「プレバト!!」で披露されたジャニーズ 千賀健永(Kis-My-Ft2) キスマイ千賀の全俳句一覧です。
名人9段 千賀健永(せんがけんと) 合計62句
成績(2023年8月3日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ4回、
凡人2回
<特待生時代>
2ランク昇格1回、
1ランク昇格12回、
現状維持5回、
1ランク降格1回
第1回俳桜戦3位、第1回炎帝戦5位、第1回金秋戦5位、
第1回冬麗戦優勝
第2回俳桜戦3位、第2回炎帝戦予選5位・決勝番外編採用、第2回金秋戦予選6位、第2回冬麗戦予選4位・決勝9位(最下位)
第3回春光戦予選3位・決勝9位(最下位)、第3回炎帝戦予選1位・決勝9位(最下位)、第3回金秋戦予選9位(最下位)、第3回冬麗戦予選9位(最下位)
第4回春光戦予選B3位・決勝5位、第4回炎帝戦予選C1位・決勝10位(最下位)、第4回金秋戦予選C1位・決勝4位、第4回冬麗戦6位
第5回春光戦予選A3位、第5回炎帝戦4位、第5回金秋戦予選C4位、第5回冬麗戦2位
第6回春光戦予選C2位、
第5回炎帝戦7位、第6回金秋戦予選C4位、第6回冬麗戦3位
第7回春光戦予選B2位、浜田杯4位、第7回炎帝戦12位
春の他流試合SPで松山東高校に28-28で
引き分け、夏の他流試合SPで小中学生選抜に28-28で
引き分け
ふるさと戦(写真俳句)で
福島編優勝(PRポスター掲載決定)
●昇格率 63.2%(12/19)
●添削なし秀句 25句/62句→50音別一覧ページへ →ページ下へジャンプ→
人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 才能アリ | 我が心穂波の海を疾走す |
2 | 凡人 | 黄葉の波街路を洗い秋の暮 |
3 | 凡人 | 海鳴りも凍る夕暮れ雪列車 |
4 | 才能アリ | 青く濃きさつきの空に舞う大魚 |
5 | 才能アリ | 浜風の鉄路よひらに縁どられ |
6 | 才能アリ | 炎天に塔の影行く人力車 |
7 | 1ランク昇格 | 風鈴のリンリンと鳴く青き夕 |
8 | 1ランク降格 | 秋天や我が来た道に曇りなし |
9 | 1ランク昇格 | 紅葉山暮れて紫紺に匂う頃 |
10 | 1ランク昇格 | 花満ちて花の裏から子等の声 |
11 | 俳桜①3位 | 桜花風の名残の空の波 |
12 | 炎帝①5位 | 雷鳴を吸ってうねるや蒼き海 |
13 | 1ランク昇格 | 潮浴びの頭驟雨で洗いけり |
14 | 金秋①5位 | 星月夜廃墟の煙突銀に照り |
15 | 冬麗①1位 | 雪原や星を指す大樹の骸 |
16 | 1ランク昇格 | 梅林の海を断つ鉄路の光 |
17 | 現状維持 | 卒業や空行く鳥の光る朝 |
18 | 俳桜②3位 | 乙女座のスピカ流るる花吹雪 |
19 | 現状維持 | 出水深し街路をのぼる青き魚 |
20 | 炎帝②予選5位 | 日蝕の森の灯火や向日葵よ |
21 | 炎帝②決勝番外 | ベイエリアから届く短波や処暑の風 |
22 | 現状維持 | 藍を着る祖母の端居や鐘の声 |
23 | 金秋②予選6位 | 地球の血潮ぞ足下の紅葉谷 |
24 | 冬麗②予選4位 | 犬ひとり霞が関は大晦日 |
25 | 冬麗②決勝9位 | 椰子の実に露照る花瑠瑠冬の虹 |
26 | 春光③予選3位 | ぽこぽこと酒に口割る蛤ら |
27 | 春光③決勝9位 | カフェ色の濁流を吐く春の山 |
28 | 春の他流試合△ | 「運命」のドア叩く音春疾風 |
29 | 炎帝③予選1位 | 黒き地の正体は海揚花火 |
30 | 炎帝③決勝8位 | ギムレット風死する夜に鳴る淡海 |
31 | 夏の他流試合△ | 原爆忌弾丸列車光るこの空 |
32 | 金秋③予選9位 | 野菜室百リットルの香立ち秋 |
33 | 1ランク昇格 | 黒革の匂い雪の滑走路 |
34 | 冬麗③予選9位 | 酔い買った駅弁忘れ冬の空 |
35 | 春光④予選B3位 | 稽古場の靴ずれ血豆春の雨 |
36 | 春光④決勝5位 | 二合炊鳴って新居の日永かな |
37 | 1ランク昇格 | ゲネプロのあとはどら焼き夏の空 |
38 | 炎帝④予選C1位 | かき氷密かに崩す銀河の夜 |
39 | 炎帝④決勝10位 | ラジオ体操歯抜けの判や夏深し |
40 | 金秋④予選C1位 | 夏の海を描くスプレーの秋思 |
41 | 金秋④決勝4位 | 震源の時計台無音の夜長 |
42 | 冬麗④6位 | 手にはぜる弁当のひも雪催 |
43 | 春光⑤予選A3位 | 鈍色の漁船ふちどる春北斗 |
44 | 2ランク昇格 | 宵宮の慈雨は屋台の人波へ |
45 | 炎帝⑤4位 | 光るシャツひるぎの森を行くカヌー |
46 | 現状維持 | バニラの香あさの牧場の涼しさよ |
47 | 金秋⑤予選C4位 | 白鯨の引き波はこの台風や |
48 | 現状維持 | 凩や人吸い人吐くターミナル |
49 | 冬麗⑤2位 | 地球史の恐竜遠し炬燵の夜 |
50 | 春光⑥予選C2位 | 静けさや一貫校の春休み |
51 | 1ランク昇格 | 雷声や絶島のロンサムジョージ |
52 | 1ランク昇格 | 青い氷菓を海に翳す放課後 |
53 | 炎帝⑥7位 | 緋ダリアや「メール不達」のメール来る |
54 | 1ランク昇格 | 旱星水槽のグッピー揺れる |
55 | 1ランク昇格 | 涼風至る駅弁の木箱の香 |
56 | 金秋⑥予選C4位 | 梨の滴り大地は幾度雨季を経て |
57 | ふるさと戦(福島)1位 ※PRポスターに掲載 | ラジオからソウル会津は初紅葉 |
58 | 冬麗⑥3位 | 冬ぬくし粘板岩に貝の跡 |
59 | 春光⑦予選B2位 | 木の芽冷え青いジャバラで家具包む |
60 | 浜田杯4位 | 嗚呼幾度目のピンマイク還暦の初夏 |
61 | 1ランク昇格 | 驟雨過ぎ海の詩集を買う港 |
62 | 炎帝⑦12位 ※番組解説なし | 鰻待つ今日は台本家に置き |
▼人物紹介「プレバト!!」ではキスマイから横尾に続く2人目の特待生。当初は凡人査定もあったが絶え間ない努力が認められて見事通算9人目の特待生に昇格。
句の特徴は、五感を活用した表現力。人物よりも風景を描写した句が多く、そこに何らかの深い心情を込める傾向が強い。若者なりの発想の飛ばし方が評価されやすく、難しい季語にもよく挑戦している。天候や天体など空に関連した句も目立つが、非現実的なファンタジーに発想を飛ばす傾向も強く、「や」などの切れ字もよく使われる。
発想と技術が伴って成功するときは評価が高いが、季語などの言葉が十分に考えられずに詠むことがあり、語順や表現の詰めが甘く添削されやすい。そのことをタイトル戦でフジモンから「三振かホームランかみたいなとこある」といじられている。
夏井先生も「ものすごい勉強しているのがわかる(第2回俳桜戦)」と努力を認めながらも、「何かやるかもしれないし、自分で穴掘って落ちるかもしれない(第2回冬麗戦)」と不安定さも認めている。
