2019年6月27日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
挑戦者→山﨑ケイ[初],宮田俊哉[14],近藤サト[2],渡辺徹[2],水夏希[2],千原ジュニア[37],鈴木光[7], ※数字は挑戦回数●お題:梅雨晴れ間の水たまり
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位72点 | 山﨑ケイ (相席スタート) | コロッケの香る踏み切り梅雨夕焼 | ころっけのかおるふみきりつゆゆやけ |
2 | 凡人2位65点 | 宮田俊哉 (Kis-My-Ft2) | あめんぼの水上スケート日暮れに散れ | あめんぼのすいじょうすけーとひぐれにちれ |
3 | 凡人3位60点 | 近藤サト
| 梅雨晴れにおつかいの轍くっきり | つゆばれにおつかいのわだちくっきり |
4 | 凡人4位50点 | 渡辺徹
| 手花火を携え急ぐ雨上がり | てはなびをたずさえいそぐあめあがり |
5 | 才能ナシ5位25点 | 水夏希
| 水映ゆる夏の空跳ね縁結び | みずはゆるなつのそらはねえんむすび |
6 | 3級へ1ランク昇格 | ●鈴木光
| 蹲のあめんぼ揺らす零雨かな | つくばいのあめんぼゆらすれいうかな |
7 | 1級へ1ランク昇格 | ●千原ジュニア
| 甥っ子とおいっ子と子と夕虹と | おいっことおいっことことゆうにじと |
→編集後記◆発表待ちシートで浜田 さあ、徹さんどうでしたか?
渡辺 今回は
夏井先生の本を2冊買って、俳句歳時記も買って…。
浜田 あら?
渡辺 ちょっと、勉強しました。
***
浜田 お隣は近藤サトさんでございます。
玉巻アナ 近藤さんは前回初登場ながら
才能アリの1位でした。特待生の期待もかかっています。
浜田 いきなり1位やった?
近藤 凄いプレッシャーですよ、だから。
***
ジュニア (鈴木光に)知ってます?この方。キャッチフレーズ、何でしたっけ?
山﨑 ちょうどいいブスです。よろしくお願いします。
浜田 (笑)
山﨑 (鈴木光に)可愛くって、若くて可憐でねぇ~。
鈴木 いえ、全然。
山﨑 絶対私の方が美味しい煮物作るから。
浜田 やかましい!どこで張り合うてる。
***
玉巻アナ 宮田さんは先月(5月)の東京ドームのコンサート(LIVE TOUR 2019『FREE HUGS!』)では、55,000人のファンから「
俳句、がんばれ!」と声をかけられて…。
浜田 これはもう、
嘘です嘘です。
宮田 いやいや、ホントですよ。
浜田 ドームやってないもん。
宮田 やってますよ。
浜田 やってんの?あ、そうなん。
宮田 何かこうMCの時に、
プレバト!!の話によくなるんですよ。
ジュニア ドームでしょ?
宮田 はい。
ジュニア これだけ55,000の中で、
俳句の話をしているアイドルあなただけですよ。
宮田 確かに。
***
浜田 1位、2位、最下位。徹さんの下がおひとりいます。
山﨑 これはマズい…。
宮田 めっちゃドキドキする。
***
◆1位
才能アリ72点 山﨑ケイ(相席スタート)
『コロッケの 香る踏み切り 梅雨夕焼』◎光景が描けている。仕事帰りの情景が浮かぶ。五感全てを刺激するよう言葉が配置されているのが上手い。
【本人談】兼題写真の奥にいるビニール袋を提げている人を自分のことに置き換えた。1日どうせ雨だろうと思い、家でグダグダしていたら、外に出てみるととっくに晴れていた。コロッケを食べながら、通り過ぎる電車を見て、「今日もなんか、1日無駄に過ごしたけど、こんな休日も悪くないか」と思う独身女性の休日のイメージを詠んだ。
鈴木 コロッケの香りだけでなくて、
雨の時の独特の香りも引き立てている。そこが本当に素晴らしい。
季語を引き立てていて凄いなあと思います。
本人 分かってる。
鈴木 ありがとうございます。
浜田 今のを聞いて、ジュニアさんどう思われますか。
ジュニア いやホントに、
今までのコメントの中で一番良かったわ!
