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20191114 プレバト!!俳句紹介【京都叡山電鉄と紅葉】

2019年11月14日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は講評の50字要約です。

挑戦者→秋吉久美子[初],二階堂高嗣[22],升毅[3],金澤美穂[初],小倉優子[4],柴田理恵[15],藤本敏史[52] ※数字は挑戦回数

●お題:京都叡山電鉄と紅葉/電車から見える紅葉の絶景

※番号クリックでリンク内移動します。
 1才能アリ1位72点秋吉久美子
秋の蝶1グラム足す風の重さあきのちょういちぐらむたすかぜのおもさ
2才能アリ2位70点二階堂高嗣
(Kis-My-Ft2)
竹林に華やぐ心神の旅ちくりんにはなやぐこころかみのたび
3凡人3位68点升毅
途轍なし天狗の仕業秋燃ゆるとてつなしてんぐのしわざあきもゆる
4凡人4位60点金澤美穂
初紅葉こいこいきたれ掌にはつもみじこいこいきたれてのひらに
5才能ナシ5位35点小倉優子
箱根山秋雨のぼる祖母のしわはこねやまあきさめのぼるそぼのしわ
62級で現状維持柴田理恵
高僧も無明の吾もまた紅葉愛でこうそうもむみょうのあもまたもみじめで
7名人10段へ
1つ後退
藤本敏史
(FUJIWARA)
紅葉見に行くトロリーに乗り換えてもみじみにいくとろりーにのりかえて
→編集後記