当初は横尾に水をあけられることが多く、自分の句をうまく説明することもできなかったが、第1回冬麗戦では横尾をはじめ、並み居る名人を抑えて、特待生として番組初の優勝を決めて涙を流し、夏井先生ももらい泣きした。
最近のタイトル戦では梅沢・村上名人などから毎回期待されているが、第2回炎帝戦・金秋戦とも予選敗退の屈辱を味わった。防衛戦となる冬麗戦では見事に決勝進出とガッツポーズを決めたが、決勝ではまさかの最下位と無念の結果に終わる。続く春光戦でも3位・炎帝戦では首位突破と3大会連続の決勝進出を果たすが、決勝は3大会連続最下位と振れ幅が大きく、不安定感が否めない。続く金秋戦と名人として挑んだ冬麗戦では予選から最下位に沈み、期待を裏切らないイメージがついてしまった。
しかし、春光戦で何とか予選突破し、決勝でも最下位脱出。炎帝戦予選・金秋戦予選でも1位突破と最近は好調。タイトル戦は全大会皆勤で披露句数は全特待生・名人中最多の32句となった。
横尾名人にも引けを取らない活躍を見せる場面も目立つようになるが、通常査定では名人まであと一歩の位置で若者らしい実感や体験を詠むことができず、苦しい現状維持が続いていたが、久々の査定で番組9人目となる悲願の名人になった。
また、2020年3月25日発売のアルバムに収録された新曲「王国の蝶」は夏井先生の俳句からなる詞。同じく名人の横尾と2人で歌い、番組オープニング採用を狙ったデュエットソングで、ジャニーズファンからの期待値もさらに高まっている。
2020年11月11日、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出たと報道されたが、復帰を果たしている。
名人査定では、フルーツポンチ村上、柴田理恵に続く3人目の2ランク昇格を決める(※2段→4段)快挙を達成。通常回なおかつ名人位では初めての出来事となった。
2022年は定型を崩した句で4回連続昇格を果たし、本人も語るように「ゾーン状態」に突入した。
2022年9月放送の「ふるさと戦」では福島県代表の梅沢富美男を抑えて優勝。俳句が県の観光PRポスターに掲載されることが決まった。
2023年も浜田杯で20名中4位と健闘。昇格試験でも連続昇格を5に伸ばすなど好調を維持している。
●[1] @15/08/13◆お題:新幹線と夏休み
『我が心穂波の海を疾走す』才能アリ2位72点
添削なし
●[2] @15/11/05◆お題:神宮外苑のいちょう並木
『黄葉の波街路を洗い秋の暮』凡人4位40点
添削後
『夕まぐれ街路を洗う黄葉の波』●[3] @15/12/10◆お題:雪景色と鉄道
『海鳴りも凍る夕暮れ雪列車』凡人2位60点
添削後
『海鳴りの凍れる夕暮れの列車』●[4] @16/05/05◆お題:端午の節句・鯉のぼり
『青く濃きさつきの空に舞う大魚』才能アリ1位75点
添削後
『青く濃きさつきの空を行く大魚』●[5] @16/06/16◆お題:江ノ電とあじさい
『浜風の鉄路よひらに縁どられ』才能アリ2位72点
添削後
『浜風の鉄路よひらの光かな』●[6] @16/06/30◆お題:7月の京都
『炎天に塔の影行く人力車』才能アリ1位75点
添削後
『炎天や塔の影行く人力車』[ここから特待生として査定]●[7] @16/08/04◆お題:風鈴のある風景
『風鈴のリンリンと鳴く青き夕』4級へ
1ランク昇格添削後
『風鈴のりんりんと鳴く青き夕』●[8] @16/09/01◆お題:秋の空(特待生のみの昇級昇段試験)
『秋天や我が来た道に曇りなし』5級へ
1ランク降格添削後
『我が来た道秋天へつづく道』季語の力を信じてない(秋天には曇りがないと意味がある)として酷評。
●[9] @16/11/03◆お題:紅葉 日光いろは坂
『紅葉山暮れて紫紺に匂う頃』4級へ
1ランク昇格添削なし
●[10] @17/03/23◆お題:二宮金次郎と桜
『花満ちて花の裏から子等の声』3級へ
1ランク昇格添削後
『花満ちて花の裏から子らの声』●[11] @17/04/06◆お題:満開の桜
『桜花風の名残の空の波』第1回俳桜戦3位添削後
『桜さくら風の名残の空の波』
美しい発想の句と絶賛されるが、紀貫之の古今和歌集の和歌「桜花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 波ぞ立ちける」のパクリではないかとネットや雑誌で物議を醸した一句でもある。
●[12] @17/06/29◆お題:海
『雷鳴を吸ってうねるや蒼き海』第1回炎帝戦5位
添削後
『雷鳴を吸いうねり立つ蒼き海』●[13] @17/08/03◆お題:真夏の海水浴場
『潮浴びの頭驟雨(しゅうう)で洗いけり』2級へ
1ランク昇格添削後
『潮浴びの頭驟雨に洗いけり』●[14] @17/10/12◆お題:紅葉
『星月夜廃墟の煙突銀に照り』第1回金秋戦5位
添削後
『銀色の廃墟星月夜のチムニー』●[15] @18/01/04◆お題:雪と青空
『雪原や星を指す大樹の骸』第1回冬麗戦優勝
添削なし
梅沢・フジモン両名人を抑えての優勝。夜への発想の飛ばし方や五五七のリズムを選ぶセンスが絶賛された。
●[16] @18/02/08◆お題:梅と電車
『梅林の海を断つ鉄路の光』1級へ
1ランク昇格添削なし
●[17] @18/03/08◆お題:卒業式
『卒業や空行く鳥の光る朝』1級で
現状維持添削後
『卒業や鳥ひかり行く朝の空』●[18] @18/04/12◆お題:
桜と富士山『乙女座のスピカ流るる花吹雪』第2回俳桜戦3位添削後
『乙女座のスピカよ花吹雪流るよ』●[19] @18/06/14◆お題:
雨の路面『出水深し街路をのぼる青き魚(うお)』1級で
現状維持添削後
『大出水の街路濁水跳ねる鰡(ぼら)』●[20] @18/08/02◆お題:
夏の太陽『日蝕の森の灯火や向日葵よ』第2回炎帝戦予選5位
添削後
『日蝕の森の灯火として向日葵』●[21] @18/08/09◆お題:
ラジカセ『ベイエリアから届く短波や処暑の風』第2回炎帝戦決勝番外編紹介添削なし
季語は「処暑」。予選敗退者の中で夏井先生がどうしても紹介したい句として発表。忌野清志郎バンドであるRCサクセション「トランジスタラジオ」の歌詞から発想した一句。
●[22] @18/08/16◆お題:
帰省ラッシュ[新幹線の空席案内板]『藍を着る祖母の端居(はしい)や鐘の声』1級で
現状維持添削後
『藍を着る祖母の端居や夕の声』「鐘の声」が古臭いと一刀両断。もっと実体験を描写すべきとアドバイスを受けた一句。
●[23] @18/09/27◆お題:
紅葉の絶景『地球の血潮ぞ足下の紅葉谷』第2回金秋戦予選6位
添削後
『地の噴きし血潮か紅葉谷足下』「地球」の表現が大袈裟であり、季語を立てるよう添削を受ける一句。
●[24] @18/12/27◆お題:
年末の満員電車『犬ひとり霞が関は大晦日』第2回冬麗戦予選4位(決勝進出)添削なし
季語は「大晦日」。普段はビジネスマンで忙しい霞が関も大晦日は人がなく、犬がひとり強気に歩いているというイメージを詠んだ。「ひとり」の擬人化で犬の飄々とした味わいが出ており、「は」の助詞を選ぶことで強調の効果を生むと先生は高評価。作者の意図通り成功し、「ちゃんと考えるようになったね」と自分の句を客観的に説明できる力量を褒められ、3度目の正直となる決勝進出を果たした。
