fc2ブログ

記事一覧

20190711 プレバト!!俳句紹介【夏の日光】

2019年7月11日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は講評の50字要約です。

挑戦者→畠山愛理[初],田中要次[4],池上季実子[3],朝夏まなと[初],藤井隆[8],横尾渉[32],立川志らく[20], ※数字は挑戦回数

●お題:夏の日光 ハイキング

※番号クリックでリンク内移動します。
 1才能アリ1位70点畠山愛理
せせらぎを跳ぶシニヨンや夏の雲せせらぎをとぶしによんやなつのくも
2凡人2位60点田中要次
男体山逆さに映る夏の湖なんたいさんさかさにうつるなつのうみ
3凡人3位57点池上季実子
万緑の木陰に光る白樺ばんりょくのこかげにひかるしらかんば
4凡人4位55点朝夏まなと
夏の朝せせらぎの音に光る道なつのあさせせらぎのねにひかるみち
5才能ナシ5位??点藤井隆
夏探し頬触れる風肩をすくめるなつさがしほほふれるかぜかたをすくめる
61級へ1ランク昇格立川志らく
豪雨の登山これより先は神の庭ごううのとざんこれよりさきはかみのにわ
7名人4段へ
1ランク昇格
横尾渉
(Kis-My-Ft2)
ひまわりや廃線沿いのラーメン屋ひまわりやはいせんぞいのらーめんや
→編集後記

◆発表待ちシートで

浜田 さ、池上さんは?
玉巻アナ 池上季実子[女優:1984年日本アカデミー賞優秀主演女優賞]さんは3回目の挑戦となります。1回目は才能ナシ最下位でしたが、2回目は才能アリにジャンプアップでした。
浜田 あら!やるじゃないですか。
池上 たまたまです。毎回お話しいただく度に憂鬱になってるんですよ、私は。
浜田 1回獲ってるじゃないですか。
池上 獲ってますけど…、あれは自分でも意外でしたね。
浜田 そんなん言いながら獲ったら殴りますよ
***
浜田 お隣は田中要次さんでございます。
玉巻アナ 田中要次さんはこれまで3回挑戦されまして、全て凡人査定でいらっしゃいます。
浜田 ははは。まあでも才能ナシじゃないし。
田中 這い上がりたいですよ。
浜田 そうよね。もう何回目やねんってことですから。ちなみにですけど、このライン(浜田・田中・志らく)は全員同級生(1963年生まれ)です。
→観覧席から驚きの声が上がる
田中 すごい、直列に。
志らく 同い年、ふふっ。
***
浜田 志らくはんも足踏み続いてたのよ。で、前回ポンと上がったんです。
志らく あの東大生(鈴木光)のせいで、ずーっと足踏みが続いて、ようやくそれをこう打ち破って。
浜田 そういうことです。
志らく だから最近全然進まないから、スーパーマーケットで知らないおばちゃんが私のそばへ走ってきて、「いつまでボヤボヤしてんだ!早く名人になんなさい!」と怒鳴りつけられた。
横尾名人 それ僕も言われます。
浜田 マジで?
横尾名人 「あんた最近、存在感がない。俳句しかないんだからちゃんとやりなさい」と。
***
●新体操元日本代表でNHK「サンデースポーツ」のキャスターも務める畠山愛理を紹介。
玉巻アナ これまで女性アスリートの方は7人俳句査定に挑戦していますが、才能アリを獲ったのは4人もいらっしゃいます。
女性アスリート才能アリ凡人才能ナシ
杉山愛210
廣田遥100
青木愛010
鈴木明子010
古閑美保120
北斗晶010
潮田玲子110