◆発表待ちシートにて
夏井先生 作品の方向性が非常に多彩で、かなり成功していると。
***
※女優・秋吉久美子は早稲田大学大学院を修了、高校生時代は文芸部で部長、詩集も出版と紹介
浜田 まず初登場は秋吉久美子さんでございます。
秋吉 こんにちは。
玉巻アナ 日本アカデミー賞優秀主演女優賞を始め、数々の賞を受賞されていますが、最終学歴は早稲田大学の大学院。高校時代は文芸部の部長を務め、校内で自分の文集を売っていたそうです。
浜田 勉強ばっかりしてました?この時。
秋吉 この頃は小説書いたり詩を書いたり、男の子と付き合ってあげたり(笑)。
浜田 何を上から目線で。
秋吉 本当なんですよ~。
浜田 本当なんですか?マジですか~。
秋吉 ホント。
***
浜田 お隣は升毅(たけし)さんでございます。
玉巻アナ 過去2回とも凡人という結果でしたが、徐々に手ごたえを感じていて今日は絶対に才能アリを獲る自信があるそうです。
升 凡人の下(50点)から凡人の上(65点)へ上がったんです。で、三度目ですから今回。
浜田 ちょっと行く可能性も。分かりました。
***
※女優・金澤美穂は日本テレビ系ドラマ「あなたの番です」の中国人留学生役でブレイクと紹介
浜田 お隣、初登場は金澤美穂さんでございます。
金澤 よろしくお願いします。
玉巻アナ 金澤さんは、田中圭さん主演のドラマ「あなたの番です」で大ブレイクされた新進気鋭の女優さんです。
藤本名人 日本人なんですよね。僕ホンマに、ドラマの中で中国人留学生役がめちゃくちゃ上手くて、中国人だと思っていた(笑)。
金澤 ありがとうございます。
藤本名人 ホンマに、うますぎなかった?
金澤 (中国人の喋り方風に)チョット日本語ムズカシインダケド、今日ハ俳句ノ勉強イッパイシテキタ
一同 (拍手)
藤本名人 嬉しい、凄い嬉しいのよ。凄いうまかったの。
柴田 ホントだ、凄いなあ。
金澤 ありがとうございます。
***
キスマイ二階堂は平場最多挑戦となる22回目の俳句。過去成績は才能アリ1回凡人12回才能ナシ8回
浜田 えーと、やらないって言ったよね?
二階堂 えっ?
浜田 もう俳句やらないって言ったよね。なんでここ座ってんの。
二階堂 前回の宮田が1位獲ったじゃないですか。あれはマジで話が違うなと(テロップは「想定外」)思って。
浜田 キヒヒヒ。「じゃあやるよ」と。
二階堂 じゃあ…もう、今回で1位マジで獲れなかったら(テロップは「凡人になったら」)出ない!
一同 (笑)
***
分布は才能アリ2名凡人2名才能ナシ1名と発表
***
▲凡人3位は升
→椅子から崩れるように倒れる升
浜田 升さん、でも点数高いですよ。68は高いですよ。
升 (悔しそうに)ここを越えたかった。(笑)
***
浜田 前回1位獲ってます。
小倉 そうなんです。でも、あれは分からないですね。
浜田 あ、そうですか。
小倉 どうやったら才能アリを獲れるのか…。
藤本名人 1位獲った人がそれ言うと嫌味に聞こえるからね~。(笑)
▲凡人4位は金澤
***
浜田 2人が才能アリ(秋吉と小倉を数える仕草)で、(二階堂を向き)あそこがもう才能ナシということで。
二階堂 何で僕を見る?
浜田 一応やんか、一応言うとくよということで。(二階堂は過去に)才能ナシですよ…、でも(小倉は)1位獲ってはるし、(秋吉は)初登場ですし。可能性がちょっと…。
秋吉 初俳句。
浜田 初俳句ですからね。さあ、それじゃあいきましょう。
二階堂 頼む!
▲才能アリ2位は二階堂
二階堂 (ガッツポーズで)きた~!やった~。
小倉 どっちか…(→片方が才能ナシ)。
秋吉 やだー。
柴田 ええ、凄いじゃん。
二階堂 浜ちゃ~ん!(→浜田と抱擁を交わす)やった~、よっしゃー!
→二階堂は22回目の挑戦で3年3か月ぶり2回目の才能アリを獲得
浜田 久しぶりの才能アリやもんな。
二階堂 才能アリ!(笑) っしゃ~!
***
浜田 さあ、残っているのはこの2人。初登場、才能アリ経験者。
秋吉 やだー、どうしようどうしよう。
小倉 でも私、才能ナシだけにはなりたくないと思って…。
秋吉 えっ!?
浜田 「えっ?」って、そりゃそうでしょ、そらそうです。
小倉 …ここに来たんですね。
秋吉 「だから私じゃありません」って言おうとしなかった?
小倉 でも秋吉さん…秋吉久美子さんですよ。
浜田 だからや。だからこそ一番下に座ってくれた方が番組的には面白いやんか。
秋吉 (睨んで)え?
浜田 めっちゃ怖い。
秋吉 やったな?
浜田 すいませんけど、そんなわけないですよ。これどうなるか分かりませんから。
▲才能アリ1位は秋吉、最下位は小倉
小倉 35点。えっ?
浜田 あなた1回獲ってんのよ、才能アリ。
小倉 35点…。
***

◆それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 秋吉久美子
秋の蝶 1グラム足す 風の重さ
◎詩人のような非常に豊かな感性。命の重さを感じ取る感覚と具体的に示す姿勢は良い。言葉の距離感を微調整。

※この絶景の中に「蝶」を見つけて詠んだ一句。

【本人談】
蝶は、沖縄では亡き人の魂を表すらしい。豪華な色づいた山の装いの中で、秋に向かっていく蝶々の命の軽さや虚しさに対するレクイエム(=鎮魂歌)として句にしてみたかった。

藤本名人 比喩が凄く成功している俳句だと思います。比喩がね。ただ、あのね…、「グラム」「足す」「重さ」この3つの言葉が近すぎるのかなと思いますね。
本人 「風の重さ」というのは、人によって違うから、それを連想させるには近くて良いかと思ったんですけども。
藤本名人 …そうですね。
浜田 折れるな!
二階堂 負けた。
藤本名人 せんせ~い!せんせ~い!
→痛いところを突かれたため、勝手に進行しようとする藤本名人
浜田 せんせ~い!