浜田 もうええわ!もう。
夏井先生 句としてはしっかり出来ている。光景も書けている。
私は仕事帰りの人かと読んだ。
いつもの駅の、いつもの踏切で、そこに立っているとコロッケのいい匂いがしてくる、と。
さらっと書いているようで、
五感を上手に刺激してくれる。
味覚→「
コロッケ」の味のイメージ
嗅覚→「
香る」で揚げ物の匂い・焼いている物の匂い
聴覚→「
踏切」で見えてない警報機の音も聞こえる
触覚→「
梅雨」は湿り気の皮膚の感覚を刺激する
視覚→「梅雨」では映像を持たない時候の季語だが「
梅雨夕焼」で夕方の空の視覚を押さえる
ここがこの句の見えない丁寧な上手さ。直しは必要ない。
添削なし◆2位
凡人65点 宮田俊哉(Kis-My-Ft2)『あめんぼの 水上スケート 日暮れに散れ』◎上五の助詞と語尾の呼びかけは良く詩になっている。中七の下手な擬人化は凡人の特徴。良い句になるのに。
本人 まあ超安心、
めっちゃドキドキしてたんですよ。
【本人談】子供の頃から、水たまりにあめんぼがいるのをずっと見ていた。「あめんぼってどこに行くんだろう」「いつも夕方くらいに見えなくなるなあ」などと思った子供の頃を思い出した。
鈴木 「日暮れに散れ」という表現が
凄く勢いがあって潔いと思います。
宮田 ホントですか?その語尾「あめんぼの」「散れ」の
「の」「れ」でめっちゃ悩んだんですよ。
夏井先生 「あめんぼ”の”」「日暮れに散”れ”」は良い。悩まなくてよい。
むしろここを悩め。
→中七「水上スケート」を「水」を残して全て消してしまう先生
本人 そこダメなんですね。
夏井先生 なぜ
「水上スケート」と擬人化するのか、もったいない。
凡人は擬人化したらやった気になる。これは覚えて帰ってほしい。
本人 擬人化ダメか~。
夏井先生 擬人化が絶対ダメなのではなく、
上手にやらないとコケると、ずっと言ってるのだから、
学びなさい。
でも、良いのは良い。この句の
核には詩がある。
あめんぼが水面を滑っている。そのあめんぼに向かって夕暮れてきた。「日暮れに散れ」と。
この「散れ」は強い命令というより、柔らかく優しい「散れ」ではないかと思う。夕暮れてきたので、日暮れに散って帰りなさいよ、と受け止めた。
「日暮れに散れ」がいいのだから、
下手な擬人化をする必要はない。普通に”水面に滑っている”と書くだけでいい。
「あめんぼの
水面(みなも)」とし、スケートの代わりに「
滑(すべ)らか」とする。
夕暮れの光の中であめんぼの小さな動きが見えながら、小さな生き物に対する小さな愛の言葉のように「日暮れに散れ」。
いい句になるんですよ、あなた、もったいない。
本人 ほんとですね。
浜田 ジュニアさん、どうですか。直されてみて。
ジュニア この「滑らか」は
どんだけ(東京)ドームで喋っても出えへんやな。
添削後
『あめんぼの 水面滑(すべ)らか 日暮れに散れ』◆3位
凡人60点 近藤サト
『梅雨晴れに おつかいの轍くっきり』◎後半の場面描写は良い。「に」が散文的で破調にすべき内容ではない。定型で動静の対比をもつ季語を入れる。
浜田 はい、来た!サトー!(前回の)1位から3位来たほらー!
本人 ホントに3位?