畠山 そんないるんですか?
浜田 ここであなた才能アリ獲らないと。何のためにこうしてたか(新体操のポーズ)分からへん。
***
浜田 藤井は成績いいのよね!
藤井 ありがとうございます。
玉巻アナ そうなんです。過去7回中4回も才能アリ1位に輝きました。
浜田 最近すごいよね。
藤井 え?そんなこと言ってくれるんですか!調子乗りますよ。そうなんです。
***
●朝夏まなとは元宝塚歌劇団宙(そら)組のトップスターで愛称は「宙組の太陽」と紹介。
***
・残るは1位と最下位、畠山と藤井の一騎打ち。
藤井 (畠山に)最下位大丈夫ですか?僕、上行かしてもらいますね、ごめんなさい。
畠山 え…?私が1位でもいいですか?
藤井 いやいやいやいや、こちらが…。(カメラ目線に)一旦コマーシャルです。
→畠山もカメラににっこりとキャスターぶりを発揮する
浜田 おい!編集をすな
***

◎それでは順位別に見ていきます


◆1位 才能アリ70点 畠山愛理
せせらぎを 跳ぶシニヨンや 夏の雲
◎情景と人物でカットが切れて視線が上に広がる展開で一句に立体感や遠近感が出た。基本を押さえた確かな句。

本人 いや、ビックリです、自分で。正直最下位かなとちょっとビビッてました。
浜田 あ、そうなの?

※「シニヨン」とは、新体操の選手がよくする、束ねた髪をサイドや後頭部でまとめた髪型のこと。

【本人談】
シニヨンの髪型をした女の子が、浅い川を楽しそうに渡る様子をイメージした。

志らく 「シニヨン」って何ですか?
浜田 いや、僕も。僕も…ほんまに。
本人 女の子が…髪の毛をこうまとめるのをシニヨンって言うんですけど。
→ポニーテールを丸くまとめた感じのようです
志らく 最後の「夏の雲」がポーンと出てくるのが素晴らしいんじゃないですか、いきなりねえ。

夏井先生 
それぞれの言葉が、それぞれの言葉を邪魔しない形で置かれている。そこを褒めたい。
せせらぎ」は場所だけでなく、せせらぎの「光」が見えて「音」も聞こえる
「跳ぶ」動作の後、「シニヨン」で人物とわかる。
「シニヨン」が分からない人は、ここで終わる
これは、言葉の知識の問題で良い悪いを言ってもしょうがない。
「せせらぎ」と人物が出て「」でカットが切れた瞬間、「夏の雲」という季語が広がる。この広げ方が鮮やか
「せせらぎ」と人物の両方とも視線は下の方だが、カットが切り替わった瞬間に「夏の雲」と視線が上に広がる
そうすると、一句に立体感や遠近感が出る
俳句の基本をしっかり押さえた確かな句になっている。直しはいらない。

本人 え?ホントですか。
浜田 直しなしでございます。
本人 ありがとうございます。

添削なし

◆2位 凡人60点 田中要次
男体山 逆さに映る 夏の湖
◎湖に映る月のクレーターの光景の意図まで読み取れず。「映る」は不要。昼から夜への時間経過を語順で表現。

本人 これはね、普通に読むと凡人の句なんですけど…。
浜田 いや、凡人の句ですよ!凡人って言われてるんやから。

【本人談】
実は昼と夜の2通りに読める。昼と読むと、男体山が逆さに映っている日光・中禅寺湖。これは普通の解釈。夜の場合は、夜の男体山から逆さに映っている(「月」の)夏の湖(うみ)、どういうことかわかりますか?

浜田 わかんないっす

※「夏の湖(みずうみ)」は、黒い玄武岩質で覆われた月の平原「月の湖」(=いわゆる「海」といわれる部分)の一つで、月の西縁に位置する。

→番組では「クレーターの名称」として紹介されましたが、クレーターは天体の衝突跡のことで、「夏の湖」の場合、2つの小規模な月の湖を指すのが本来の意味で、複数のクレーターの一部を含むようです。