夏井先生 何でもうちょっと理論的に説明しないの?
藤本名人 どう言うたらいいのか分かんないんですよ、”近い”というのは、あまり良くないなというのが…。
夏井先生 
この句は詩として非常に豊かな感性を持っている。強く褒めないといけない。
「風」の部分。それから、明確に「蝶の命」とは書いてないが、風や蝶の命に重さがあるのではないかと作者は感じ取っているという部分。ちゃんと読み手に伝わる。
あえて「1グラム」と量れるものではないものを敢えて具体的に書く。これも詩を醸し出す時の1つの方法。
読んだときに、詩のようなものを書いている人なのではないかと思った。
藤本名人の発言した部分。何が微妙に気になるか。
「足す」という動詞。動詞は上手く使うと動作を言い表せるが、ここでは”1グラム乗っける”という状態を説明する言葉。この2音が非常に勿体ない
この微かな違和感を藤本名人が感じ取っている所は褒めたい。
藤本名人 ありがとうございまーす!
夏井先生 ただ、ちゃんと説明できないところに問題はあると思う。
藤本名人 そうなんですよね、そこなんですよね。
浜田 うるさいな!もう!
夏井先生 
この句を見る限り、才能はありそう。俳句としてアドバイスしたい。
「秋の蝶」から「風」にいくと素敵になる。
「風のおもさの1グラム」で着地すれば「足す」はいらない
さらに季語も「秋蝶」とし、上五を字余りで秋蝶を描写する。
羽がしなやかに「撓(しな)う」と3音で表現する。漢字でも平仮名で「しなう」でも良い。
こうすると、俳句の調べを確保しつつ、詩の感性が書ける。
この句を書いた人はすぐに上手になると思った。

本人 でもなんか、一番直されてないですか?
藤本名人 いやいやいや…。
浜田 より良くですから。

添削後
秋蝶撓(しな) 風のさの 1グラム

◆2位 才能アリ70点 二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)
竹林に 華やぐ心 神の旅
◎よく勉強した。出雲に集う神の心をも思える。季語を下五に置けたのが勝因であっぱれ。作者に驚きしかない。

※「神の旅」は冬の初めを表す季語。

【本人談】
10代の頃、京都へ遊びに行き初めて竹林(ちくりん)を見た時を思い出した。季語「神の旅」は出雲大社で男女が縁を結ぶという。竹林で沢山のカップルがいて素敵だなと思い、男女の縁を結ぶ縁起の良い季語を探してきた。

神の旅】(初冬の季語)
諸国の神々出雲大社へ集まるために旅立つこと


夏井先生 
「神の旅」という季語をよく勉強した
これがあなたの句だという、そっちにビックリ
本人 うれしー!
夏井先生 
竹林の光景から出てくる。
中七「華やぐ心」は下手に使うとイメージだけに終わりがち。一句の中に定着させるのがとても難しい
最後に「神の旅」が出てくる。何を思うか。
神様たちが日本中から出雲に集う。その風を感じながら出雲の竹林の近くまで降りていく。我々はこれから日本中の男女の縁を結ぶのだ”という神様の華やぐ心が一緒に書いてあるような感じ。
勝因の全ては、この季語をしっかりと下五に置けたこと。これはあっぱれ
作者がこの人なのに驚くしかない
偉かった。良く勉強した。直しなどいらない。

本人 (直し)なしなし~! ありがとうございます!
小倉 すごーい。

添削なし

◆3位 凡人68点 升毅
途轍なし 天狗の仕業 秋燃ゆる
◎季語を含めインパクトの強い言葉が多いがバランスは取れた。三段切れだけが問題点。勿体ないこと限りなし。

【本人談】
叡山電鉄でこの辺りの景色は随分と経験しているので、(兼題写真の)情景は凄く分かりやすかった。大体、貴船(きぶね)のあたりで止まるがその先は鞍馬(くらま)である。絶対に天狗の仕業にしようと思い、「途轍(とてつ)なし」を上五に持ってきた。この工夫で”いけるであろう”と。

