歳で出てきたときに東京の人の多さに圧倒され、西武池袋線から山手線に乗(り換え)る時にバァーっと人が降りてきたのを見た。顔を変えないのがサイボーグのようで、怖くなって気付くと横断歩道に立っていたことがある。「冬もみじ」は取り残されて(木々に1枚落葉せずに散り遅れて)いるという意味合いだと思った。
夏井先生 一見何か、書けているような感じはする。
ただ、
微妙に分からない。
都会に誰かが来て、取り残されたんだなと。日本語としては分かる。
ここまで来て最後に人かなと思うと、「冬もみじ」が出てくるため、”
まさか「冬もみじ」さんが”と誤読する。
「
冬 もみじ」さんという
演歌歌手がいるのかと。
浜田 冬 もみじ(笑)夏井先生 「冬 もみじ」さんかなと思う。
一番人を
混乱させるのは中七。この音数で上京した年齢「十九歳」と書く。
本人 えっ?(→自然と志村けんのような顔マネで驚く)
夏井先生 「えっ」じゃない。
「十九歳」で人だと分かる。上五は字余りで「
十九歳の」とする。
「
上京」で地方から来たと分かる。「都会
の冬もみじ」と続く。
“
19歳で上京した。都会の冬もみじをしみじみと見上げたあの冬の事を僕はいつも思い出す”とこんな感じになる。
学んだという微かな足音だけは見える。
添削後
『十九歳の 上京都会の 冬もみじ』★特待生昇格試験★玉巻アナ 立川志らくさんですが、名人になられてから梅沢さんをはじめとする上位(10段)の名人に対する気持ちに変化があったそうです。
浜田 どういうことでしょう?
志らく名人 梅沢御大をはじめ、
とても尊敬してました。
梅沢名人 おっ?
志らく名人 だけど同じ名人の土俵に立つようになったならば、尊敬ばかりしてたら決して追いつけないだろうと。
浜田 そらそうです。
志らく名人 もう
尊敬しないことにしました(笑) 尊敬するのは夏井先生だけ。
浜田 なるほど。
◆『戦前の おしくらまんじゅう 空広し』 立川志らく※この混雑の光景から「おしくらまんじゅう」に発想を飛ばした一句。
【本人談】満員電車の混雑した状況から「おしくらまんじゅう」という季語を思いついた。祖父が昔自分に言ったことがある。「自分が小さい頃の東京の空は、鬼ごっこ・かくれんぼと何をしようがとても広かった」と。それをふと思い出した。
梅沢名人 個人的な意見ですよ。私みたいな名人が言うのは変ですけど、ちょっと
語順が悪いかなと。
本人 私は「戦前のおしくらまんじゅう」って
一体何?と思ったところで、ポンと「空」を出すというそっちの方へいったんですけど。
梅沢名人 なるほどね。なら
宜しいんじゃないですか。一同 (笑)
浜田 あんた、語順変えた方がええって言うてましたやん。
梅沢名人 でもまあ、意味があったから。
夏井先生 この句の評価のポイントは
上五「戦前の」です。
梅沢名人 (指を差し)
ですよね。私が言ったことが当たってますよ!■査定結果名人初段で
現状維持理由:語順がもったいない
◎時間を超える発想は名人。季語の鮮度が問題。子の遊びから種明しの語順へ。口語なら耳元で囁く人物が出る。
浜田 先生からの一言。
フフッ。「語順がもったいない」。
梅沢名人 ほら。
本人 あら。
一同 おぉ~!