※田中の句は、夜の湖に「夏の湖」で月が映っている様子を表現。つまり、一句で昼と夜、2つの意味を伝えようとした。

志らく (苦笑しながら)じゃあ、そういう風に詠まないとダメじゃないですか。これだったら、そのまんまに読むと凡人の句になって、その狙い通りに詠んだならば、優秀な句「才能アリ」に行けるんじゃないですか。
浜田 今しゃべったことを、みたいな。
志らく だって、夜ってどこにも書いてないですもん。
横尾名人 逆さに「映る」と言わなくてもわかるのかな?
本人 確かにそれは思った。
横尾名人 説明になっているかな。そこが凡人なのかなーと。
本人 今日、気が付いた。

夏井先生 
これは今日気づく前に気付いてほしい。
月のクレーターまでをいうのは(俳句では)とても難しい。
せめて昼から夜に時間が映っていくのを17音で表現するにはどうすればよいか。
非常に簡単だがそれをやってみる。
名人の指摘の通り、「映る」は全くいらない
「映る」の3音で、昼から夜に光景が変わる映像を作る。
季語「夏の湖(うみ)」から攻めるしかない。これを上五に置くと、読み手は昼間だと思って読み始める
「逆さに」と続け、「夜の」と時間を入れるだけ。最後に「男体山」。
「逆さに」までは昼の光景だと思う。「夜の」で「えっ?」と思わせて脳に思い描く映像をスーッと夜に切り替わり、固有名詞が最後にどっしりと出てくる。
非常に簡単なこと。これをやっていたら、今日の1位はこの句だったかもしれない。

本人 (悔しそうに)うう~。
浜田 タナカ~!
本人 こんなシンプルな言葉があったのか…。

[ここがポイント]
2つの読みを込めるのは高度な技
※田中の句は読者が昼と夜のどちらで読むかで全く違う映像を想像させる狙いがあったが、俳句の容量をオーバーしている。出来るとしたら、昼だと思ったら夜だった、という表現。「夏の湖」で誰もが思うのは昼の光景。しかし、読み進めると「あ~これは夜の句なのか」と読者の脳裏に生まれる光景が変わるのです。

添削後
夏の湖 逆さに 男体山

◆3位 凡人57点 池上季実子
万緑の 木陰に光る 白樺(しらかんば)
◎下五の植物のイメージが主役の季語を食うことで互いに損。「陰」の表現にも問題。わざと映像のない季語に。

※季語「万緑(ばんりょく)」は夏の山を覆う一面の緑を表す、生命力に溢れる季語。

【本人談】
白樺は本来寒く涼しい所で白くなる木。それが夏の緑の茂った中で綺麗に光っている様子にインパクトがあって詠んだ。

志らく これが凡人なのは、季語「万緑」と「白樺」とが両方食い合いしているからではないですか。

夏井先生 
今日は特待生と名人が良い所、問題点をちゃんと指摘出来ている。今までにない良い特待生と名人だと思う。
万緑」は見渡す限りの草木が緑になる、かなり広いイメージの季語
その後に「木陰」とまた植物系の言葉が出てくる。「木陰」は基本的には木と葉の下にできる陰を指す。
「万緑の木陰」では、広い緑の木陰という意味となり、言い方に多少問題がある
万緑の林の中に白樺が見えるという意味ならば、「木陰」ではなく、「木間(このま)」にすれば空間が出来る。そこに白樺が光るイメージ。
さらに、「樹間(じゅかん)」とすれば、響きが綺麗になるかもしれない。これはどちらでも良い。
ただ言わしてもらうと、「万緑」が季語なので、主役にならないといけない。この句は、最後に「白樺」の方が印象に残る。主役を食った白樺が残る。ここが一番勿体ない。
才能アリを目指すために1つアドバイス。
同じ植物だから食い合う。季語を映像を持たない「七月」とすれば主役になる
わざと映像のない季語に、映像である白樺を添える。
こうやったら、これが今日の1位だった。

浜田 おいおい、色々1位があるなぁ。

[ここがポイント]
内容にふさわしい季語を
※季節の感動を表現する俳句において、主役は季語。季語の万緑の映像と白樺の映像が強すぎるため、お互いに損をします。どうしても「白樺」を使いたいなら、季語をあえて映像を持たない「七月」とすることで、「白樺」を立てつつ季語を主役にできるのです。