藤本名人 あのー、三段切れなんですよ。「途轍なし」「天狗の仕業」「秋燃ゆる」と三段で切れているので、どこか繋げてほしかったっていうのが。何で繋げないのかなって。(笑) 繋げてよ、そこ。
浜田 うるさいな!

夏井先生 
(藤本名人に)偉いよ~、その通り。たったそれだけのこと。
勿体ないこと限りなし
全体的に印象の強い言葉が入り、「秋燃ゆる」という季語もオーバーアクションな使い方。
凄く難しいが、結構バランスをとってやっている。そこは褒める。これは本当に頑張った。
たった1文字。三段切れを回避するには、「途轍な」と言い切らずに繋げていくだけ。
これなら才能アリ。

浜田 惜しいなあ。勿体ない。
本人 「き」って書こうとして「し」になっちゃった
浜田 いやいやいや。

添削後
途轍な 天狗の仕業 秋燃ゆる

◆4位 凡人60点 金澤美穂
初紅葉 こいこいきたれ 掌に
◎中七の仮名表記の解釈が評価の分かれ目。手のアップから主語を主役にする語順へ。恋と伝わる表記にする。

【本人談】
中七は恋愛の「恋」と来てくださいの「来い」を掛けた。中学生時代に落ちてくる紅葉をパッと掴むと恋が叶うジンクスがあり、それを言葉にしたいと思った。

柴田 先生は(言葉を)掛けたりするの好きじゃないかもしんない。
浜田 そんなことないですよ。

夏井先生 
中七の平仮名が1つの工夫
これをストンと意味を理解する人と、いったい何と書いてあるのかと止まる人とで二分され、評価の分かれ目になるかもしれない。
もう少し意味をストンと取れて、季語の「初紅葉」を主役になるようにしたい。
語順を変えて、掌(てのひら)のアップからいくと良い。
意味は同じだが、「手のひら」とした方が可愛くなる。
手のひらに」の後、「こいこい」を「恋こい」と最初を漢字にすれば意味が伝わりやすくなる。
最後に「初紅葉」を置く。そうすれば、手のひらのアップからきて、最後に初紅葉も乗っかっていく。
作者がこんな可愛いお嬢さんだと思うと、なおさら良い句に思えてくる。

[ここがポイント]
漢字とひらがな
※同じ音でも、漢字で書くか平仮名で書くか、それだけで読み手に伝わる印象は大きく変わります。どう表現するかを精査することも才能アリへの第一歩です。

添削後
に こいきたれ 初紅葉

◆最下位 才能ナシ35点 小倉優子
箱根山 秋雨のぼる 祖母のしわ
◎「のぼる」の位置が判断ミスで句意が読み取りにくい。語った「笑顔」でしわは表現できる。語順も逆にする。

※祖母と箱根の山に紅葉を見に行った際に、あいにくの雨ではあったが、車内は明るく祖母も笑っていたという実体験を表現した一句。

藤本名人 最後の「祖母のしわ」のアップに持っていったのは俳句を勉強しているなと思ったんですけど、ちょっと伝わりづらいかなと思いますね。

夏井先生 
(藤本名人の)おっしゃる通り。
「箱根山」から始まり、「秋雨」までは良い
「のぼる」がこの位置にあるのが、一番の判断ミス。
「秋の雨の箱根山」と書けば、「のぼる」は書く必要がない
「しわ」も本当は諦めたいが、作者によると祖母のしわの映像が心に凄く残っている。
本人 笑顔が…。
夏井先生 それ書きましょう。笑っていたと。
「祖母の笑む」とする。「しわ」とすれば、笑いと皺のアップの映像になる。
「秋雨の箱根山」と続けていく。少なくとも言いたいことは伝わる。

