2019年9月12日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は講評の50字要約です。
挑戦者→篠田麻里子[8],朝加真由美[2],筧利夫[3],加藤シゲアキ[初],古閑美保[4],東国原英夫[51],中田喜子[32] ※数字は挑戦回数●お題:夕方の買い物帰り[夕方の帰り道/秋夕焼の帰り道]
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位71点 | 篠田麻里子
| 引き波を自転車で追う秋夕焼 | ひきなみをじてんしゃでおうあきゆやけ |
2 | 才能アリ2位70点 | 朝加真由美
| 鰯雲夕餉の菜の豆腐汁 | いわしぐもゆうげのさいのとうふじる |
3 | 凡人3位64点 | 筧利夫
| 帰り道三日月冷やかす半袖を | かえりみちみかづきひやかすはんそでを |
4 | 凡人4位62点 | 加藤シゲアキ (NEWS) | めんつゆが一・五本秋の宿 | めんつゆがいってんごほんあきのやど |
5 | 凡人5位60点 | 古閑美保
| とんぼうの空へ勝利の歓喜湧く | とんぼうのそらへしょうりのかんきわく |
6 | 名人2段で 現状維持 | ★中田喜子
| 閉じる門「さよなら」は秋夕焼色 | とじるもん「さよなら」はあきゆやけいろ |
7 | 名人10段★1へ 1つ前進 | ★東国原英夫
| 謹慎の身に沁むタップダンス踏む | きんしんのみにしむたっぷだんすふむ |
→編集後記◆発表待ちシートで☆夏井先生が絶賛する特待生が誕生!!と前置き
☆番組的な本命は
「Burn. -バーン-」「傘を持たない蟻たちは」「閃光スクランブル」「ピンクとグレー」(以上、KADOKAWA刊)「チュベローズで待ってる」(扶桑社刊)の作品が紹介された”ジャニーズNo.1の文豪”加藤シゲアキ
***
浜田 初登場はNEWSから加藤シゲアキさんでございます。
玉巻アナ 加藤さんは文章に造詣が深く、2012年に出版されたデビュー小説「ピンクとグレー」では、作家の林真理子さんから「
本来モノを書くべき青年」と大絶賛されています。
浜田 関係ないからね!一同 (笑)
加藤 関係ありますよね。
浜田 俳句は関係ないからね。ということは、何?めちゃくちゃ自信がある?
加藤 まあ。
5作以上、小説出させてもらってますんで。
→浜田が「ドン!」と足踏みし、紹介していた本の画像が同時に片づけられる
浜田 ほんで?加藤 ただ、小説は10万字以上…。
浜田 そういうことですよ、そこですよ問題は。(東国原名人に)名人、そんなね。小説書けるからって。
東国原名人 100年早いね!一同 (笑)
***
浜田 さあ、筧さんどうですか。自信のほどは?
筧 もう、3回目の挑戦なんで。前は
凡人だったんで、海外の方に武者修行に行きまして。全英オープンで優勝しましてきました。
浜田 関係ないやん。
ここはヤバそうやな。
▲2位は朝加、才能アリと発表
朝加 うそ?
浜田 はははっ。
朝加 スキップしちゃお!
浜田 いやいやいや。
朝加 ちょっと、熱くなってきた。
***
浜田 どうでしたか、このお題?
加藤 これ、なんか
情報多いなと思って。「秋」「夕焼」「帰り道」でっていうので、
どこを切り取るのか分からなくなって僕はかなり飛躍した感じで作りました。
浜田 あら? ほぉ~、言うねぇ。篠田はどうなの、お前?
篠田 私も
写真から状況飛ばしてみました。
浜田 「飛ばす」とか何や、エラそうに言うとるなぁ!
一同 (笑)
玉巻アナ 篠田麻里子さんは過去7回挑戦されていて、
4回才能アリをとっていますが、まだ特待生にはなれていません。星野真里さんや藤井隆さんと同じく、
特待生になりきれない枠常連となりつつあります。
篠田 そんなの、あったんですか?