添削後
の に光る 白樺

◆4位 凡人55点 朝夏まなと
夏の朝 せせらぎの音に 光る道
◎中七・下五の情報の微妙な重なりは詰めが甘い。自分の名前を季語に読み込むなら季語を押し出す語順へ。

【本人談】
兼題写真を見て、きっと川が流れているだろう。そのせせらぎと日の光(日光の場所から連想)に道が照らされて爽やかな様子。私の名字は「朝夏」なので、どうしても「夏の朝」という季語を使いたかった。

横尾名人 僕だったら「せせらぎ」を先に持ってきて音を伝えるかなと思いますし、「せせらぎ」言ってんなら「音に」はいらないと思います。後は見た瞬間に「夏の朝」で”自分が主役になりたい”んだなと。
田中 言い方。
横尾名人 やっぱ、元宝塚なんで。
浜田 (ケンカ腰に)お前、久しぶりに来て色々言うな
横尾名人 仕事ですから。

夏井先生 
「せせらぎ」から僕なら始めるというのも正しい判断。
なぜなら、「せせらぎ」だけで川辺や河原が浮かぶ
その後に「音」を残すか、あえて「道」を残すか。
「せせらぎ」「音」「道」の3つの情報が微妙にかぶっている。そこの詰めが甘い
やり方は色々ある。本人は、「夏の朝」という季語が気に入った名字「朝夏」を詠み込んだと。それはわからなかった。なるほどと。
そしたら、「夏の朝」を主役に押し出してみる。
「音に」は生かして、「道」は消す。「音に光る」とすれば、おのずと光りだすという意味になる。
最後に「夏の朝」とすると、せせらぎの音によって朝自体がキラキラするかのような感じ。
そうすると、「夏の朝」が主役として一歩前に出る。

本人 勉強になります。

添削後
せせらぎの 音に光る 夏の朝

◆最下位 才能ナシ??点(得点発表なし・正式発表があれば修正) 藤井隆 ※本人談後に凡人45点から減点
夏探し 頬触れる風 肩をすくめる
◎「夏深し」ではなく秋を表現したい意図なら全然アウト。2カットにして場所を描き風の様子を描写すべき。

(1位の畠山が先に移動しようとするのを見て)
本人 嫌味~!嫌味~!1位後やん。
浜田 はよ行けや!(藤井にビンタ)
本人 嫌味、嫌味
浜田 初めて来たから分からへんねん。なんやねん、腹立つわ~、あいつ、ほんま。

【本人談】
兼題写真をずっと見ていると、夏の日光というよりは涼しそうな秋の気配を感じてしまった。

※秋の訪れを感じる風が吹く中、野山にまだ夏を感じられる何かを探しているという一句。
→この後、夏井先生の逆鱗に触れることに

志らく 夏探し(なつさがし)」って…これで秋を描こうとしているんですか。涼しくなってる…。これ「夏深し(なつふかし)」の間違いだと思った。「夏深し」なら、そろそろ秋だから涼しい風だっていう。「夏探し」が混乱を招いているような気がしますね。

夏井先生 確認します!
夏探し」…は何ですか?
本人 え?秋の季語だ…、秋の季語です(→×不正解)。
夏井先生 秋の涼し気になってきた様子を表現したかったんですね?
本人 はい。
夏井先生 だとしたら…才能ナシです。
浜田 アッハハ!
畠山 ウソ?
浜田 マジか、才能ナシなん。
ランキングシートのパネルの色が凡人から才能ナシに変更される
本人 変わった。色変わった。
→例のごとく、人の不幸を喜ぶMC浜田
浜田 いや、先生君と話して多分変えたんだと思いますよ。そこが気になってたんでしょ、先生は。
夏井先生 
秋を表現したいなら全然アウト。探しちゃいけない。
夏が過ぎていった風ならそう書くしかない。「夏がゆく」でどうか。
「風」で、自分に問いかける。”これは夏が過ぎていく風かしら”と。
カットが切れて、人間が出てくる。
「頬」「肩」と2つ入れる必要はない。肩すくめてる場合じゃない
ここで場所を書かないと。どういう場所かが分からないと、風の涼やかさが分からない
「野」なら1音。「野を」とし、ひとネタ。「ゆく」とリフレイン。
触れてる場合じゃない。「頬」の後に一言。「さやか」とすれば、秋の気分になる。
残ったのは「頬」「夏」「風」だったと。
→終始爆笑する浜田と藤井本人