本人 でも35点て…ちょっと、ねぇ…(→ショックで元気がない)。
藤本名人 暗すぎる。
浜田 次回頑張っていただければと思います。

添削後
祖母の しわ秋雨の 箱根山

★特待生昇格試験★

浜田 (名人まで)もうちょっとやもん、柴田さん。
柴田 はい、いやぁ~…。なかなかね。

◆『高僧も 無明の吾(あ)もまた 紅葉愛で 柴田理恵

【本人談】
目の前にある紅葉は今だけでなく、本当に昔からあり、最澄が開山した比叡山で修行する高僧も見ていた。「無明(むみょう)の吾(あ)」は、凡夫の自分も一緒の紅葉を愛でているということ。

→「無明」は知らないこと。人間がもつ最も根本的な煩悩(ぼんのう)。「吾」は自分のこと。

藤本名人 超イイです、これ。あの~、1つは…「もまた」ですね。これちょっと説明的過ぎるのかな。どうなのか、分からないですけど。

夏井先生 
この句の評価のポイントはここ「愛で」です。

藤本名人 そっちかい。
一同 (笑)
本人 「愛づ」かな。やっぱり。

■査定結果
2級で現状維持

理由:言い過ぎ
◎言葉の無駄が多く「愛で」が大きく障る。心情ではなく映像描写を。字余りで時間と空間を満たす表現へ。

本人 ああ…。
二階堂 ええ?

夏井先生 
言おうとしていることが悪いことではない。
徳の高いお坊さんも、無明の無知な私も、同じように紅葉を愛でる心を持って同じ時間と空間にいる、と。表現しようとしている姿勢はとても良い
惜しいのが”言い過ぎ”。2か所ある。「もまた」と「愛で」
1か所は藤本名人が指摘した部分。「も」「も」とあれば、「また」はいらない
藤本名人 (怒り気味に)合ってんねや、俺も。
浜田 いやいやいや。そんな言い方ないやろ。
藤本名人 合ってんねやないか。
夏井先生 合ってはいるが、「もまた」よりも「愛で」の方が俳句的には障ってくる
「愛でております」と自分の心の状態を書くのではなく、そこに「高僧」と「私」がいると書くだけで、「愛でている」「悲しんでいる」「何も考えていない」とかは敢えて書かない方が良い(読み手に委ねる)。
下五を字余りでどっしりと置く。「吾」は”われ”と読めば良い。
「紅葉に座(ざ)す」で、紅葉に2人が座っている情景を作る。
藤本名人本人 あ~!
浜田 いやいや、2人で「あ~」言われても。
本人 いいよ、これいいわねぇ。
夏井先生 
ここの敢えての字余りの所で、ゆっくりと時間が動いていくような。
「座す」と言い切った後に、静けさがシーンと広がっていく
そうなることで、肝心の「紅葉」という季語がゆっくりと空間を満たす
これなら、文句なしに上(1級)に上がっていた。

本人 はぁ~、難しい。残念です。

添削後
高僧も 無明の吾(われ)も 紅葉

★永世名人への道★

藤本名人 (前回昇格・タイトル戦2位と)調子いいんでね。
浜田 増やしていくだけですね。
藤本名人 梅沢さん、東さんにここで追いつきたいと思います。

◆『紅葉見に行く トロリーに 乗り換えて 藤本敏史(FUJIWARA)