浜田 なれそうでなれへんという。
篠田 もし、今回
特待生になれなかったら筆を置こうかなと。
浜田 あら、まじか。
→観客からは悲鳴も
篠田 ふふふっ。
***
浜田 古閑さんどうなの?自信のほどは?
古閑 私は、初めて出たときに1位だったんですよ。
玉巻アナ 2回目、3回目が凡人査定でいらっしゃったんですが、60点・65点とかなりの高得点を。
浜田 あ、そや。得点は良かったんですよ。
古閑 まあなんせほら、
1位しか記憶にないので。
浜田 やかましいわ!▲3位は凡人で筧
東国原名人 惜しい。
朝加 惜しい。
筧 あれでダメですか!
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人。はぁ~、そうですか。
古閑 もう、
4位でいい。浜田 「4位でいい」。最下位じゃなければいい。
古閑 どっか、行きたい。早く。
浜田 (加藤に)
全然出てこないね~。加藤 出てこないですね~。
浜田 もう、
お前みたいなやつが最下位の方がええねん。
加藤 1位行かせてくださいよ~。
▲4位は加藤
東国原名人 えっ、高っ。
浜田 でも62点ある。そうなんですよ、60点台なんですよ。
加藤 62点は高いんですか?
浜田 高いです。
***
浜田 残っているのはこの2人。
古閑 つらい。
浜田 最下位がまだ分かりません。これがどうなっているのか。
古閑 いやでも、
最下位って言うのがやっぱりなんか、傷つく。
篠田 (古閑を向き)ねぇ。
▲1位は篠田、最下位は凡人で古閑
古閑 つら~い。私、
人生で最下位とったことないかもしれない。
浜田 うるさいな、お前。
***
◎それでは順位別に見ていきます
◆1位
才能アリ71点 篠田麻里子『引き波を 自転車で追う 秋夕焼』◎綺麗にできた。上五の映像は明確でないが季語が断片的に立ち上がるため叙情がある。自身の世界観がある。
【本人談】福岡県糸島市出身で、学校帰りに自転車に乗っていると丁度夕陽が見える時間帯だった。沖の向こう側に漁船が走っていて、その通った跡の引き波が白い線となる。白い線と夕日の赤とのコントラストになり、凄いロマンティックだなという印象があったので詠んだ。
夏井先生 これは、
綺麗にできたと思う。
「
引き波」という映像が出る。
本人が言った沖の船の引き波も考えられるが、波打ち際の砂浜のイメージかもしれないと思っていた。
この句は、どちらの情景かを明確に書いてないが、
「秋夕焼」の季語の光景が色々な形で断片的に立ち上がってくるため、逆にこれくらいで良い。
映像の後、引き波を「
自転車で追う」の動作がきて、
秋の夕焼けが奥行きを持って映像として出るのが良い。
各言葉が互いを邪魔しないように丁寧に選ばれている。
一種のムード・抒情のようなものがある。
これは褒めて良い。直しはいらない。
浜田 いや~、凄い。先生、ちなみに篠田は今回
5回目の才能アリなんですけど。これどうですか。
夏井先生 とても
良いレベルで作ってきてくれている。特に、ご自身らしい世界をこの方は持っている。
特待生になっても大丈夫。(5級で現状維持が続くキスマイ)
北山君より安定している。
一同 (笑)
浜田 じゃあ、特待生で良いんですか?