浜田 3つしか残ってない。ハハハハ。
本人 もう考えた時間返して欲しいです。もう、ホンマに恥ずかしいです。

添削後
 風を行く 頬

★特待生昇格試験★

浜田 今回どうでしょうか?自信のほどは。
志らく 皆さんとは全然違う視点でドーンと。
浜田 なるほど。わかりました。

◆『豪雨の登山 これより先は 神の庭 立川志らく

【本人談】
私の知り合いの経験。私は山には一度も生まれてこの方登ったことはない。日光でハイキングに行くと、比較的油断して登ってしまう場合があるが、激しい雨が降るので山を舐めてはいけない。何とかある程度登ると、急にパーッと晴れて(雲間から日光が差し込むかのように)神様の庭に来た気分だったと聞いたことがあり、それをそのまま詠んだ。

横尾名人 中七の「これより先は」は変えていいかなと。説明になってしまっているのではないかなと思います。
浜田 なるほどね。
本人 私は「これより先は」にこだわったんです。
浜田 ご本人はね。

夏井先生 
この句の評価のポイントは中七「これより先は」です。

玉巻アナ ズバリ、はい。

■査定結果
1級へ1ランク昇格
理由:下五を生かす伏線
◎中七は映像がなく下五も具体的な描写ではないが季語を引き立てた。登山のプロだと思っていたので呆然。

浜田 もうちょっとや、次名人や。
畠山 スゴーい。
→指摘を外したのではないかと横尾名人は苦笑い

夏井先生 
良い所を押さえる。
上五は7音の字余り出発した時は晴れていたが、歩き出していきなり豪雨になる。雲行きを見てみると通り雨に違いないと。
どう展開するかと思うと「これより先は」。具体的な映像は全然言わない。普通ならダメだとなる言葉。名人の指摘もあながち間違っていない。
→ふぅ~と安心する横尾名人
夏井先生 
この言葉はわざと伏線として置かれている。なぜなら、「一体何だろう?」と思わせて「神の庭」だと。これも決して具体的な描写ではない
豪雨の登山の後に初めて見ることのできる光景こそが神の庭だと持ってくる。
私は登山をかなりやってる人(の句)だとばっかり思っていた。
「やったことない」と言われて呆然としている。直しはいらない。

浜田 これ順調にきた。順調に来ている。

添削なし


●1年間も現状維持が続く迷える名人・横尾を査定

横尾名人 (元気がない様子で)もし落ちた場合、昇格しなかった場合は炎帝戦(次のタイトル戦)に予選から参加します。
浜田 あ~なるほど、なるほど。
横尾名人 それくらいの覚悟で
浜田 え?あとは?坊主(テロップは丸刈り)にするとか?
横尾名人 今、宮田(連続ドラマの役で)がやってるんで。
浜田 違う違う、ええやん。五厘にして剃ったらええやん。田中(要次)みたいな頭にせえ。
横尾名人 ……それぐらいの覚悟で!