※最初の文節が中七にまたがった句またがりの一句。

【本人談】
親に連れられ、京都の紅葉を見に行った記憶が微かに残っている。トロリー電車に乗り換えて紅葉を見に行った思い出をシンプルに俳句にした。

夏井先生 
この句の評価のポイントはここ「見に行く」です。

■査定結果
名人10段へ1つ後退

理由:10段なのに言葉のムダ遣い
◎季語と中七で光景は映像化され下五の動詞も良い。複合動詞が無駄に多い。俳句における音数を馬鹿にしない。

本人 え?ホントに?
(査定評の後)
本人 嘘つけ~

夏井先生 
良い所もある。「トロリー」という乗り物で、非常に懐かしい光景・空気感・時代の気分が出る。
紅葉」という季語が一緒に一句にあるだけで、十分光景が見えてくる。そこは褒める。
下五「乗り換え」も何かから何かに乗り換えるという状況が分かり、こっちは悪くない。
ところが、全体を見たときに「見に行く」「乗り換え」と動詞が無駄に多い
どっちかというと「乗り換え」は得があるので、残すべき。
本人 そうですよね。
夏井先生 わかってんなら、やんなさいよ!
本人 恐っ! わかってますよ。僕だって星1個取られてちょっとね…ごめんなさい。穏やかじゃなくてスミマセン。
夏井先生 
「見に行く」さえ諦めればまだやれる。
「トロリーに乗り換え」として、最後の着地を「紅葉」とすれば3音分隙間ができる。
母と」とすれば、1人ではなく若いお母さんやご年配のお母さんが見えてくる
5分」とすれば、もう5分くらい乗ってるのかと時間情報が入れられる。
俳句における3音を馬鹿にしてはいけない。
まだまだやれる。10段なんですから

本人 星…、星取り上げるシステム俺どうかと思うんですけどね。
一同 (笑)

添削後
トロリーに 乗り換え 紅葉
『トロリーに 乗り換え 紅葉


編集後記
今回は叡山電鉄の車窓から見える紅葉の風景。この時期は特別ダイヤのようで、大変な賑わいになるそうですね。当方も乗ってみたいところです。

1位は初挑戦の秋吉さん。さすが詩人という発想と調べの一句。「重さ」と最後に押さえることで、秋の蝶がどこかに停まった瞬間の光景が想像できました。蝶の質量は大きな蝶だと1~1.5gほどと、科学的にも適った数値です。本人は、レクイエムの意図を込めたそうで、「風」という部分に「千の風になって」の意味合いをも思いますが、語順で意味が少し読み取りにくかったかもしれません。個人的には、原句を活かして「1グラム足す秋蝶の風となる」などとした方がより命も重さの意味合いがより出るように思いました。藤本名人の「比喩が素晴らしい」という指摘も良いのですが、何を何に比喩しているのか10段らしく具体的に言ってほしかったです。

2位は3年3か月ぶり2回目の才能アリとなった二階堂さん。季語「神の旅」は以前に横尾名人も用いており、先週のNHK俳句の兼題でもある有名な部類の季語だと思います(旧暦の十月を指す「神無月」の言われでもあります)。中七「華やぐ心」がいかにもらしい表現ですが、季語の選択が良かったですね。以前の地主神社の句でも縁結びに発想を飛ばしており、若い人物の心情表現が特徴的でした。ただ、本人と夏井先生の読みにやはり食い違いがあり、中七は神様目線の読みの方が理解しやすいように思います。これが偶然か実力かは次回次第です。

3位は3連続凡人ながらも着実に成績を上げている升さん。言葉選びがカッコ良い感じで言葉にインパクトがあり、その努力を大変褒められました。ただ、この句の意味をどのように読んだら良いのかで当方は大変悩みました。「途轍なし」は何がとてつもないのか。「秋燃ゆる」で紅葉のことなのか、「天狗」の様子か、本人の語った鉄道の道筋のことか。「秋が燃ゆるように途轍もなく紅葉が赤く色づいている。これは天狗の聖地でもある鞍馬山にいる天狗の仕業によるものだ」という意味に最終的に解釈しました。放送では三段切れの問題点のみで片付けられていましたが、句自体に映像がほとんどないので、語った「鞍馬」の地名や「紅葉」とあった方がもっと分かりやすいと思うのですが、余計に凡人になってしまうのでしょうか。