夏井先生 もちろんです。
浜田 はい、
篠田麻里子、特待生~!本人 やった~!ありがとうございます。
浜田 いや、これはおめでとうございます。
添削なし●特待生昇格句◆2位
才能アリ70点 朝加真由美
『鰯雲 夕餉の菜の 豆腐汁』◎穏やかな取り合わせ。基本的な型を勉強している。季語の印象が中七で変化し昭和の懐かしい味わいがある。
【本人談】(兼題写真を見て)頭の中は食べ物でいっぱいになる。この「夕餉(ゆうげ)の菜」で生活の中で食事にとても力を入れている。「豆腐汁」にしようというふわっとした全体のイメージを。「秋になってきた、温かいものをいいな」という感じで詠んだ。
中田名人 秋の
食卓の映像が鮮明に浮かんできますよね。「豆腐汁」で着地したのが上手いなと思いました。
東国原名人 僕、朝加さんにはね、
昔本当にお世話になってね。
本人 (笑いながら)ごはん、作りましたよね~。
東国原名人 前の奥さんのかとうかず子さんと親友で。
浜田 ああ~!
東国原名人 家族ぐるみの付き合いがあってね~。
「豆腐汁」見たとき僕泣きましたよ~。
一同 (笑)
→かとうかず子は東国原英夫の2人目の妻。離婚後の苦労話を披露して笑いをとる
浜田 何の話してんの。
夏井先生 非常におだやかな取り合わせが出来ている。お勉強なさった方だと思っていた。
基本的な型をしっかりと押さえている。
頭で季語「
鰯雲」が出てくる。これで秋の空がハッキリと見えてくる。
この後に「夕餉」と来ると、ゆっくりと
鰯雲の空が夕焼に変わっていく印象も出てくる。
2つの「の」でつなぎながら最後は「
豆腐汁」というメニューが出てくる。
「鰯雲」を見上げながら、
「今日の夕食の菜は何にしようかしら?」という買い物の帰りかもしれない。夕餉の豆腐汁が出来上がったところかもしれない。そういうこともわかる。
驚くような発想があるわけではないが、
昭和30年代の懐かしい光景の味わいもあり、穏やかにできた一句。
直しはいらない。
[ここがポイント]基本の型
※上五に季語を置いて、残り12音で「豆腐汁」を描写。この型が俳句の基本中の基本です。
添削なし◆3位
凡人64点 筧利夫
『帰り道 三日月冷やかす 半袖を』◎擬人化が愉快。上五で散文的な匂いが残る。時間情報で「帰り道」を想像させる。メカニズムを学べば伸びる。
※夕焼から夜の様子に発想を飛ばした一句。季語は「三日月」。
本人 フーゥ!めっちゃ
単純で効くじゃないですか、これ。
浜田 (笑)
【本人談】秋とはいえ、昼間は暑いため半袖で出かけてしまう。夕方に冷えてきて、やっぱり秋なんだと気付く。中七は「冷やす」と”半袖着てきちゃって~”と「冷やかす」の意味合いを掛けた。64点でっか?
東国原名人 これ僕ね、筧さん昔ね、
「第三舞台」という劇団…。
→サードステージが運営していた劇団で筧利夫らが輩出した(既に解散)
浜田 ちょっと待って、あなた
思い出話ばっかりやん。
一同 (笑)
東国原名人 そん時にね、便座カバーを持ってね、台詞を言ってるの。この人は絶対出てくるなと思ったら出てきたの。
→1987年「朝日のような夕陽をつれて」の同シーンが紹介される
でもこれは、
あの頃の筧さんの芝居(笑)。彷彿とさせるよね。
本人 (東国原名人へお辞儀して)
ありがとうございます。
夏井先生 良い所ももちろんある。
「三日月」が「半袖」を「冷やかす」という
一種の擬人化が気に入った。
普通、
擬人化はわざとらしさが出るので上手くいかない。
この句は
愉快にやっていて、おかしみがある。
上五が問題。「
帰り道」と説明しなくても、後半を丁寧に描けば「帰り道」だと伝えられる。
この語順だと、”帰り道「
に」三日月「
が」冷やかす半袖「
ですよ」”という、
散文をちぎって俳句っぽくしたという散文的な匂いが残る。
上五を諦めるだけ。簡単なこと。「三日月」から始める。
「三日月
が」で上五が出来る。「冷やかす」の後に1つ入れる。