◆『ひまわりや 廃線沿いの ラーメン屋 横尾渉(Kis-My-Ft2)
※夏の日光の写真から、自分がかつて見た光景へと発想を飛ばした一句。

【本人談】
廃線の横には定食屋やラーメン屋があるイメージがある。昭和や平成という時代を乗り越えて頑張っている(店主の)姿を見れるのかなと思った。

夏井先生 
この句の評価のポイントは「ひまわり」「廃線」「ラーメン屋」この3つの単語を取り合わせた是非です。

浜田 あ~、アカンかったんやな。

■査定結果
名人4段へ1ランク昇格
理由:対比から生まれる「映像」と「味わい」
◎丁寧に型を押さえた。「沿い」で長く広い光景を表現。季語の明るさと後半の暗さの対比が良く言葉を信じた。

本人 (ガッツポーズで)よっしゃ!やったぜ、やっと。フゥー↑!

夏井先生 
ひまわり」の季語から映像が始まる。「や」で強調し、季語とは関係ない12音でワンフレーズを作ると。
基本中の基本に立ち戻っている。それをまず褒める。
ここからが良い。「ひまわりや」は大きくて背の高い1本のひまわりを想像するかもしれない。
廃線沿い」の「沿い」が大事長く広い線路(跡)の光景に切り替わる。廃線沿いの何だ?と。
いきなり「ラーメン屋」が出てくる。ここまで読んだ瞬間、この路線が廃線になってない頃には、このラーメン屋さんは繁盛していたに違いないと。
今はどういう状況になっているかは一切説明していないが、後半のフレーズで全部伝わる。
「ひまわり」の明るさと「廃線」の暗さの対比、ラーメン屋の様子も「廃」の字でイメージが培われてくる
言葉を信じないと、ここでやめるのは難しい。直しは勿論いらない。

浜田 今日は2人も昇格しましたね。
本人 はい、良かったです。

添削なし

編集後記
今回は「夏の日光ハイキング」と題して戦場ヶ原のハイキングコースと思われる木道に女性客が歩く写真でした。東照宮・華厳の滝は外国人を含む観光客で大賑わいで、中禅寺湖も人気のスポットですが、戦場ヶ原や男体山まで上がると気温も下がり、人目を気にせず楽しめる感じ。いずれも由緒ある場所ですね。
今回の1位は年初の番組対抗戦で日村さんと出演した畠山さん。初挑戦ですが、基本を確かに押さえた句でした。髪型の「シニヨン」で自身の経験を生かした感じが強く表れていましたが、中年男性にはサッパリわからない単語でした。
2位は凡人続きの田中要次さん。単純に湖面に映る山や月を言いたいなら凡人の発想と言えますが、時間経過の概念を入れ込む意図は面白かったです。本文でも触れましたが、「夏の湖」はクレーターではないようで、いわゆる月のウサギの比喩で言うと、餅つきの臼の底とウサギの足の間の縁のギリギリの場所を指すようです。「夏の月」という季語もありますが、これを使うと昼や湖の情報が抜け落ちてしまうため、どう補うか難しいところで、「男体山」を「中禅寺湖」に変えたり「湖面」と入れたりとあれこれ考えましたが、凡人の域を出ずに諦めました…。
3位は才能アリ経験者の池上さん。白樺(種名は「シラカンバ」)への着眼点は良く、個人的には季語の緑と樹皮の白さの色の対比が面白いと思いましたが、志らくさんの視点は確かに問題点でした。2位・3位は発想が面白いので、技術が足りてれば特待生レベルに感じました。
4位は元宝塚で初挑戦の朝夏さん。さすがに名字を季語に入れ込んだのは気づきませんでした。「夏」と「光る」で暑い太陽が照らし出す小川の眩しい反射光がイメージできた一句でした。自分の名を入れる例は、ISSAさんが「熱砂」、尾上右近さんが「右折近道」と挑戦しています。
最下位は、当初凡人だったものの才能ナシに下がった(このケースで得点不明は初めて)藤井さん。番組冒頭で特待生と煽った演出に見事に騙されました。下五の字余りのリズムが悪く、「頬」も凡人的要素で動詞が3つもある一句でしたが、それ以上の問題が季語でした。当初から、季語の扱いが少々雑な印象が否めません。特待生を狙うなら、クサい芝居に固執せず、歳時記をしっかり読んでいただきたいところです。
特待生昇格試験は2名とも結果を出しました。
最近出ずっぱりな志らくさんは「登山」を季語とした句。当方はかつて山岳部でしたが、当人が語った体験はありません。「豪雨」の解釈が大変気になり、通り雨を過ぎて雲の晴れ間から光差し込み神の庭とは昔話じゃあるまいしと感じてしまいました。村上名人も使った「驟雨」が妥当だと思いますし、「日光」から場所と太陽を謎かけした発想から生み出されたイマジネーション俳句の印象です。「豪雨」だとどうしても「神の庭」は人間が立ち入れないほど荒らされた山岳地帯に思いますが、いずれにせよ解釈する人が色々と想像できる俳句という意味で面白いというところでしょうか。ちなみに「これより」は、「はこね号これより初夏に入ります」の藤本名人以来。「神」は「湯けむりが道しるべとなり神の旅」の横尾名人や「千本鳥居紅葉辿りて神隠し」の岩永さんが印象的です。
さて、高畑勲氏の追悼句以来1年にわたり昇格できない横尾名人は、復調の兆しが見える一句。下五が少し安易な置き方にも感じましたが、取り合わせが評価されました。季語との明暗の対比という点では、以前の他流試合で高校生が詠み俳人の議論を巻き起こした「減便の航路の島々を躑躅(つつじ)」を思い出しました。丸刈りの難を逃れた横尾名人は、鉄道の発想が多いようにも思いますが、「夏帽子夜行列車の網棚に」「凍原を抜け越し名残列車着く」のような深い句をもっと詠んでほしいところです。
今回は志らくさんの指摘が絶好調に思いましたし、横尾名人も批評力がついてきているので、もっと出演してほしいですね。
いよいよ、次回は炎帝戦。今回は2週に分けて予選・決勝と放送されます。3名が初登場で、キスマイ3名の特待生も初の揃い踏み。どうなるのか楽しみです。予選は臨戦態勢をとる予定ですが、詳細版の更新は未明から朝になると思います。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