4位は初挑戦の若手女優・金澤さん。「こいこい」が掛詞になっていたのですね。まさにキングオブザ凡人と言われてもおかしくないほど番組的には良く出てくる発想に思いますが、句意は分かりやすかったです。以前にミッツさんが雪女郎の句で「夜を偲ぶ」「世を忍ぶ」と掛けており、夏井先生は高評価でしたが、なかなか掛詞は難しいですね。安易に手を出したくはない所です。

最下位は才能アリを獲得していた小倉さん。これも句の意図は分かるのですが、問題点の「のぼる」は「箱根山」と意味をダブらせていたのかもしれません。「しわ」の部分に焦点を絞った工夫も評価されませんでした。本人談もカットされてナレーションで片付けられてしまいましたが、一場面を切り取るという部分を徹底してリベンジして欲しい所でしょうか。

特待生昇格試験は2名とも「紅葉」に絞って挑戦しました。

連続昇級で2級の柴田さんは足踏み。発想はいかにもこの方らしい句でもありますが、「高僧」だけでなく、「無明」と仏教用語で押さえた点は句意が読み取りやすくなるため、さすがだと思いました。ただ、コメントもいただいた通り、「もまた」は「富士もまた」で降格し、「明日もまた生きる」で予選突破した石田さんと同じ用法で、今回は失敗。この「も」は、番組対抗戦で東国原名人が注意すべき助詞としても挙げている警戒すべき一音。「愛で」も心情表現としては安易でしたね。JR東海の京都のPRコマーシャルをも思わせる一場面でしたが、立場の違う両者が並んで座っているかのような映像が浮かぶ添削例でした。

藤本名人は残念ながら後退。発想は良かったのですが、推敲の甘さが見られました。これで名人10段を名乗るようでは厳しいのでは。「トロリーに乗り換え紅葉」の12音で内容が言えてしまうからです。他人の句の違和感を指摘できる力はあっても、自分の句の…と言いたくなりますがこの点が俳句をやる一番の難しさでもあります。架線と電力で走るトロバスはかつて都心でも走っていましたが、現在でも立山黒部アルペンルートのトンネルを走っているため、地域性を持った紅葉を感じ取る句という解釈もできそうです。懐かしさを思う部分では成功句が多い藤本名人ですが、言葉の技術を詰めてほしいところです。

さて、特待生や名人の方々の指摘力ですが、技術的な違和感を感じ取るという点では藤本さんをはじめとする名人はかなり上達しており、先生もその点に触れて同意・同調することが当たり前になってきましたね。ただ、句をどのように味わうかという部分で語る方が少ないように思います(もしくはカットされているのかも)。名人では横尾さん、特待生では石田さんが繊細に感じ取る印象があります。藤本名人はガヤが目立つ部分があるのは仕方ないのですが、ジュニアさんを含めて芸人の方は結果がどっちに転んでも良いように、やや抽象的でリスクを取らない発言が多いのが気になります。東国原名人は論理的に分析をし、梅沢名人はリスクをとる明確な発言をしますが、村上名人は素直な発言で芸人ながら不器用さが伝わります。技術的な評価だけでなく、句の味わい方という部分も積極的に発言して欲しいですね。

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コメント

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柴田さんの「もまた」の使い方は石田明さんが降格を経験しており、
「紅葉愛で」は、確か博多大吉さんが「教え子の行く末願いさくら愛で」で凡人に沈みましたね。

また、1位が添削ありで2位が添削なしというのは珍しいですが、私の記憶から

1.三田佳子さん-あべ静江さん(2015年)
2.大和田獏さん-山崎紘菜さん(2017年)
3.鈴木光さん-高橋真麻さん(2019年)
4.歌広場淳さん-三浦翔平さん(2019年)

だったと思いますが、これで5回目でしょうか?ただし、2019年の秋の俳句タイトル戦は除きます。

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