●[25] @19/01/03◆お題:
結露『椰子の実に露照る花瑠瑠冬の虹』第2回冬麗戦決勝9位(最下位)
添削後
『椰子の実に雫花瑠瑠冬の虹』
秋の季語「露」と「冬の虹」の季重なりに気付かず詠み、タイトル戦最下位となった。ハワイのホノルル(花瑠瑠)をイメージし、寒い朝の椰子(やし)の実についた結露と冬の虹を取り合わせた句。先生は、季節感が不鮮明で読者を混乱の迷路に押し込んでいく句と酷評。中八の字余りも問題点と指摘し、季重なりを解消するため一語だけ変えて名詞を畳み掛ける句に添削したが、これでも順位はこのままとダメを押した。
●[26] @19/04/04◆お題:
春の鮮魚店『ぽこぽこと酒に口割る蛤ら』第3回春光戦予選3位(決勝進出)添削なし
季語は「蛤(はまぐり)」。ライブの打ち上げに、蛤の酒蒸し鍋を食べた実体験から蛤の様子をオノマトペと擬人化で表現した一句。複数の蛤が殻を開く描写を、刑事ドラマで犯人の1人が自供すると、仲間も次々に自供していくという突拍子もない喩えで説明した。横尾名人は「"蛤"の使い方に意外性があり面白い。悔しいが上手い句」と称賛し、東国原名人は「擬人化が成功し、ポップな感じが楽しいが、ジャニーズっぽくない」と嫌疑をかける。先生は、「発想と言葉が一句の中で噛み合った」と評し、「酒に口割る」は酒で迂闊なことを喋り始めた人物を思わせるが、「蛤」で擬人化とわかる展開で映像も見え、技法が成功したと高評価。「ら」の複数形も「ぽこぽこ」のオノマトペとイメージを結び合い、隠し味として効果的と褒めるが、先生も「そこまできっちり考えたのか?」と信憑性を問う発言に、本人は話を逸らす対応をとった。
●[27] @19/04/04◆お題:
コーヒー『カフェ色の濁流を吐く春の山』第3回春光戦決勝9位(最下位)添削後
『春山が吐く濁流の珈琲色』
季語は「春の山」。幼少時に岐阜県中津川で嵐の翌日に川が濁流と化すのを見た体験を語り、健やかな山にも濁流が流れる対比を表現したく、コーヒーの色とを掛けた一句。梅沢名人は「"春の山"という季語なら雪解け水。こんな色してない」と指摘する。先生は「カフェ色」が引っかかる(「カフェ」は店を指す)と指摘し、生命観に満ちた「春の山」が濁流を吐くのは、豪雨の後と読み取れるが、「春の山」の穏やかな明るい光景から始めた方が映像として読み手に親切だと解説。本人が語った「珈琲色」に直し、緊迫感や臨場感が出る語順に添削した。2回連続最下位に沈んだ本人は「濁流吐いていいですか?」と嘔吐をする仕草に浜田から「そういうのいらない」と真顔で注意されるも、ジュニア・藤本両芸人にフォローされた。
●[28] @19/04/18◆お題:
自動ドア『「運命」のドア叩く音春疾風』春の他流試合SP第2試合28-28で
引き分け添削後
『運命のドア叩く音春疾風』
季語は「春疾風(はるはやて)」。ベートーベンの有名な「運命」の出だしは「運命がドアを叩く音」と本人が語っていたとする説があり、季語との取り合わせで緊迫感や緊張感を掛け合わせた一句。中田名人は「素晴らしい」と評し、高校生は「ベートーベンの勢いがあり、取り合わせが上手」と健闘を称える。結果は「減便の航路の島々を躑躅」と詠んだ高校生と引き分け。井上先生は「"春疾風"を"運命のドア叩く音"に一気に喩える勢いの良さを買う」と好感触。宇多先生は「"運命"の鍵括弧を外して曲に限定しない方が、季語との距離感が良い」と指摘し、高野先生も同調する。夏井先生は「音楽のイメージから春疾風を一気に吹かせるという発想は面白いが、その発想に持たれ過ぎてるのではという所に評価の分かれ目がある」と総括した。
●[29] @19/07/18◆お題:
打ち上げ花火『黒き地の正体は海揚花火』第3回炎帝戦予選1位(決勝進出)添削なし
季語は「揚花火」。鎌倉花火大会での体験で、花火が揚がる前の海は真っ暗だが、花火が揚がった瞬間に海面が照らされ、「ここは海だったんだ」と分かる発見を素直に描写した一句。横尾名人は「17音で明暗のコントラストを見せるのが凄い」と絶賛し、「時々ホームラン打つ」と東国原名人も唸る。先生は「見事な句」と評し、最後に映像が明かされる語順と一句が破綻しない言葉の選び方を褒め、「地」「海」の2つの大きな言葉を両方とも生かしたと解説し、季語の「揚」の一字の効果も称賛。自分の眼球が見たものを言葉にできる技術を認めた。梅沢名人も「スゴい」と評す一句で見事3大会連続の決勝進出を決めた。
●[30] @19/07/25◆お題:
夏の波紋[緑の映る水紋]『ギムレット風死する夜に鳴る淡海』第3回炎帝戦決勝8位(最下位)添削後
『風死する夜の湖さすギムレット』
季語「風死す」は夏に風が途絶えることで、「淡海(おうみ)」は湖。夏の夜中に琵琶湖を見ながら、「錐(きり)」の意味を持つカクテルのギムレットを、錐のように喉を突き刺す感覚をイメージしながら飲む光景を表現したと語った。梅沢名人から「情報を詰めすぎ。意味が分からない」と指摘され、北山からは「お酒を飲めないでしょ?」と暴露され、本人は想像100%で詠んだと認める。先生は梅沢名人に同調し、「鳴る」が最大の問題点だと語ると「おかしくない?」と続け、風が止んでいるのに何かが鳴っているのは怖い状況だと指摘する。何が鳴るのか本人に問うと、苦し紛れに「ケータイ」と答え、スタジオは笑いの渦に。先生は、ホラーか空耳か不穏な予感がする俳句にしか読み取れないと解説し、聞くまでもないと「鳴る」を諦めさせ、気取った「淡海」も「湖(うみ)」とし、本人の語った"喉を刺激する"という表現を込め、本人の憧れている状況が伝わるように添削。最後に「憧れだけで書くと絶対に見破られるのが俳句という文芸」だと釘を刺した。
●[31] @19/08/15◆お題:
夏空と電車『原爆忌弾丸列車光るこの空』夏の他流試合SP第4試合28-28で
引き分け添削なし
季語「原爆忌」は原子爆弾が投下された慰霊の日。「弾丸列車」は"新幹線"だと述べた。広島が破壊し尽くされた当時から考えると、今は新幹線が走って綺麗になったという心情を込め、自分はその時代に生きていないが、原爆忌があることで平和を再確認できる句だと語った。ジュニアは「意味が分からない。難しい」と述べ、藤本名人に「背伸びした時三振する」と成績のブレの激しさを指摘され、志らくも「全く分からない」とチームメイトを酷評する。結果は「原爆忌今日も明日も通る道」と詠んだ中学生と引き分ける。唯一10点をつけた高野先生は「作者も句の良さを知ってない」と前置きし、"弾丸列車"を解説。戦前に計画された本州~中国大陸への輸送列車が太平洋戦争中で頓挫した経緯を語り、「かつて夢が叶わなかった列車を思い出しながら、平和な今となって実際に走る新幹線に乗る。時間がダブルイメージで見える」と絶賛する。夏井先生は高野先生の解説に仰天し、「原爆忌」の季語を用いた本人の姿勢にも驚くが、「"弾丸列車"を新幹線と言わない方が絶対に良かった。何でそんなつまらないこと言うんだよ」と一蹴する。「時代背景を知ると季語の奥行きが深くなり、一見するとリズムが悪い『この空』も敢えて言う意味がある。しかし、本人は全く知らなかった」と解説。本人は終始知ったかぶりで対応するも、夏井先生に「あんたの顔を見れば全員が分かる」と見破られた。