「三日月」で夜だと分かっているが、
「夜の」「夕の」と時間帯を入れる。
仮に「夜の半袖を」とすると、
朝出てくるときは暑かっただろうと分かるが、夜だから帰り道に違いないと、読み手は想像してくれる。
メカニズムが分かりだしたら、才能アリにいくと思う。
本人 火をつけてくれましたね~。[ここがポイント]あえて「夜」を入れる効果
※本来「月」とあれば「夜」はいりませんが、「夜の半袖」とあえて入れることで、この日の昼の気温、帰り道であることなど、様々な状況が伝わります。
添削後
『三日月が 冷やかす夜の 半袖を』◆4位
凡人62点 加藤シゲアキ(NEWS)
『めんつゆが 一・五本 秋の宿』◎日常をキャッチするアンテナがあり季語の力で作品にできる。自分の家の光景と伝える工夫を。すぐに伸びる。
【本人談】夏のお中元でそうめんや冷や麦をもらう。めんつゆもいっぱい買うが、消化しきれずに麺もめんつゆも(冷蔵庫に)中途半端に残ってしまう。季語「秋の宿」は自宅の意味で使い、1.5本(めんつゆが)中途半端に残っているという。
中田名人 加藤さん、これ
分からない句です。めんつゆが1.5本
残ってるんでしょ?
本人 残ってる。
中田名人 よく、夏井先生言いますよね。「
残ってる」と書きなさいって。
浜田 なるほど。確かに。
本人 そうっすね~。
夏井先生 中田さん、偉い。学んでる~。偉い、その通り。
ただ、
発想としては悪くない。めんつゆが1.5本残ってることは、ホントに他人にはどうでもいいことで、くだらないといえばくだらない。
俳句というのは、
小さなくだらないことを俳句の型に落とし込み、季語の力を借りるとどうでも良いことも作品になっていく。
この人は、「ここを切り取ったら良い」ということを
キャッチする力、アンテナはある人だと思っていた。
「秋の宿」が誤解を生む。普通の家で1.5本というのはどうなんだろうか、と読み手によっては
「宿」で民宿や旅館の方向へ読んでしまう。
誤読の恐れを残すより、
「残す」と書いた方が良い。ねぇ~?中田さん。
中田名人 ねぇ~。
夏井先生 書いたらいい。「
残り秋」と下五を変える。こうすれば、絶対に自分の家だと読む。「秋」という季語が面白い働きをし始める。
浜田 書かないと!一同 (笑)
浜田 残ってんだから。書かないと!
本人 いや、おっしゃる通りです。
夏井先生 この人、
すぐ上手くなると思います。
浜田 ほぉ~。
添削後
『めんつゆが 一・五本 残り秋』◆最下位
凡人60点 古閑美保
『とんぼうの 空へ勝利の 歓喜湧く』◎空間を作るのは良い。歓喜は「湧く」もので何の「勝利」か不明。季語を活かす語順にし上五は色々とできる。
※スポーツで勝利した瞬間に発想を飛ばした。「とんぼう」とは、とんぼの俳句的表現。
【本人談】(ゴルフでは)秋口はトーナメントも佳境。夕方は(グリーンにも)とんぼが飛んでいる。(パットを決めて)勝利を確信するときに、歓喜とともにとんぼが空へとというのを詠んだ。
東国原名人 ゴルフだったんですね。
野球でも何でも当てはまりますね~。
「湧く」は余計かなという感じがしますね~。
夏井先生 今、
名人が語ったことは当たっている。
「湧く」がいるかどうかは大事なポイント。
本人の一番の工夫は「
とんぼうの空へ」ではないかと思う。
空間を作るのは良い。
東国原名人も言ったが、
何の勝利か分からないのが一番大きな問題。
「歓喜」といえば、
大体「湧く」もの。これはなくても十分。
整え方として、「歓喜
は」と一音足して、「とんぼうの空へ」と空の映像で終わった方が、
季語も活きるし、歓声が空へ上がっていく感じが出る。
上五で
スポーツなのかをはっきりさせる。何でもやれる。
例えば、「タッチダウン」ならアメフト。「満塁ホーマー」なら野球になる。
スポーツ以外もできる。「へそくり発見」。
→浜田が笑い、東国原名人が「それ良い!」と食いつく
