「プレバト!!」で披露された芸人 光浦靖子(オアシズ)の全俳句一覧です。
旧特待生 光浦靖子(みつうらやすこ) 合計6句
成績(2019年10月31日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ3回、
凡人1回、
才能ナシ1回
<特待生時代>
1ランク降格(特待生陥落)1回
●昇格率 0%(0/1)→50音別一覧ページへ →ページ下へジャンプ→
人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 凡人 | 数の子を砕く娘は四十六 |
2 | 才能ナシ | 春昼にひび割れのまま象と脛 |
3 | 才能アリ | カナブンに撃たれて起きる郷の駅 |
4 | 才能アリ | 急停車よろめきもせず春袷 |
5 | 才能アリ | 無花果や苛めたきほど手に懐き |
6 | 1ランク降格 (特待生剥奪) | 金貸せぬブーイングのごと虫鳴けり |
▼人物紹介「プレバト!!」では2017年に初出場した東京外国語大卒という高学歴芸人。22年間続いた他局の番組で、自身も出演していた"太いパイプ"こと「めちゃ×2イケてるッ!」の番組終了発表以降にコンスタントに出演するようになった。芸能界屈指の読書家として知られており、初回は凡人となるも面白みのある一句で反響を残している。
句の特徴はまるで川柳のような滑稽な発想と場面描写力。説明時に"ドキュメンタリー"という言葉を用い、コントのように面白おかしく語る傾向があるが、実感がこもった面白い発想は夏井先生も評価しており、本人談後にスタジオで笑いが起こることもしばしば。季語の選び方も洒落ている印象で、取り合わせる動詞も芸人らしい考えがあり、他の人物には見られない雰囲気の句を詠んでいる。また、描写に徹しながらも小説のイメージを入れた句もある。
初登場時に「早く番組に出たかった。俳句と生け花を学びたくて、この番組ならタダで習えるじゃん!」と語るなど気合いは十分。NHKの俳句番組にも出演経験があり、褒めてくれたと告白している。
また、東国原名人は「(当時)皆藤さんのような若い女性が特待生に上がってほしい。光浦は頑張るな」とけなし、「のし上がってやる」と返すが才能ナシに沈んだことも。
浜田から紹介時に「ガラクタ」扱いされることもあったが、昇格査定SPに出演が決定。見事に1位を獲得し、通算26人目・女性7人目となる特待生認定をされ、本人は「ゆっくりと番組で私を育ててほしい」と語った。
夏井先生は2度目の才能アリを獲得時に「場面を描写する力が前々からあり、さらに勉強すると伸びる」と期待感を示し、3度目の才能アリを獲得時に「この人は作家。あなたは本当に才能がある。久々に期待の特待生だと思う」と絶賛した。
しかし、一斉査定SPで降格査定が下され、羽田圭介以来となる2人目かつ女性初の特待生剥奪という憂き目に遭うことに。今後、リベンジを果たせるかに注目が集まるといえる。
●[1]お題:年末のアメ横
『数の子を砕く娘は四十六』凡人2位60点
添削後
『娘(こ)は四十六数の子を噛み砕く』
季語「数の子」は子孫繫栄の象徴の意味があり、おせち料理の数の子を奥歯でバクバクと食べる娘の作者自身を見た親が「(46歳にもなって)もうダメだな…」と思う親目線で詠んだ一句と語った。先生は「本当に発想は面白い」と評し、アメ横→買い物→年用意→数の子への展開は連想ゲームのようで、滑稽味も俳句の1つの要素や持ち味だと解説。問題点は「砕く」の動詞で、昔の"乾燥数の子"を砕く動作に誤読されると指摘。「噛み砕く」なら映像がありありと見えると語り、娘の場面から始めるべきと、「娘(こ)」と一音で読ませて句またがりで語順を整える。色んなテクニックがあることに「ウェ~」と反応する本人を注意する先生は、最後に複合動詞「噛み砕く」と置いて口のアップが残るように添削した。これなら今日は才能アリにいったと評し、本人は悔しい表情を見せた。
●[2]お題:
春の動物園『春昼にひび割れのまま象と脛』才能ナシ4位35点
添削後
『春昼やひび割れ深き象の脛』
『春や象のごとくひび割れたりし脛』
季語は「春昼(しゅんちゅう)」。特待生が遠ざかる結果に「よし!」と喜ぶ東国原名人に本人が言い返してしまう結果となった一句は、暖かい日に初めて下着のヒートテックを脱ぎスカートで動物園に行くと、象の皮膚はシワシワだと思うが、自身の脛(すね)もクリームを塗り忘れてバリバリだと気付く"ドキュメンタリー"を詠んだと語った。東国原名人は「"象と脛"って久々に吹いた」とコメント。「最初は誤解して読み今日の1位だと思った」と意外な反応を示す先生は、象「の」脛がひび割れている意味かと思い、添削の1例目に修正すれば、象の脛がありありとクローズアップされてダントツの1位だったと解説。しかし、読み直して「己の脛か!」と意図を解釈して叱りつけ、語順が全然アウトとダメ出しし、読み手に伝わるように苦渋の添削を即興で行う。「自分の脛は見るのはやめなさい。前にある対象を見ましょう」と忠告し、本人は泣きべそをかいてしまった。