●[32] @19/10/10◆お題:
冷蔵庫『野菜室百リットルの香立ち秋』第3回金秋戦予選9位(最下位)
添削後
『秋の香立つ百リットルの野菜室』
季語は「秋」。冷蔵庫の野菜室が100リットル入ることを表現し、沢山入った野菜室を開けると秋の香りが流れ込む様子を表現したという句。横尾名人から「百リットルの野菜室って、業務用では?」と指摘されて出演者の同意を得られず、数詞の表現が裏目に出ることになり、「実家暮らしだから、冷蔵庫をよく見ていない」とまで暴露されてしまう。先生もこれを"百リットル問題"と表現し、こういう言葉の取り組みも俳句の1つのチャレンジだと挑戦は認めた上で、技術点が相当下がったと評す。「野菜室百リットルの香」の語順では、冷蔵庫の人工的な匂いを読み手に思わせ、語順が完全に間違っていると指摘し、問題点が和らぐように語順をひっくり返すことに。季語から始めて、読み手を秋の世界に飛び込み、「百リットルの野菜室」とすることで、"100リットルの冷蔵庫にある野菜室ではないか"と読者が寄り添うことが出来る添削を行う。最後に、発想と技術は車の両輪だとまとめ、「両方鍛えていきましょうね」とアドバイスした。
●[33] @19/12/05◆お題:
洋服の試着『黒革の匂い雪の滑走路』名人初段へ
1ランク昇格添削なし
季語は「雪」。名人になりに来たという渾身の一句は、2カットの破調に挑戦。試着室で選んだ黒革の手袋をつけて旅行へ行く様子をそのまま描写。買ったばかりの黒革の手袋という"近い物"と、滑走路で飛行機が飛ぶ"遠い物"、"匂い"を一句に収めたと語った。査定ポイントは一音の字足らずの是非。「考え抜いたと信じる!」と意味深に評す先生は、意図を持って字足らずにしたに違いないと信じると述べ、小さな光景の8音が終止形のためカットを切りたかった意図を理解。1音足して定型句にもできるとし、3例挙げる。「匂える」なら、「雪」に続くことでカットの切れがなくなり、場面転換の新鮮さが薄れたと解説。助詞を入れ「匂いと」なら、「雪」と並列になることで季語が弱まってしまい、「匂いや」と強調すると、「雪」とのバランスが崩れたと続ける。考え抜いた末に字足らずを選択したと信じると語り、本人に託した。喜んで「そうです!」と指差しで返す本人に、「怪しいなあ」と村上名人は疑ってツッコむも「やっと(タイトル戦で)着物を着れますね。嬉しい」と名人昇格の感慨に本人は浸った。
●[34] @19/12/26◆お題:
年末年始の駅弁売り場『酔い買った駅弁忘れ冬の空』第3回冬麗戦予選9位(最下位)添削後
『酔って買った駅弁冬空の何処(いずこ)』
季語は「冬の空」。年末に名古屋から父が訪ねてくるが、いつも土産にウナギを買ってきてくれる。新幹線でお酒を飲むと土産を置き忘れてしまうエピソードがあり、子が喜ぶ顔や姿を想像したが、置き忘れて見上げた冬の空も切なく感じた人物を詠んだという一句。東国原名人は「動詞を使い過ぎ。ごちゃごちゃして伝わりづらい」と指摘するが、本人は納得せず。「ピッチャーが振りかぶったら(バットを先に)振ってるわけ」と”三振”に今回も沈む本人をいじる。横尾名人は「そもそも酒が飲めない。酒を飲んだ気持ちは絶対分かるはずない」と内情を指摘し、藤本名人は以前詠んだギムレットの句を引き合いに出し、「カッコつけてるだけ」と横尾名人が厳しく続ける。先生は、動詞の多用の指摘を最大の問題点に挙げ、上五の2つの動詞は状況説明で許容できるとしながら、「忘れ」を削除し忘れたことを伝える添削を試みる。上五も字余りで自然な流れとし、「何処」を用いて動詞を回避。土産を忘れた場所がどこかと思うと見上げた冬空の何処かもしれないと季語に託す形に。本人は「次の句で『何処』を使う」と開き直るように宣言した。
●[35] @20/03/12◆お題:
絆創膏『稽古場の靴ずれ血豆春の雨』第4回春光戦予選Bブロック3位(決勝進出)添削なし
季語は「春の雨」。Kis-My-Ft2のデビュー曲「Everybody Go」の振付で、初めて履くローラースケートを2週間かけて死ぬ気で練習したため足に血豆がいっぱい出来た経験を思い出し、春の雨の暖かさや達成感を表現したという一句。中七以降はリズムも大事にしたと語った。先生は「実体験が読み手に伝わる」と評し、上五は相撲ともとれるが、中七でダンスなどの稽古場に違いないと光景が見え、さらに、中七のテンポで臨場感が生まれると称賛。休憩時間に靴ずれが痛いと思うと血豆があり、窓の外の春の雨が柔らかく静かに降るひんやりした感じも傷を癒す感触があると味わいを語る。最後に「実体験は強い。下手なことを考えてはいけない」と忠告した。昨年の炎帝戦以来3大会ぶりの決勝進出を果たした。
●[36] @20/04/09◆お題:
不動産屋さん『二合炊鳴って新居の日永かな』第4回春光戦決勝5位(次回決勝シード権なし)添削なし
季語は「日永」。木造アパートの2階に初めて住んだ大学生の休日をイメージした句は、独り暮らしで2合炊きの炊飯器が鳴ってご飯を食べる昼が凄く長い様子を詠んだと語った。梅沢・藤本両名人とも良い句と褒め、志らく名人は「”二合炊”が良い。それで1人だと分かる。”五合炊”ならファミリーになる」とコメント。先生は「そつなく出来た」と評し、添削する箇所は全くないとしながら、作者が判明してビックリしたと述べる。季語「日永」により、老夫婦が退職金で新居を建てたのかと思わせる爺さんの句だと解説し、若者の句だと思わなかった理由を述べ、大学生の空気を醸し出すなら下五は工夫できたが、ここまで来たら上等だと許容した。タイトル戦は4大会ぶりに最下位を脱した。
●[37] @20/05/28◆お題:
100円玉『ゲネプロのあとはどら焼き夏の空』名人2段へ
1ランク昇格添削なし
季語は「夏の空」。「ゲネプロ(ゲネラールプローベ)」は演劇などの舞台公演・ライブの最終リハーサル(通し稽古)のことで、中3の時にジャニーズの滝沢の舞台に出演した。そのゲネプロの帰りに「自分にご褒美を」と帰り道にどら焼きを100円で買い、その夏の思い出を詠んだと語った。査定ポイントは「~のあと」の表現の是非。「『どら焼き』の選択が良い」と評す先生は、句を見た瞬間に舞台の場面かと読み手に伝わると語り、「のあとは」で読み手は「一体なんだろう?」と展開に期待するが、「どら焼き」と俗な物で少し落としたと解説。頑張った後は甘いものが食べたくなると、庶民的な共感も伝わるとし、本人に肩の力を抜き、自分以上のものを描かなければ、何とかやっていけるとエールを送った。ようやく名人として初の昇格を果たした。
●[38] @20/07/30◆お題:
アイスクリーム売り場『かき氷密かに崩す銀河の夜』第4回炎帝戦予選C1位(決勝進出)
添削なし