これだけあったら何でもできる。お話でゴルフと分かったので、「勝利の
パット」で完成する。
本人 いや~、
素晴らしいですね。やっぱり。
添削後
『勝利のパット 歓喜はとんぼうの空へ』
『タッチダウン 歓喜はとんぼうの空へ』
『満塁ホーマー 歓喜はとんぼうの空へ』
『へそくり発見 歓喜はとんぼうの空へ』★特待生昇格試験★浜田 中田さん、どうですか。今、2段。
中田名人 いや、私。
本当に焦っている。本当に焦っているんです。
ジュニアさんも志らくさんもドンドンきているでしょ?1級ばっかりなんです。
→2段階下の1級に5人が並び、下からの突き上げに焦るという中田名人
浜田 中田さんはもう顔がもらえたらいいんですよ、ウチ。驚きの顔さえもらえれば(笑)。ハイ、これ。
→春光戦で8位に終わった時のサスペンス顔がまたもや画像で披露されてしまう
中田名人 は、やめて~。
浜田 これを毎回もらえればいいんです。
◆『閉じる門 「さよなら」は 秋夕焼色』 中田喜子【本人談】小学校の校門が閉まる瞬間を詠んだ。あえて「閉じる門」にしてみた。閉じていく瞬間に、ひょっとしたら奥から小学生が走って来るかもしれない。そういう映像も夏井先生に分かっていただきたいと思い、「閉じる門」にした。
東国原名人 僕は
なかなか良い句だと思います。
→両手を握りしめて笑顔になる本人
東国原名人 「さよなら」を色で表現したと。まあ、ここは
おしゃれだな~と。普通に考えたら上がる句ですけど、でもね…。
→急に横を向き、びくっとした顔になる本人
東国原名人 視聴者は中田さんのあの顔を見たいんです。
一同 (笑)
→No!No!と指を立てて困惑顔の本人
夏井先生 この句の評価のポイントは
上五「閉じる門」です。
→しまったかのように驚きの顔を見せてしまう本人
浜田 もう出たやん!本人 いやいや。
■査定結果名人2段で
現状維持理由:何の門なの?
◎ひねりすぎて伝わらず。学校ではなく刑務所と誤読される。素直に場所を書けば後半の台詞の主は限定される。
本人 (悲鳴を上げて)ああ~!
夏井先生 「さよならは」と展開するため、学校の門だと言いたいのはわかる。
ただ、
「閉じる門」にしたら、“閉じようとする”色々な動きや人物が見えるに違いないから、ここは一ひねりしてやろうと思い過ぎて、逆に「刑務所?」とか(別の読みが生まれる)。本人 うっそー!
浜田 なるほどね。「さよなら」言うてるから、ホンマに
刑務所かと思う。
本人 そんな…。
夏井先生 本人が思っていることが読み手に正しく伝わるかの保証が、工夫したばっかりに弱くなっている。
浜田 さっきの話で言ったら「
校門」って書くべきでしょ。
夏井先生 その通り。素直に書きゃいい。
本人 あ~。
夏井先生 逆に普通に書けば
「閉じる」ことは読み手が想像してくれる。
「
校門の」って書きゃいい。
こうなると、
後半の声が限定される。
その声は子どもたち。
「先生、さようなら」。先生が「また、明日ねさようなら」と。その「さよなら」の声は秋の夕焼け色だと言われれば、「そうだね。”秋夕焼色”の比喩が綺麗だね、可愛いね」と思う。
ここを押さえないから、(刑務官に)「
もう2度とここに来るなよ、シャバに出たら」となる。
浜田 いや、ホンマにそうやわ。それ言われたら確かにそう(刑務所)やわ。中田さん。
本人 え~。
普通、校門でしょ!浜田 あっはは。
添削後
『校門の 「さよなら」は 秋夕焼色』★永世名人への道★※これまで1年にわたり一進一退を4度も繰り返してきた東国原名人。過去12回の成績は前進4、後退4、星なしの現状維持が4で最高星1つ、現在は無星である。
浜田 さあ、今回どうでしょうか。もう、色んな事(上下の繰り返しをを指で表現して)なってますから。
東国原名人 上がったり下がったり。も~本当に
精神的にね、非常に負担がかかるんですよ。俳句出したら、それが
降格!とか。楽しそうに言うじゃん!