【本人談】雨が上がって「おつかいに行ってくるわ」と言って自転車に乗ると、なぜか水たまりに入りたくなる。水に入った自転車の轍の跡が水たまりの先にスーっと出来て面白いと思い詠んだ。
鈴木 凄い
視点が詩的で面白いなと思います。ただ
「梅雨晴れ」が広い光景なので、アップになる時に「に」じゃなくて「や」とかの方が好ましいのかな、という気はしますね。
本人 なるほど。説得力があって…はい。
ジュニア ほんまにええこと言うね~。
夏井先生 光ちゃんの指摘はまず第一歩。本当に正しい。
良い所もある。「
轍」は車輪の跡のこと。「車」とか「荷馬車」にも使う。
「おつかいの」とあるので自転車だと。「
くっきり」で
映像をきちんと押さえる。そこら辺は良い。
問題点は「梅雨晴れに」の「
に」。
散文的な助詞の使い方で、ダラダラとした文章にしている。
光ちゃんが言ったように、「梅雨晴れ
や」にして1回カットを切る方法が1つ。
ただ、この句の場合は、
五七五のリズムを崩している。崩す必要があるのかというのが、もっと大きな問題点。この句の内容なら定型でいい。
「おつかいの」から始める。「
轍くっきり」で中七にスルっと行く。
本人 五七になった。
夏井先生 なったね。
「梅雨晴れ」の「晴れ」という情報を確保しながら、
少し「動き」を出すこともできる。
「
梅雨の蝶」という素敵な季語がある。
「轍」は跡なので動かない映像、そこに「梅雨の蝶」で動きが出てくる。
一句が空間として広がる。これで良い。
ジュニア 凄いわ。
一同 (拍手)👏
本人 いや、凄ーい。
宮田 美しい。
[ここがポイント]効果的な季語選び
※「梅雨の蝶」は梅雨の晴れ間を飛ぶ蝶。たった5音で情景と動きを表現できる季語。限られた音数の中では、より物語が広がる季語を選ぶことも大事なポイントの1つです。
添削後
『おつかいの 轍くっきり 梅雨の蝶』◆4位
凡人50点 渡辺徹
『手花火を 携え急ぐ 雨上がり』◎要素が多いのが問題。帰郷とわかるよう自分の書きたいことをを気持ちよく書く。兼題写真を引きずらない。
【本人談】都会だとなかなか花火が出来ない。子ども達が自分の田舎に行くのを楽しみにして、夏休みに花火をいっぱい買い込む。夕立が上がると急いで電車に乗って、子ども達が「行ったら出来るんだ」というのを楽しみに向かうというのを書いたつもり。
本人 書いてから後で、先生の本の残りを読んだら「
凡人はすぐ田舎に帰りたがる」と書いてあって、失敗した。
鈴木 ノスタルジックでいい風景だと思うんですけれど、やっぱり
要素がちょっと多いので、「急ぐ」とかを切って「故郷の」とかを入れないと、伝わってこないんじゃないか。
本人 あ~具体的にね。
ジュニア ええこと言うな~自分。
浜田 いや、おいおい。
鈴木 ありがとうございます。
浜田 褒めてるだけやん。
夏井先生 これは
光ちゃんの言う通り。
私の本を誤解している。
「凡人だから田舎に行く」というのは無いことは無いが、
田舎に行くなら「田舎に行く」と書かないとわからない。光ちゃんの言う通り。
「急ぐ」は不要。ましてや「雨上がり」すらいらない。
どうせ凡人なんだから「故郷」と書かないと。
「
故郷へ」と。「急ぐ」でも良いが、急ごうが何しようが行くので「
向かう」。
「
手花火携えて」と続ける。
自分の書こうとすることは本当に気持ちよく書いた方が良い。
凡人になるとかならないとかそんなこと思わないで。
本人 この番組、
それ気にしないで出られますか?