季語は「かき氷」「銀河」。銀河のように広がる星空の下でかき氷を密かに崩す情景を描いた一句。誕生日に電動かき氷機を貰ったが、全く使ってなかったため、コロナ禍のステイホーム中に使ってみた。夜12時前にせっかくだからベランダで食べると、かき氷をシャリシャリと崩す音が響き、その雰囲気が凄く良いと思って詠んだと語った。梅沢名人は「場外ホームラン。"かき氷"から始まるのが良い」と褒めるも、疑心暗鬼の浜田。千賀に負けて予選落ちとなった昇吉はすかさず、「『銀河』は『夜』なのでイメージが近い」と指摘する。先生は、議論すべき点が何点かあると述べ、「かき氷」と秋の「銀河」の季重なり、「銀河」に対して敢えて「夜」と言う必要性があるかという2つの問題点を挙げる。作者の描きたい世界は非常に丁寧に描けたと褒める先生は、夏の明るい季語「かき氷」をなぜ密かに崩すのか読み手は疑問に思うが、星の美しい夜に食べるという語順の展開が良く、移り変わる季節の中のベランダではないかとも伝わると味わいを語る。「かな」では銀河が強く出るが、「夜」で時間の幅や空間を表現したと判断し、最後は「星の夜」なら季重なりは解消できるが、「銀」のこだわりでかき氷の光や冷たさを表現する意図で敢えて残したと分析したと解説した。意図的かと問う浜田に、「先生の解説通り。季重なりも分かっていた」と主張する本人だが、度重なる追及でたじたじに。春光戦に続いて予選を突破した。
●[39] @20/08/06◆お題:
ポイントカード『ラジオ体操歯抜けの判や夏深し』第4回炎帝戦④決勝10位(最下位)添削後
『ラジオ体操歯抜けの判や夏休み』『ラジオ体操歯抜けの判や秋暑し』『ラジオ体操歯抜けの判や朝暑し』
季語は「夏深し」。小学生の頃は夏休みにラジオ体操に行っていたが、朝が弱いため、夏休み後半は休みがちになった。参加スタンプをカードに押してもらえず、乳歯が生え変わる途中だった「歯抜け」でカードの様子を比喩したと語った。志らく名人は、「季語が取って付けたような感じ」だと指摘。先生は、中七までは本人の意図が表現されたと褒めるが、季語の違和感を問題点に挙げる。夏休みの終わりでないと、参加スタンプが並ぶ様子を「歯抜け」とは言いにくく、その頃は俳句で用いる陰暦では既に"秋"だと忠告し、季語の選び方が中途半端だと述べる。子どもに寄せるなら「夏休み」、陰暦に寄せるなら「秋暑し」、朝が起きるのが嫌なら「朝暑し」という展開もあると添削例を示した。決勝では4度目の最下位となってしまった。
●[40] @20/11/05◆お題:
ポンプのノズル『夏の海を描くスプレーの秋思』第4回金秋戦予選C1位(決勝進出)添削なし
季語は「秋思(しゅうし)」「夏の海」。「夏の海を描(えが)く」は夏の爽やかでスカッとした感じのイメージだと語る本人。「スプレー」はアクリル用のスプレーで、自身の所属するKis-My-Ft2の仕事でスプレーの絵を描いた経験から発想。「スプレー」は描いた時に小さい粒が出て、それがアクリルに乗らないと空気に溶けてなくなる様子が良いと思い、漂うような終わりがない印象を出したいと思い、季語「秋思」を使い、敢えて破調にしたと順序立てて解説した。梅沢名人は「素晴らしいですね。大したもんだ。夏から始まって海の絵を描いてた。それから『秋思』に持っていくとこは、さすがタイトルホルダー」とべた褒め。村上名人は「確かにシンプルでカッコ良いし、最近みんな破調を使うが(フフッ)、この句は内容と合っている」と笑いながらコメント。作者を知ってささやかな感動を覚えたと語る先生は、破調・季重なり・擬人化・名詞止めの高等技術を丁寧に解説する。「夏の海」から始まるため、季語だとミスリードさせるが、「描く」で架空の季語だと初めて分かる。水彩画か油絵かと思うと「スプレー」で、スプレー画のような大きな画面を読み手は想起し、壁面画やシャッターアートかと思わせると解説。最後の着地が良く、「スプレーの秋思」はスプレーの擬人化であり、「秋思」はセンチメンタルになりやすく、感情が崩れがちになるが、名詞止めでピシッと止めようと工夫したのではないかと問いかける先生。本人は、「そうです。切ない感じを出そうとした」と応対し、「ちゃんと分かってる。破調・季重なり・擬人化・名詞止めにすると。全部意図を持ってやっている」と先生は称賛。信じられない浜田は「ホンマか?先生が言ったこと全部わかってやったんか?」と投げかけるが、本人は首を縦に振る。本物になりつつある実力を先生は認めた。
●[41] @20/11/12◆お題:
7時過ぎの時計『震源の時計台無音の夜長』第4回金秋戦決勝4位(次回シード権なし)添削後
『時計台無音震源地の夜長』
季語は「夜長」。キスマイのライブで行った北海道で、2018年に起きた北海道胆振地震後の札幌時計台を思って詠んだ一句。時計台が大丈夫かなと思い出したことを題材に、秋で夜も長く無音の雰囲気が句の一番のポイントだと語った。横尾名人は「『無音の夜長』はかっこいいが、どこの時計台か分からない」とコメント。発表の瞬間に「惜しいな~」と漏らした梅沢名人は「『震源の』が惜しい。時計台の下が揺れてるのか、時計台自身が揺れてるのか、グダグダする」と指摘。しかし、「地震が起きた後の時計台なんです」と本人が語るとおもむろに「永世名人!」とランクの高さで意地見せ、相手に有無を言わせない態度の御大は「何でも上の人から言われたら、お芝居でも歌でも踊りでも1回『はい』って言っとくんだよ!」と脅しに掛かる。梅沢名人の指摘を認める先生は、「震源の時計台」では時計台が震源のど真ん中のような印象があり、「噂の震源」など慣用句的に本当の震源でない捉え方をされる可能性がある点を指摘する。「地」と入れるだけで解決するが、語順を変えた方が良いとさらに指摘し、2カットの句またがりに添削。「無音」でなぜと思ったものが、後半に答えとして出て、夜長のしみじみ・静けさが増す添削後なら上位だったと解説した。本人は「全然良いですね。展開もあるし。うわ~悔しい」と語ると、梅沢名人が「どうして俺が言った時にそれを言わないの?」と不満をぶちまけ、「はい、でも震源地って…」と言われた通り「はい」を用いて本人はコメントを返した。
●[42] @21/01/14◆お題:
輪ゴム『手にはぜる弁当のひも雪催』第4回冬麗戦6位添削後
『手にはぜる弁当のゴム雪催』
季語「雪催(ゆきもよい)」は曇り空で雪になりそうな様子。弁当のゴムの紐を取る時に、パチンと弾けるが、冬だと痛いのでその様子を俳句にしたと語った。「はぜる」は漢字の「爆ぜる」だと大袈裟すぎると思い、平仮名にしたと述べ、梅沢名人が頷く。横尾名人は表記の工夫を褒め、「身近で良い」と批評する。先生は、ストレートに自分の体験を探し、良い材料を手に入れた点を褒める。さらに、手のアップから始まる語順と、「はぜる」の表記の工夫、「弁当」と物を押さえる点も称賛する。勿体ないのは1語「ひも」だけで、梅沢名人が解説に割り込んだ指摘が的中する。「手にはぜる弁当のひも」では、伸び縮みしない紐の方に意識がいくため、「ゴム」の感触を書かないと一番工夫した「はぜる」とが上手く響き合わないと解説。「これは痛恨の凡ミス。『ゴム』にしていれば今日はベスト3を争っていた」と先生は語り、本人は悔しがった。
●[43] @21/02/18◆お題:
雲丹の軍艦巻き『鈍色の漁船ふちどる春北斗』第5回春光戦予選A3位(予選敗退)添削後
『鈍色の漁船よ青き春北斗』
季語は「春北斗」。ウニを獲る漁船と海を連想した本人。鈍色に錆びている漁船を春北斗が縁取っている様子を詠んだ句で、キスマイが7人グループなので、北斗七星を使いたかったと語った。横尾名人は、季語と「鈍色の漁船」の取り合わせを褒め、梅沢名人は中七が問題だと夏井先生が指摘するはずとあやふやに批評する。先生は、美しい光景を書こうとする詩人の心には深く共感を持ったと前置きし、「鈍色の漁船」の詩に対して「春北斗」の取り合わせも美しいと褒める。問題点は「ふちどる」の曖昧さで、漁船ではなく季語を主役に立てるべきと指南。詠嘆の後、「青き」と色を入れることで、「鈍色」と「青」が色彩として対比されれば「春北斗」が主役に立つと添削を行う。評価のポイントは"季語を主役に立てる工夫が出来ているか"と語り、「その配慮があとひとかけらあれば、あなたが勝ち残ってた」と予選敗退を慰めた。本人は、「配慮はあったんですけどね、気持ちとしては」と微妙なコメントを返した。
●[44] @21/06/24◆お題:
ただ今のお待ち人数『宵宮の慈雨は屋台の人波へ』名人4段へ
2ランク昇格添削なし
季語は「宵宮(よいみや)」と「慈雨(じう)」。兼題から祭りの屋台の人波へと発想。愛知県の実家の近所にある熱田(あつた)神宮での夏祭りが楽しみだったと語る本人。宵宮は夏祭りの前夜祭、慈雨はやさしい恵みの雨で、慈雨で癒されるような感触だと述べた。査定ポイントは、「宵宮」「慈雨」のあえての季重なりの是非。飛び級宣言を有言実行させ、梅沢名人までも驚くことに。「難しい季重なりが出来ている!」と評す先生は、本人に「あえて」の季重なりかを確認し、本人は慌てるように肯定の返事をする。季重なりはお互いを相殺するが、この句は全然殺し合ってない点が成功し、どっしりと共存したと感触を述べる先生。「いろんな日の慈雨があるが、たまたま『宵宮』の日で、明日が夏祭り本番の日の慈雨であるよ」という味わいがあり、宵宮の夕方からザーッと夜に向かって降り始めた雨が屋台の人波へと雨が動いていく様子が伝わり、助詞「へ」の使い方も称賛。全体が映像として非常にしっかりしているのは見事と総括した。名人位として初の2ランク昇格を達成し、ライバルの横尾名人との差を2に縮めた。
●[45] @21/07/22◆お題:
Tシャツ『光るシャツひるぎの森を行くカヌー』第5回炎帝戦4位(60名中)添削後
『シャツ光らせひるぎの森を行くカヌー』
季語は「カヌー」。沖縄に旅行した際にカヌーに乗ったが、ひるぎ(河口などに生える熱帯植物の総称)の森があり、天気も良く、Tシャツに反射する光の思い出を句にしたと語った。横尾名人は「ゆっくりした時間が見えて凄い」と称賛。先生は、兼題の真っ白いTシャツを気持ちよく表現した句で、Tシャツの持つ躍動感のイメージを季語「カヌー」で表現したのも良いと述べる。「光るシャツ」の入り方も印象的で、「ひるぎの森」が広い河口に広がる森だと分かればその瞬間に映像は浮かび、「光る」「ひるぎ」で韻を踏んでいると工夫を褒める。先生は、遠くからカヌーを眺めるイメージで読んだと述べるが、実際に自分がカヌーを体験したと表現する場合、上五を字余りで「シャツ光らせ」とすれば作者のイメージに近づくと添削例を示す。しかし、ホントに気持ちの良い句で、作者が誰なのかと楽しみにしていた句だと総括。60名中4位というキスマイ最高位の成績を残した。
●[46] @21/08/05◆お題:
ソフトクリーム『バニラの香あさの牧場の涼しさよ』名人4段で
現状維持添削後
『朝の牧場仕込むアイスのバニラの香』
季語は「涼し」。朝の牧場に行くとバニラの香が漂ってきて、今まさにバニラのアイスクリームを作っている最中だと思い、そのバニラの香を嗅いで涼しさを感じたという句と語った。凡人の玉森に「バニラはそんなに香るか」と批評されるが、梅沢名人に「バニラアイスを食べているのか」と誤読の可能性を指摘される。査定ポイントは「バニラの香」から始まる効果の是非。「朝からアイスを食べているのか?」と評す先生は梅沢名人に同調。「バニラの香」から始まる語順が原因で、アイスクリームを食べる光景を詠み手が最初に思い描いてしまうと指摘。仕込む光景ならそれを書くべきだと忠告する。漢字が続かないよう「あさ」を平仮名にした名人の工夫を認める先生だが、「朝の牧場」と字余りで始めて読み手に場所を提示させ、「仕込むアイスの」を中七に入れた。「アイス」のみを季語として掲載する歳時記は一部にとどまるが、下五で「バニラ」が出る流れのため、読み手はアイスクリームと分かるはずだと補足をする。本人は「あんだけ偉そうに(藤ヶ谷・玉森の)2人に言って、めちゃくちゃ恥ずかしい」と反省した。
●[47] @21/09/16◆お題:
読書の秋『白鯨の引き波はこの台風や』第5回金秋戦予選C4位(予選敗退)添削後
『台風のこの引き波は白鯨か』
季語は「台風」。ハーマン・メルヴィル著の小説『白鯨』のストーリーから妄想した一句。悪魔の意思を持つ大きなクジラが去った後の引き波で台風を起こしたという想像を句にしたと語った。横尾名人は「台風」から始めた方が面白いと指摘し、先生も同調する。台風の引き波が白鯨の起こした波だと想像する試みは面白いと語る先生は、作者を知って思わず笑みをこぼしたと述べ、浜田も同意。「白鯨」は実際には目に見えておらず、「引き波」を見せる語順にしないと「白鯨」が活きない問題点を指摘する。さらに、「この」を修飾する名詞もミスしたと続け、「台風」から始めて語順を大幅に変える。最後は「白鯨か」と疑問形へと展開した。この引き波だけが眼前にあり、見えない向こうに白鯨があるという感じを醸し出す添削後であれば1位だったと述べた。悔しがる本人へ「ボケ、アホ!ボケ、ハゲ!」と容赦ない檄を飛ばす浜田だが、「横尾さんに相談しておけば良かった」と本人は後悔することに。
●[48] @21/11/25◆お題:
秋の東京駅『凩や人吸い人吐くターミナル』名人4段で
現状維持添削後
『人吸うて吐く凩のターミナル』
季語は「凩(こがらし)」。絵を描いたことのある東京駅に大きい巨人のようなイメージがあり、駅に出入りする人物を「人吸い人吐く」という言葉で表現したと語った。梅沢名人は中七が8音で気になると指摘。査定ポイントは中七・下五の表現の是非。「ありがちな発想」と評す先生は、駅の人の出入りを「人を吸っている・吐いている」と表現するのは、俳句の世界では類想にあたり、発想の点で損していると指摘。少なくとも、指摘された中八の問題だけは解消すべきだと指南し、語順を変える添削を行う。「人吸うて」で上五を作り、「吐く凩のターミナル」と続けて、後半で映像化。季語「凩」は「木枯らし」と同じ風を意味するが、「木枯らし」は枯れ木のイメージが強いものの、「凩」は風の吹く方にイメージがあるため、その選択は良いと最後に褒めた先生。しかし、説明途中に本人が「あ~」と発言したことで、逆の方向に納得したと思い込んだ先生がその発言を咎める。「そのつもりはなかった」と弁解する本人だったが、「あ~って言わなきゃよかった」と反省を重ねた。