浜田 アハハ!
東国原名人 (浜田を真似て)「
ワンランク、降格!」みたいに。
玉巻アナ その挫折感をツイッターで「
俳句ハラスメント、つまり俳ハラだ。訴えたら勝てる」と書いていらっしゃいます(笑)。
浜田 ”
俳ハラ”。
東国原名人 法的措置を検討してますからね。
◆『謹慎の 身に沁む タップダンス踏む』 東国原英夫※季語は「身に沁(し)む」。
【本人談】21年前(1998年)に不祥事を起こさせていただき、それで謹慎した(▼)。たけし軍団は当時タップダンスを練習していた。謹慎で仕事はゼロになるが、それだけはどうしても辞めたくなかった。このタップダンスを練習しても、それを披露する場所があるのだろうか。未来はどうするのかという不安の中で、1人練習場でタップダンスを踏む音が自分の身に沁(し)みていく。
▼東国原は当時、都内で未成年に違法労働をさせていたイメージクラブ店で、摘発前に未成年と知らなかった少女から性的サービスを受けていたことが発覚。自身に違法性はないものの、週刊誌に暴露されて約5か月に及ぶ自主謹慎に追い込まれた。
夏井先生 この句の評価のポイントは
「謹慎の身に」という展開の是非です。
■査定結果名人10段★1へ
1つ前進理由:凄い情報量!
◎一句が破綻しなかった。季語の置き方が良く「謹慎の身」の状況と下五で職業が想像できる。動詞の韻も良い。
本人 いや~、ごめんなさい。
「俳ハラ」で訴えるのやめます。
一同 (笑)
夏井先生 よくこれだけの
情報を一句に入れて破綻しなかったと思う。
工夫が2つほどある。
まず、季語の置き方に工夫がある。「
身に沁む」が秋の季語。秋のもののあはれ、冷たさを感じる季語。
【身に沁む】秋の季語 秋の寂しさが身に染みるように感じること |
「
謹慎の身」という風にくっつけている。ただの身ではなく、謹慎の身であると。
季語の状況が分かると、ますます身に染みてくる。
「沁む」でカットが1回切れる。このままサラッとやると、
「何の謹慎か?」と問い詰められることになる。
ところが、後半に「
タップダンス」という
具体的な情報が入っている。少なくとも何か芸能をやる職業の人とわかる。
謹慎の身だが、いつ舞台に上がれるか分からない。
タップダンスをひたすら練習しているに違いないということは読み手は想像できる。
「沁む」「踏む」と韻を踏むと、繰り返されていく謹慎の日々のイメージもそこはかとなく伝わる。
しかも実体験。大したもんだと思う。
謹慎の身でよくぞここまで、ホントにお見事(笑)。直しはいらない。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 まあ、それはさておき「
俳ハラ」ですか?(笑)「
俳句ハラスメント」?