梅沢名人 (観覧席に)
見たか!娘!おじさんの言う通りだよ。
夏井先生 「戦前」という
時間を超えて句を作ろうとする。そこはやはり名人だと褒めて良い。
何で勿体ないか。
季語の鮮度の問題。
この句の場合、「おしくらまんじゅう」という季語を
上五字余りで先に出す。
“
いま時の子もおしくらまんじゅうをして遊ぶのか”と読み手は思う。季語が目の前のものとして立ち現れる。
「戦前の」とくると、”
あれ、戦前の事なの?”と。「空」とつながってくる。
ここから、
文語(書き言葉)でいくか口語(話し言葉)でいくか道が2つに分かれる。
文語なら、「空
とは広し」という言い方や「空広
かりき」と出来る。
口語なら、「空広
かった」と祖父の言葉そのままを書く。
人物の言葉が耳元で聞こえる感じはする。
本人 やっぱり語順の問題なので、
梅沢さんのこともまだ尊敬します。
→名人の両者お辞儀を行う
添削後
『おしくらまんじゅう 戦前の空とは広し』
『おしくらまんじゅう 戦前の空広かりき』
『おしくらまんじゅう 戦前の空広かった』★永世名人への道★浜田 ねぇ、本来(星)3つあったんですけどね~、(前回の後退で)2つになりました。
梅沢名人 本当に口では皆さんが「
俺の事嫌い」だとか言ってるけど、確かに
自分の中でも自信がなくなりました。
浜田 そんな弱気なね~、
嫌われるのはホントですけども。
梅沢名人 いやいやいや、ちょっと待ってください…。
玉巻アナ そんなことないです(笑)
梅沢名人 お前ら(スタッフ)、本当に嫌ってんのか?◆『乗り換えの マフラーの波 寡黙なり』 梅沢富美男【本人談】私が福島から華の上野駅に着いた(上京当時)。やはり皆さん寒そうで、マフラーをして忙しそうに乗り換えたり帰ったりする人が沢山いた。寒い時はみんな黙っており、当時は満員電車に人がいっぱいいたけど寡黙(かもく)だったという。
本人 ただ、あの「乗り換”
へ”」だったんですね。「乗り換への」「
へ」だった。
浜田 うん。
本人 担当者に送る時に
コンピューターで送るんですよ。
浜田 コンピューター?一同 (笑)
本人 なんて言うの、こういうやつで。
志らく名人 ”
パソコン”でしょ。
浜田 パソコンね。
本人 そう、パソコンで。
→パソコンもパーソナルコンピューターで間違っていないが、TV業界としてはいかにも珍しく聞こえたらしい
志らく名人 「コンピューター」。
玉巻アナ フフッ。
本人 「への」って書こうとしたら「えの」になっちゃったんです。
浜田 あ、本来は「
へ」って書きたかったけど、”
コンピューター”で上手いこといかなかった。
本人 たまに変換の漢字間違えることあるんで。
浜田 あ~、なるほどね。
本人 だから、(スタッフに)
お前ら取りに来いよ!一同 (笑)
本人 俺が字(手書き)で書いたやつ。
夏井先生 この句の評価のポイントは
上五「乗り換えの」です。
本人 やっぱりそうじゃない。
一同 (笑)
本人 「
への」よ、「
への」。
■査定結果名人10段★3へ
1つ前進理由:3つも工夫がある!
◎上五で駅と伝わる状況の工夫。「波」で人物の動きの工夫。下五の断定で駅の音が満ちる工夫。考えたはず。
本人 おっ!おっ!本当に良いんですか!
(査定評の後)
本人 ほら!そうなの。
夏井先生 3つ工夫してるよね、おっちゃん。
本人 はい、してますよ。
夏井先生 どこなの?本人 いやいや、「
マフラーの波」ってあそこに持ってきたところが。
夏井先生 そんだけ?本人 それは…
急に言われても。夏井先生 聞いた私が悪うございました。1つ目の工夫。「駅の」「ホームの」でも光景は見える。「
乗り換え」で
”ここまで来て次乗り換える”という状況が言えている。
季語「
マフラー」は中七でマフラーを巻く人たちだと分かる。
2つ目の工夫。「
波」で
急ぐ人のマフラーの端が揺れているとか、落ちかけのマフラーを上げている人とか、
色んな小さな動きをこの1文字で想像させている。
3つ目の工夫。「
寡黙なり」で
断定をする。マフラーの波の雑踏は寡黙だが、
乗り換えの駅全体には音に満ちている。「寡黙」だと言い切りながら、
別の音をちゃんと聞かせている。それも当然
考えて断定したに違いない。
直しはいらない。
本人 ちょっと
自信持ちました。
浜田 自信ないって言ってたじゃないですか。
本人 ホントに
ずっと落とされてますからね。
浜田 はいはい。
本人 私は、ドンドン落とされてますから。
浜田 1つ前進ですから…。
本人 ここで、
実力で勝ち上がろうじゃないですか!私は!…浜田 うるさいねんって、もう。一同 (笑)
添削なし編集後記今回は満員電車のある駅のホームの光景。季語はないものの、秋の時候の季語と合わせやすいお題で発想は飛ばしやすいかもしれません。
今回は過去に才能ナシをとり、未だに才能アリを獲ったことのない面々が集まるかつてない企画でしたが、各自勉強した様子も映し出され、努力の成果が垣間見える回でした。