●[49] @22/01/13◆お題:
人生ゲーム『地球史の恐竜遠し炬燵の夜』第5回冬麗戦2位(14名中)添削なし
季語は「炬燵(こたつ)」。兼題の人生という時間の流れから、地球の歴史に連想した一句。子どもの頃に恐竜図鑑を見たが、、恐竜が2億年前から生きていて、時間の遠さや重さみたいなのを感じたと語った。横尾名人は「恐竜」の面白さと映像化、北山は「地球史」「炬燵」の取り合わせの落差を褒める。作者に思わず驚く様子の先生は、「地球史の恐竜遠し」という12音のフレーズに対し、今までの作者ならこの下五は作ってなかったと指摘する。例えば、「冬銀河」など雄大でカッコいいイメージのものを置き、空想的なイメージのみに終わる句で自惚れていたはずだが、「炬燵の夜」を置けるようになったことにささやかな感動を覚えたと述べる。温かい炬燵に足を突っ込み、恐竜の図鑑か年表か広げて思いを馳せる、知的で豊かな夜にリアリティがあると解説。さらに、「炬燵かな」などと安易な詠嘆をせず、「の夜」と時間を置くことによって、「地球史」の大きな時間と「夜」という小さな時間の対比の軸もできると述べ、上達したことを絶賛した。
●[50] @22/03/17◆お題:
階段orエスカレーター『静けさや一貫校の春休み』第6回春光戦予選C2位(予選敗退)添削なし
季語は「春休み」。兼題から中高一貫校のエスカレーター式に発想を飛ばした一句。中学から高校へ上がるとき、友達と別れるわけではないため、寂しさ・嬉しさ・悲しさが少し薄く、そういう静けさや穏やかさを表現したと語った。永世名人2名とも褒めるものの、東国原名人は少し物足りないと指摘。先生は、季語ではない抽象名詞+「や」+季語を含む12音の型で、季語と季語以外の言葉の質量のバランスを取るのが難しい中級者以上の技を用いたと前置きし、肩に力を入れず、サラッとやった点を褒める。兼題写真の「エスカレーター」から「一貫校」を思いつくアイデアも良いと褒め、添削を行わなかった。しかし、補欠2位の争いでは「静けさや」をさらに工夫できたと評し、決勝進出とはならなかった。
●[51] @22/06/09◆お題:
最後の一個『雷声や絶島のロンサムジョージ』名人5段へ
1ランク昇格添削なし
季語は「雷」。「ロンサムジョージ」はピンタゾウガメ最後の一頭の名で、2012年に死去して絶滅したといわれる亀。兼題から最後の一個と掛けたと語った。査定ポイントは「雷声」・「絶島」を選んだ是非。「良いたくらみ」と評す先生は、発想を飛躍する是非はある点を伝えるが、企みの良さを褒める。「雷」も「雷声」も現象として同じだが、「声」の一字があることで絶滅する生物の叫びのような印象を匂わしたと評価。「孤島」も同じような意味になるが、「絶」に絶滅・拒絶されたようなイメージも出てくると解説。「雷声」「絶島」の硬く大袈裟な響きが、「ロンサムジョージ」の存在によって、大袈裟にではなく企んでやっていると伝わると評した。
●[52] @22/07/14◆お題:
アイス売り場『青い氷菓を海に翳す放課後』名人6段へ
1ランク昇格添削なし
季語は「氷菓」。学校の放課後に「青い氷菓」、いわゆるガリガリ君を青い海に翳すという句。海も青いがガリガリ君も青く、その行為自体に純粋さを感じ、彼女にフラれたのか、テストの点が悪かったのか、切ない青春のワンシーンを感じさせる内容にしたかったと語った。査定ポイントは句の内容と韻律のバランスの是非。査定は本人談で判断されて「B」の結果を渡される。「心情がよく伝わる」と評す先生は、この句を長調で(明るく)奏でたいのか、短調で(暗く)奏でたいのかで査定結果が異なっていたことを明かす。「ガリガリ君」が出た段階で、明るい内容の意図だと思っていたが、「わーい」と楽しむ内容ならこの調べは似合わないと述べる。七六四という独特の韻律はどこか沈んだ暗い切ない憂鬱な調べで、「翳す」の表記にもそのようなイメージが重なっており、表現行為を認めたいと評した。最後、浜田にA査定の説明だと唆されるも真剣に対応する本人。連続昇格で6段に到達した。
●[53] @22/07/21◆お題:
メール『緋ダリアや「メール不達」のメール来る』第6回炎帝戦7位(58名中)添削後
『ダリアは緋「メール不達」のメール来る』
季語は「ダリア」。「緋ダリア」は緋色のダリア。昔、お付き合いしていた女性にメールを送ってみたが、"メールが送れませんでした"というメッセージの自動返信メールがきた寂しさを詠んだと語った。東国原名人は取り合わせた季語とフレーズの良さを褒め、後半を褒める横尾名人は「悲しい感じがあり、千賀らしい」と称賛。先生は取り合わせた季語が良いと押さえる。「ダリア」は好き嫌いが物凄く分かれる季語で、赤色に情熱的思いや派手やかさを感じる一方、何か不穏な感じもあり、俳人の間でも真っ二つに分かれると解説。その思いが後半のフレーズと、そこはかとなく響き合ったのが良かったと称賛。勿体ないのが「や」の詠嘆で、特色を入れるなら「ダリアは緋」と色の印象を後に持ってくるべきだと添削をする。「は」に意味が乗っかることで、"ダリアは色んな色があるが、今眼前にあるダリアは緋色である"、"色んなメールがあるが、今「届いてない」というメールがここにある。"と意味が重なると忠告。「は」の一字の有無の方が安易な詠嘆より重要だったと指摘した。本人は「うわ、勉強になったな。勉強になります」と素直に受け入れた。
●[54] @22/07/28◆お題:
水族館『旱星水槽のグッピー揺れる』名人7段へ
1ランク昇格添削なし
季語「旱星(ひでりぼし)」は7~8月の南の夜空に赤く輝く星。凄く暑い時期に、パッと水槽の中で泳ぐグッピーを見ると、ゆっくりとゆらゆら揺れていて、寂しさのようなものを表現したと語った。査定ポイントは「旱星」と「水槽のグッピー」の取り合わせた是非。「対比の工夫が見事!」と評す先生は最初に季語を押さえる。「旱星」が赤くて熱い夏の星で、夜でも暑さが下がらない感じで、「水槽」の冷たい感じと対比させる狙いがあると述べる。「旱星」と「グッピー」があたかも密かに交信しているような印象で、それと最後の「揺れる」が描写として効いてくると称賛。今まで詰め込む傾向があったが、17音に盛れる言葉の質量が分かってきて、感心していると褒めて成長を認めた。見事に3連続昇格に成功した。
●[55] @22/08/25◆お題:
駅の売店『涼風至る駅弁の木箱の香』名人8段へ
1ランク昇格添削なし
季語「涼風(りょうふう/すずかぜ)至る」は、夏の終わりを感じさせる涼しい風が吹くことを表す。上京前は、名古屋から東京に新幹線で往復したと語る本人。行きの際は希望に満ち溢れているが、帰りは複雑な気持ちを抱えることが多く、「涼風至る」で美味しそうな弁当の風が自分の鼻に届いて、帰りに買った駅弁が香る内容の句だと語った。ジュニア名人が「車内で食べているのではない?」と指摘し、本人は「想像が含まれる」と返す。査定ポイントは時候の季語「涼風至る」が主役になっているか否か。「五感を刺激する取り合わせ」と評す先生は、「涼風」も「涼風至る」も季語だと前置き。時候の季語は映像などを持たないが、「風」で皮膚感の情報があり、7音のため七五五のリズムを取る性格を持つと解説する。後半「駅弁の木箱の香」の取り合わせは、駅弁の木箱の香りに作者が爽やかな秋の気分を感じ取ったことを提示しており、季語を引き立てる措辞だと褒める。さらに丁寧に見ると、駅という「視覚」、木箱の手触りの「触覚」、折箱の臭いなど「嗅覚」、駅弁で食べる秋の「味覚」、駅のざわめきや売り子の声など「聴覚」と五感の情報がさりげなく入っていると述べる。「ご本人がそこまで考えたかどうか分からない」としながらも、結果論として成功したと評した。浜田の「考えてたんですか?」の御尋ねに本人は「勿論全部考えてました」とすぐさま肯定。4回連続昇格と絶好調である。