宮田 気になりますわ。
ジュニア そうですね。
[ここがポイント]伝えたい言葉を外さない
※お題の写真から、花火を持って故郷へ帰る様子を連想したのなら「故郷」が不可欠。その場合、どの言葉が不要なのかの吟味が大切で、場合によっては、写真の水たまりを忘れても全然問題はないのです。
添削後
『故郷へ 向かう手花火 携えて』◆最下位
才能ナシ25点 水夏希
『水映ゆる 夏の空跳ね 縁結び』◎非常に困惑する。車の水跳ねと恋の成就の意図は読み手に伝わらない。映像化してドラマチックな世界観を。
※水たまりの写真から、恋愛ドラマの1シーンを詠んだ一句。
【本人談】夏の雲が映っている水たまりを車が跳ねて、その水がかかった。イラっとしたら素敵な男性が降りてきて謝ってくれ、それが運命の人だったら良いなあと思って。
浜田 ジュニアさん、どうですか、これ?
ジュニア ちょっと…
先に、こっち(鈴木光を)聞いていただいて。
浜田 光ちゃん、どうですか?
鈴木 少女漫画みたいで発想が可愛らしいなと思う一方で、
「跳ねる」が車なのか何なのか、この句だけでは伝わってこない気がしますね。
浜田 なるほど。
せんせーい!→どうせ鈴木を褒めるフリをすると見てジュニアに聞かずに進行する浜田
夏井先生 これは、
非常に困惑する。
俳句の字面だけで、その
想いを全て読み取るのは無理。ほぼ伝わらない。
こういう時は、
何かストーリーを想像できる言葉を入れ込む必要がある。
「縁結び」が一番邪魔している。神社かと思った。
“
恋が芽生えるかもしれない”というのを書いたらいい。上五は字余りでも良い。
「
恋は突然」と書く。これだけで、”恋って突然よね”っとみんな思ってくれる。
→♬小田和正「ラブストーリーは突然に」のイントロが流れる
浜田 何を言うてんねん。夏井先生 映像に持ってくる。「
夏空跳ねる水たまり」とする。
ひょっとすると、車かなんかで水たまりにシュー、跳ねた、恋は突然…♬。
そう思ってくれる人が、10人のうち
半分くらいは出てくれるかもしれない。
添削後
『恋は突然 夏空跳ねる 水たまり』★特待生昇格試験★※タイトル戦は特待生最上位の5位となり、「
名人梅沢の急先鋒」として紹介される鈴木
鈴木 名人・特待生の方々がいらっしゃる中で5位をとれたのは、
これからの勉強になるなぁと思って。
浜田 あら~、これからの勉強言うてますからね~。
***
浜田 さあ、光ちゃん、自信のほどはいかがですか?
鈴木 そうですね。出来上がった時は良いかもしれないと思ったんですけれど、時間を置いてみたら
下五を間違えちゃったかもしれないなという不安はあるんですけど。
◆『蹲の あめんぼ揺らす 零雨かな』 鈴木光【本人談】神社の蹲(つくばい)という水の入っている石の容器にあめんぼがいて、静かな雨が揺らしている風景を切り取って詠んだ。
ジュニア めちゃくちゃ良い、ホンマに。これは、ええ…「
3ランク昇格」です。
浜田 お前が言うても。でも良いということですね。
ジュニア 良いですね~。
夏井先生 この句の評価のポイントは、
「蹲」「零雨」という難しい言葉を使ったことが成功しているか否か、ここです。
本人 あ~違うんだ。
■査定結果3級へ
1ランク昇格理由:手堅くまとめている
◎難しい言葉を無理なくまとめた。全体が優等生的で余裕の見える句。季語と勝負しアップの光景になる言葉を。
(査定発表時)
浜田 1ランク…(詰まって)昇格!→笑いでごまかそうとする浜田
ジュニア え?ちょっと待ってください。「1ランク昇格」を
今噛みかけました?何年やってるんですか?→特待生制度は2015年10月からなので、
3年半はやってます浜田 いや、違うの。1回「
降格」って言うてみようかなって、葛藤があったんですよ。
→笑いながら拍手するジュニア
浜田 でも光ちゃんに言っても「えー!!」っていう
驚きってそんなないかなと。
夏井先生 手堅く難しい言葉を、無理なく使ってまとめている。そこは褒める。
「
蹲(つくばい)」で、
神社やお茶室の庭先などにある手を洗う場所「手水(ちょうず)」とわかり、たった一字で映像化される。
「
零雨(れいう)」は静かに降る雨。
さざ波のような小さな雨粒があめんぼを揺らしていると分かる。しっかりと書けている。
ただ、
全体として優等生的というか、小器用にまとめている感じがある。
「
俳句はこの程度書いてりゃ先生OKって言うからいいかな」
というのが、少し見えた句になっている。
ジュニア そんなことないでしょう?え~?