まあ、それぐらい引きずるほどね、
真剣にやっていただいてるのが私としては嬉しゅうございますよ。
浜田 なるほど。
夏井先生 これからも
「俳ハラ」頑張っていこうと。
一同 (笑)
浜田 一個とりました。おめでとうございます。
本人 やっぱ、
謹慎もしとくべきですね。
浜田 何でやねん。
添削なし編集後記兼題写真は東京・谷中商店街の階段からの風景。事前の週刊誌では「秋夕焼の帰り道」でしたが、次回予告で「夕方の帰り道」となり、本番では「夕方の買い物帰り」とタイトルが変わっていきました。たまにこういうことがありますね。編集で伝わりやすい表現に変えているのかもしれません。
1位は特待生になれなければ筆を置くと宣言した篠田さん。「引き波」という表現に読みが広がり、情景が出ていました。当初は風景描写が多く、最近は人物描写が続いていましたが、どちらも詠める安定性は素晴らしいですね。特待生になりきれない枠は初耳でしたが、まだ才能アリ1回の星野さん、前回「秋探し」を夏の季語だと誤魔化した藤井さんと一緒にされるのはおかしいのでは。どちらかと言えば、筒井真理子さんや武井壮さんがその枠のイメージです。女性5人目の特待生ですが、東国原名人はどのように思っていたのでしょうか、気になります。
2位は前回才能ナシだった朝加さん。コメントもいただきましたが、「冴ゆる風負けぬ子どもら頬溶かし」で35点からジャンプアップ。以前、バチェラーで有名な久保裕丈さんの「秋寒の日に照らされて朝餉ぬくぬく」と表現が似ていますが、柴田さんが2年前に同じ商店街のお題で「もてなしの豆腐ぶら下げ風の盆」と詠んだ発想と似ているように感じる、無難で手堅い一句でした。
3位は筧さん。上五が説明的とは言え、「三日月」が夕方から夜にしか出ないという時間帯も限定される季語の選び方に工夫がありました。あえて「夜」と入れる添削は「半袖」の暑さと夜の寒さの対比が良く表れる印象ですね。
4位は初登場の加藤シゲアキさん。ジャニーズきっての文豪だとかいきなり特待生候補だとか、この番組は表現が大袈裟すぎます(困)。しかし、あの写真から「めんつゆ」が出てきて、なおかつ「一・五本」という数詞への展開は意外性があり上手いと思いました。この数詞も絶妙で、〇・五本や二本では何の面白みもありませんが、未開封と開封済みのめんつゆが1本ずつあるという光景を描くことに意味がありました。
最下位は凡人ながら高得点のゴルファー古閑さん。アスリート枠ですが最近調子が出ません。「とんぼう」の表現で俳句に書き慣れている感じが伝わりますが、何のスポーツかわからないという問題点を指摘されました。以前のタイトル戦で、中田名人が「連覇のさきぶれ沸き立つ初電車」と詠み冬麗戦予選1位。土屋太鳳さんが「決戦の熱冷めやらぬ氷水」と詠み才能アリと月間賞を獲得しています。これらの句も何の競技かは断定できないのですが、かなり絞り込めるスポーツだと読み手が自身の経験で感じ取れる句になっており、季語が引き立つ形で高評価でした。今回は、上五を4パターン示されましたが、いずれも字余りの六字でした。コメントいただきましたが、最下位60点は過去最高タイで千原せいじさん以来2回目です。
特待生昇格試験は何かと苦しむ2名人。
焦っている中田名人は連続現状維持。学校の帰りの様子を描く意図は伝わりますが、上五が何となく説明的にも感じ、季語を色で比喩すると本来の意味が弱くなる点も気になりました。あのサスペンス顔を喜ぶ浜ちゃんは「悪人」ですが、キャラとして引き立ってきた印象はあります。女性最高位名人ですが、何とか10段まで上り詰めてもらいたいですね。
5回目となる星獲得で「俳ハラ」訴訟の取り下げを表明した東国原名人。謹慎というネガティブな方向で取り合わせる点は毎回同じですが、難しい季語「身に沁む」の使い方はさすがというところ。後半の展開も良く、聴覚に訴える一場面の切り取り方が成功しました。この季語は、以前キスマイ二階堂さんが運動会のお題で「レンズ越し我が子の涙は身に入む」で才能ナシに沈んでいます。下手に描写せず、実体験で勝負する方が成功する東さんですが、次回が本当の勝負です。また、兼題から離れ過ぎている点も気になりますが、他にも複数句提出しているはずですので、どんな句か見てみたいところです。
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