1位はA.B.C-Zとして特待生河合さんに次ぐ2人目の才能アリを獲得した橋本さん。ジャニーズらしく、「アトム」を歌うという発想は、北山さんの「蝉歌う僕らの『さんぽ』の音にのせ」と同じく固有名詞の曲と歌うという展開。「冬銀河」は河合さんがおでんの句で詠んでいます。個人的には何点か気になりましたが、語順を逆にして「冬銀河」を最初に打ち出せば、取り合わせの距離感の近さから、「アトム」が鉄腕アトムだと一発で分かるのでアリなのではとも思いました(ただ、語順を入れ替えても意味が大きく変わらない句なので、技術的にはあまり評価されない可能性もありますね)。
2位は夏井先生と俳句番組で共演していた美保さん。まさかの字足らずでくるとは、初心者とは思えない覚悟を感じます。中七の字足らず六音は失敗の典型として番組でも詠まれていますが、下五の空白を生む効果が良かったですね。かつて杉山愛さんが梅沢さんを打ち負かした字足らずの一句「こうべに落ちた春掴む手に恋」を思い出しました。上五を「月曜日」としなかった点も漢字だらけを防ぐ意味で効果的でしたが、中七の固有名詞がここでも評価されました。
3位は着実に成績を上げてきていた千原せいじさん。「網棚」は横尾名人が4年前に詠んだ初期の句「夏帽子夜行列車の網棚に」のイメージが残りますが、アルファベットを用いる句では「Yシャツ眩し白南風の丸の内」という伍代さんの句が特徴的。目線の誘導が大変効果的な一句で、夏井先生の添削例でも見られる「小(ち)さき」と詠めるあたりも手慣れています。息子さんのイニシャルも「Y」からですからそこから発想したかもしれません。
4位は凡人ながら惜しい紺野さん。最低点は15点ですが、65点は前回と同じ点数で今回唯一成績を上げられませんでした。この句を見た瞬間、ミッツさんが初回に詠んだ「家路就くコートの波をご出勤」を思い浮かべました。この句は、大衆と異なる動きの通勤をするシチュエーションが同じですが、時間帯が真逆です。女優ならではの事情が絡んだ発想に独自性があるものの、語順がもったいないという評価に。まさかの上五字余りの添削は思いつきませんね。
最下位は3度目の才能ナシとなったコロッケさん。句意が抽象的なものの、当方は今回詩的要素を最も強く感じました。発想の方向性は松岡さんと似ています。初回の句「迷い鶫(つぐみ)泣けど街行く人知れず」と”雑踏に取り残される”状況が同じで、この句は動詞の多用を指摘されて凡人に沈みましたが、案の定コロッケさんの句は動詞を全て消されてしまう羽目に。自身の立場を季語に重ねる句は技術がないと失敗しやすいですが、語った内容は面白く、”上京したら乗り換えの乗客がサイボーグのような機械的な動きをしている。怖くなると横断歩道にいることに気づくが、自分の立場を季語に重ね合わせたかった”というのを素直に描写した方が良かったかも。「雑踏のサイボーグめく紅葉散る」「乗客はサイボーグ吾と冬紅葉」くらいが当方の限界。何気に、夏井先生に「えっ?」と反応するときの顔が面白かったです。
特待生昇格試験は名人として気が抜けない2名の挑戦。
“志らく名人”は初手現状維持。満員電車から子の遊びへと季語を展開するのは、掛詞が好きな落語家ならではの発想の飛ばし方です。しかし、固有名詞を使わないとなかなか高評価になりにくい弱点を克服できないところでしょうか。コメントも頂きましたが、八音の季語の配置をどうするかがポイントという部分もありますね。口語の「空広かった」だと語り口調なため、「戦前には大きな建物が何もなかった」という光景もしみじみと実感がわく添削でした。
梅沢名人は4度目の星3つへ。全体としては平凡にも思える句ですが、発想はさすがで前回の藤本名人の「乗り換え」、今回の美保さんの「秋思」と同じ「寡黙なり」、せいじさんの「マフラー」、さらに「波」は以前の自身のコスモスの句でも用いられているという良いとこどりの一句で、ここはさすが名人。自信のなさは歴史的仮名遣いにしなかった点で、より昔らしさを出したかった意図があるようですが、特に先生は触れられませんでした。本人は嫌われていることを気にかける発言をしていますが、それだと番組に呼ばれませんからリップサービスということで。
今回は総じて過去の俳句が思い出される回で、やはり傾向と対策を立てて学習されている雰囲気を感じました。上位はそのテクニックが生きており、下位は技術的に評価されずも発想力や詩の要素はありましたね。また、特待生昇格試験の査定ポイントですが、今回は2名とも上五となりました。しかし、志らくさんは中七の季語の鮮度、梅沢名人は上五の仮名遣いかと思わせといて、実際は各所の工夫にまたがりました。バラエティー的に本人の発言を受けて、先生も言葉を選んでいるようにも思いますが、最近はこのコーナーの必要性をあまり感じません。査定結果を先出しにする演出も緊張感があって面白いかもしれませんね。
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