夏井先生 いや、なっている。
ご本人が最初に「
下五がこれで良かったかなと作った後で不安になった」と言っていた。
正直に言えるところが、このお嬢さんは見事だなと、さっき聞いていた。
どういう方向に持っていくかを参考にやってみる。
「零雨」を諦めたとしたら、
蹲の中に浮いている「あめんぼ」とのガチンコの勝負になる。
どう映像化するか。
もっとアップの光景にする。
「蹲」から「零雨かな」と詠嘆すると、カメラワークが広くなる。そうすると「あめんぼ」への焦点の当たり方が緩くなってしまう。
「蹲に」から
雨の映像を入れて「雨粒」とすれば、かなりアップの光景。「あめんぼ
を揺らす」と書くだけ。かなりアップの映像になる。
水面に雨粒が落ちるアップの画面から、ちょっと広がると横にあめんぼがいて、雨粒の余波で”くらっ”と揺れた。こういう映像になる。
こういう所を
攻めて来てくださいね。
浜田 どうですか?こう直されると。
本人 アップにすべきと思っていて、どうしていいのか分からなかったんですけど、
本当に凄くスッキリしていい俳句になりました。
頑張ります。
[ここがポイント]焦点を絞る
※同じ雨の表現でも「零雨」は広い光景、「雨粒」は一点の光景。「雨粒」の方が蹲の中で揺れるあめんぼに、より焦点を絞った句にすることができます。
添削後
『蹲に雨粒 あめんぼを揺らす』玉巻アナ 続いては、特待生2級 千原ジュニアさんの昇格試験です。
浜田 あなた
もうちょっとでもう名人ですよ。
ジュニア いえいえ、そんなことないです。ちょっと最近、自分の中で置きにいって
現状維持が続いてた感じがあるんで…。
浜田 なるほど。
ジュニア 今回は、
冒険しました。
浜田 やりましたね~。どっちに振れるか。
ジュニア はい、吉と出るか凶と出るか。
◆『甥っ子と おいっ子と子と 夕虹と』 千原ジュニア浜田 うん?
【本人談】相方の千原せいじに息子(自分の甥っ子)がいて、妹にも小学生の甥っ子がいる。うちの子と3人で(外で)遊ぶことになった。その3人の遊んでいる姿を兼題写真に閉じ込めた。
鈴木 凄い優しい風景で私は好きなんですけど、ただ
「と」がどっちに転ぶか気になりますね。
夏井先生 この句の評価のポイントは
助詞「と」を多用した是非です。
浜田 ほらきた。言うてるやんかいさ。
■査定結果1級へ
1ランク昇格理由:見事な映像化
◎文字面の工夫で3人の人物が表現される楽しい句に。「と」の多用も遠近感をもつ効果で「子」の韻も良い。
(査定発表時)
浜田 1ランク降格~!→♪降格のSEが一瞬流れる
浜田 なーんてね!本人 (立ち上がって浜田を指さし)うわ~、びっくりした。昇…。
一同 (笑)
→♪昇格のSEが流れて本来の査定発表
浜田 光ちゃんじゃ無理やったやん!本人 (ガッツポーズで)やった~!