No title

「夏の湖(うみ)に Lacus Aestatis(夏の湖)男体山」
表記はラテン語で読みは「夏の湖」としてみました。ラテン語表記で月の地名を思わせることができると考えたのですが、客観的に考えるとかなり無理がありますね。

「豪雨の登山これより先は神の庭」
最初は「登山中に豪雨となった。この雨は人の侵入を防ぐために神が降らせているようだ。ここから先は『神の庭(領域)』なのだろう。」のような意味であると思っていました。
また「登山」には、「信仰している山に登る」ということが元々の意味であったらしいので、「神の庭」という言葉も不自然ではない気がします。(今は山岳信仰というより趣味で山に登るというイメージですが)

”「豪雨」の解釈”
たしかに「豪雨」だとただ強い雨でしかなく、雨が止むという情報が弱いですね。(当初の見解になった理由はこれかもしれません)
驟雨にしなかったのは、「驟雨」と「登山」で季重なりになるからと考えたからでしょうか。ただ、「驟雨の登山」は2つ季語が合体した言葉と考えれば問題にならないのではないでしょうか。また、驟雨以外にも「鬼雨(きう:ゲリラ豪雨の和名)」という言葉もあり、「鬼」と「神」という正反対とも類似ともとれる意味の文字が含められます。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

プロキオン

Author:プロキオン
俳号「白プロキオン」。全てのブログ記事を編集しています。
毎度閲覧いただきありがとうございます。時間があるときにでもどうぞ。
全俳句を掲載してほしいなどのリクエストはコメントしていただけると助かります。

ツイッターでは番組の放送予告などをツイートしています。以下リンクからどうぞ。
プロキオン
***
番組公式ツイッター
***
着流きるお氏(プレバト兼題で俳句を独自査定する若手俳人・ブログ編者とは無関係です)
***
夏井いつき氏(プレバト!!出演の俳人)

人気記事ランキング

↓訪問者数です