●[3]お題:
帰省ラッシュ[新幹線の空席案内板]『カナブンに撃たれて起きる郷(さと)の駅』才能アリ2位70点
添削後
『カナブンに撃たれ目の覚む郷の駅』
季語は「カナブン」。お盆で混雑する新幹線を豊橋駅で降り、"チンチン電車"の渥美線に乗り換えるが、すごい勢いで飛んでくるカナブンが顔に「がつん!」と当たり、車内で起こされるという田舎ならではの"ドキュメンタリー"を詠んだと語った。志らくは「梅沢さんなら"素晴らしい"と言う。『撃たれて』が気になる」と語り、千賀は「中七で寝ていたことを表現できているかが怪しい」と評し、先生はその場で頷き小さく拍手する。「カナブンに当たった実感がストレートに描かれている」と評す先生も、地元松山では日常的に経験すると語り、中七「撃たれて」は未経験の人には大袈裟に思えるが、実感として伝わると褒める。問題点は「て」の一音で時間経過が表現され、「撃たれ」の衝撃に緩みが出ると指摘し、「起きる」を「目が覚めて」とした方が、皮膚感と目の部位が具体的に表現されると解説。小さな臨場感と迫力を伴う添削に本人は、「うちの田舎が地方都市でカナブンが凄く出る。量販店があるので、それほど田舎じゃない」と切り出し、「何の言い訳やねん!」と浜田に返された。
●[4]お題:
大型連休の電車『急停車よろめきもせず春袷』才能アリ2位70点
添削後
『急停車に蹌踉めきもせず春袷』※字幕では『
急停車に蹌踉もせず春袷』
季語「春袷(はるあわせ)」は表地に裏地をつけて仕立てた着物。1位だと思っていたと残念そうな反応の一句は、電車内で着物を着た素敵なご婦人が背もたれに持たれずに良い姿勢で座る様子を描写。中七は"オロオロしない"意味と、三島由紀夫が1957年に発表した長編小説『美徳のよろめき』から、"精神的にもしっかりしている"という意味を掛けたと語った。先生は「きちんと場面が切り取れている」と評し、上五で体が揺れると思いきや、中七で人物の様子が描写され、最後に季語を出す語順もよく考えていると解説。それぞれが名詞または終止形で終わる"三段切れ"になりかけているのが問題点で、字余りでも続けた方が良いと微調整して場面を確定。さらに、「蹌踉(よろめき)」と漢字表記にすれば、字面の効果で三島のイメージが出ると添削を続ける。「場面を切り取ることが前々から出来ており、さらに勉強すると伸びる」と背中を押し、本人は嬉しそうだった。
●[5]お題:
秋の果物屋さん『無花果や苛めたきほど手に懐き』才能アリ1位▸5級73点
添削なし
季語である「無花果(いちじく)」の果実を手に持つと、形と重みがまるで生き物のペットみたいで、可愛いからこそ「ベッ」とやりたくなるような感情を詠んだ一句。藤本名人は「ホントに感性と発想が独特。めちゃくちゃ面白い句」と絶賛し、先生も「季語の感触をリアリティとオリジナリティを持って書けるのは大したもん」と前置きし、「素晴らしい」と連呼してべた褒めする。17音で季語だけを描く高度な技法"一物仕立て"で無花果を見事に描いたと評し、丸み・重さの感触が無防備な小さな生き物だと感じる語りも良いと解説し、「神の領域で見ているような」と語る本人と意気投合する。無花果以外の果物ではその感覚を表現できないと念押しする先生は「この人は作家。本当に才能がある。久々に期待の特待生」と称賛し、本人は驚くように喜ぶ。「私、今年良いこと何もなかった」と語る本人に先生は「良かった」と頷いた。
[ここから特待生として査定]●[6]お題:
ATMの行列『金貸せぬブーイングのごと虫鳴けり』通常挑戦者へ
1ランク降格(特待生剥奪)添削後
『金貸せぬとごまかす虫の鳴きしきる』
季語は「虫」。微妙な関係の男性と2人で旅行する話になったが、男性が金欠だと告白したため「金は貸せない」と言い返すと、場が静寂に包まれた。外の虫の声が「お前が金貸せ」とのブーイングのように聞こえたという実体験を素直に書いたと語った。藤本名人は「悲しい句。比喩が生きたかの是非」だと語り、査定ポイントも中七の是非に。特待生剥奪に泣き声を出す本人は、特待生は時期尚早だったと言い訳をし、足を痛める仕草を見せる。「比喩が説明的」と評す先生は、世間で言いにくい生々しい体験を書く姿勢は褒めるも、中七が下手だと一刀両断。「虫の鳴き方」「金貸せ」の内容を比喩で説明しただけと指摘し、上五も作者が言っているのか、言われているのかが不明確だと続ける。先生は添削の方向性を確認し、「(彼と)音信不通になった」と寂しそうに返す本人を「人生色々ある」となだめる。さらに、先生は相手を突っぱねたのかと確認し、スケールが小さくなる「ごまかす」に動詞を変える。"しきりに鳴く"を意味する「鳴きしきる」で添削を続けた。最後に「発想だけは良いが、技術を勉強して出直してきて。何回かかるか知らないけど」と半笑いで忠告した。
[再び通常挑戦者として査定]
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