●[56] @22/09/15◆お題:
食欲の秋②『梨の滴り大地は幾度雨季を経て』第6回金秋戦予選C4位(予選敗退)添削後
『みずみずしき果汁よ梨よ雨季幾度』
季語は「梨」。梨のみずみずしさが凄く好きだと言う本人。梨が出来るにつれ、大地は雨季を経て雨が一杯降り、その水分を吸い込んで美味しい梨が出来ていることを表現したと語った。横尾名人から「昔のロマンチストの頃に戻った」と揶揄されるが、作者を知った先生にも同意される。梅沢名人が指摘した「"大地"の方が季語"梨"より目立つ」問題点を解消するため、本人の語った「みずみずしき」を用いて「雨季」と響き合う添削を試みる。先生と本人のやり取りで「果汁」という単語が引き出され、「果汁よ梨よ」で中七を、「雨季幾度」で下五を構成した。「幾度」に作者の思いが乗りつつ、主役の梨のみずみずしい果汁が口の中に溢れてくる添削例なら1位だったとの解説に、本人は落胆した。
●[57] @22/09/22◆お題:
磐梯吾妻レークライン(福島県)『ラジオからソウル会津は初紅葉』ふるさと戦④(福島)1位
添削なし
季語は「初紅葉」。ソウルは温かくてハートフルな曲が多いが、会津は歴史が深い地方だと思い、魂(ソウル)の曲を聴きながら車で向かっている心境だと語った。村上名人から「写真を見てるのに目を瞑りたくなる」と名言が飛び出す。先生は"写真俳句"として味わう時に、2倍3倍の味わいになったと称賛。「ラジオからソウル」は、写真と合わせれば運転中のカーラジオではないかと想像でき、地名「会津」と「ソウル」との取り合わせの問題も、「会津魂」の「利を求めず、義に生きる」を思い出させると述べる。会津魂とソウルという音楽との間に、何らかの響き合いがあることを作者は信じて取り合わせたのも伝わってくると解説。写真の中の、見事な紅葉の光景の中に一緒に読み手も入っていくような印象だと絶賛した。地元出身の梅沢名人を抑えて1位となり、「福島県ふるさと俳人」として黄金のタスキがミス福島から贈呈され、地元観光課のポスターに句の掲載が決定した。
●[58] @23/01/12◆お題:
ラッキー『冬ぬくし粘板岩に貝の跡』第6回冬麗戦3位(15名中)添削なし
季語は「冬ぬくし」。「粘板岩」は薄く剥がれやすい性質を持つ堆積岩の一種。冬の中で暖かい日を指す季語にも、ほんのりしたラッキーがあると語る本人。名古屋での化石発掘体験のロケで、ハンマーで粘板岩を叩いて化石を採掘するVTRを見て詠んだと語った。二階堂は「説明を聞いてもワケが分からない」とコメントして笑いを取る。先生はキチンと出来た作品と前置き。後半の「粘板岩に貝の跡」に対し、季語が動く可能性があり、「岩」「貝」に引き寄せて冷たい季語選びにも出来ることを解説する。しかし、兼題「ラッキー」に相応しい季語選びでありつつ、化石探しを楽しむ日とフレーズとも繋がってくる点を高く評価した。名人らが続々と下位に沈む中、特待生以上では最上位となった。
●[59] @23/03/16◆お題:
引越し[トラックの荷台]『木の芽冷え青いジャバラで家具包む』第7回春光戦予選B2位(予選敗退)添削後
『木の芽冷え青いジャバラで包む家具』
季語「木の芽冷え」は木の芽が出る頃の寒い気候を指す春の季語。「ジャバラ」は引っ越しの時に荷物にかける青い布。元々住んでいた家との別れの寂しさを表現したと語った。梅沢名人は「良い句だが、下五を逆の語順にすれば1位になれた」と添削例をあげる。先生は季語「木の芽冷え」の選択で寂しさ・不安に軸足を置く作者の意図があり、「冷え」と「青」の感じも響き合うのが良いと述べる。しかし、このような展開では下五が気になると指摘し、添削例を述べた梅沢名人を褒める。下五を「包む家具」とすれば、最後に物が映像として残り、「家具」を「冷え」がもう一度包む仕掛けになり、季語がさらに映えると解説。2位という結果に梅沢名人が「でも千賀君。残りますよ」とフォローするが、結局予選落ちとなり、本人は大変落胆した。
●[60] @23/05/11◆お題:
浜田雅功『嗚呼幾度目のピンマイク還暦の初夏』浜田杯4位(20名中)添削後
『幾度目のピンマイク還暦の初夏』
季語は「初夏」。浜田のイメージから「テレビスター」「ピンマイク」を思いつき、還暦で長く年を重ねられた感じを「嗚呼」に込めたと語った。先生は、2つのキーワードをうまく入れた句と評す。「還暦」が浜田へのご挨拶を示唆し、「ピンマイク」で職業をある程度想像させた上、さらに「初夏」の季語を入れても破綻しない形で成立させた点を褒める。そして、「幾度目のピンマイク」が「還暦」で吸収される構造だと解説する。惜しいのは「嗚呼」と呟く必要性で、これがない方がスッキリすると削除を提案。添削例ならベスト3入りが間違いなかったとのコメントに本人は「マジっすか?うーわ。"嗚呼"をこだわりとして書いたんですけどもね」と意気消沈。とはいえ、20名中4位と好調をキープした。
●[61] @23/07/20◆お題:
夕立『驟雨過ぎ海の詩集を買う港』名人9段へ
1ランク昇格添削なし
季語「驟雨(しゅうう)」は夕立のこと。家族で泊まった海沿いのホテルから3分ほど歩いた所に港があり、その周辺にある本屋さんで"海"の詩集を見つけた場面だと語った。ジュニア名人は「驟雨」「詩集」の韻の踏み方が良いと褒める。査定ポイントは季語に「夕立」ではなく「驟雨」を選んだ効果の是非。「確実に腕を上げている!」と評す先生は、今まではカッコいい光景でスベっていたが、今回は綺麗に入っているのが見事だと前置き。季語が「夕立」ではなく傍題の「驟雨」にしたのが大事な点で、「驟雨」「詩集」の響きが良い意味での静けさ・センチメンタルなムードに似合っていると高評価。最後に「港」を出すことで、雨上がりの雨・土・アスファルトの匂いや港の潮風・海の匂いなど、嗅覚の効果を押さえていると解説した。これで5回連続の昇格となった。
●[62] @23/08/03◆お題:
行きつけのお店『鰻待つ今日は台本家に置き』第7回炎帝戦12位添削されず
季語は「鰻」。土用の丑の日など、鰻を食べる特別な日の開放感を詠んだ一句。先生は、季語が動くのが問題だが、後半の展開が上手いと述べる。中七「は」で行きつけ感を出そうとする配慮は良いが、季語は「鱧(はも)」でも良く、別の食べ物の季語が入りそうなのが勿体ないと解説。惜しくもランク外となった。
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