浜田 1ランク昇格で~す!もうあと一歩で名人。
夏井先生 耳で聞いた時には一瞬「え?」と思うが、
文字面の工夫で映像をきちんと作っていく。楽しい句になった。
「甥」「おい」の表記の違いで、
小学生くらいの「甥っ子」と
幼稚園くらいの「おいっ子」と勝手に想像した。甥っ子2人の後、「子」は
自分の子どもなんだと分かる。
ここが大事。「虹」は夏の季語だが、「夕」が出てくるだけで、
夕立が降った後に雨が上がり、虹が出ているのかもしれない。「
夕虹」という季語が読み手に光景を伝えている。
最後「と」で押さえることで、
遠近感を持って、3人の子どもと夕虹が後ろに広がるという映像化ができる。
さらに、「子」「と」で韻を踏んでいる。
韻を非常に効果的に考えて、言葉を選んでいる。見事に出来た。
随分前に運動会の句を詠んでいた。
2016年10月のジュニアの句 才能ナシ10点 運動会、老い、甥追い「おーい!!」あ、人違い |
とんでもない句を作っていた。あれは腹が立って怒った。あれが、ちゃんとこういうのに実ってくる。
本当に
コツコツと真面目に、あなたは学んでらっしゃる。
本人 (否定する仕草で)
真面目じゃないんですよ。違うんですよ。
夏井先生 偉い。
私は真面目に学ぶ人が好き。
本人 (元ヤンキーの性で)
破れているポスターは全部自分の仕業なんです。
浜田 嘘つくな。
添削なし編集後記今回は梅雨晴れ間の陸橋の水たまりがアップに映る写真がお題でした。後ろに映るのは京浜急行の1000系車両のようです。この時期は梅雨のテーマが続くのが定番化しています。
1位は早大卒で2016年のM-1ファイナリストでもある相席スタートの山﨑さん。基本の型を踏襲したように感じましたが、五感全てに訴えかけるという高評価を得ました。「踏み切り」とあえて送り仮名をつけたことで季語との漢字が重ならないのも小さい工夫に思いました。
2位は約1年ぶりとなるも14回目出場の宮田さん。凡人は8回目。コメントにもご指摘がありましたが、中八は成功しませんでした。しかし、下五の工夫は面白いですね。東大生からの助言にも物怖じも嫉妬もせずに自分の意見をストレートに言いますし、実体験を詠むことが多く、今後も期待できます。早く才能アリに回復してほしいところ。
3位は2回目となる近藤さん。五八四のリズムが機能しませんでした。轍に蝶が止まってくれるかのような映像を醸し出す添削にスタジオは拍手が起こりました。「梅雨の蝶」の添削はご指摘の通り、2年前の雨の銀座のお題で使われています。
4位は約5年ぶりとなる渡辺さん。前回も「日の光初のドライブ夢紅葉」と詠み凡人でしたが、しっかり夏井先生の本で対策をしてきたようです。「雨上がり」を消すのがタイムリーだという別の意味での指摘も実況版でありましたが、私は季語との因果関係が気になりました。さらに、再現用VTRで京王線に花火を持ち込み乗車する家族の映像がありましたが、花火は危険物扱いではないでしょうか(コメントでのご指摘ありがとうございました)。色々とツッコミどころのある内容でした。
最下位は4年ぶりとなる元宝塚雪組トップスターの水さん。前回は「紅梅が猛き富士見て踊り出す」で凡人63点でした。恋愛の一場面とは伝わりませんでしたが、宝塚女優だけにストーリー性の意図が良かったですね。ただ紹介が全カットだったのは残念でした。
特待生昇格試験は2人とも結果を出しました。
鈴木さんは「蹲」「零雨」という言葉を手堅くまとめて昇格。個人的には博識な東大生らしく、凡人には難解な句の印象で、季語よりも「零雨」に焦点を当てるのが勿体なく思いましたし、なぜ蹲に着目したのかが読み取れませんでした。他の俳句批評も全員分放送されて注目度も高く、的確な指摘は下手な名人をも既に凌駕するレベルです。しかし、夏井先生から厳しい言葉があり、実況版や他の俳句ブログも拝見いたしましたが、この一幕については様々な反応がありましたね。当方は、夏井先生からの”愛の鞭”だと解釈しました。これは、以前タイトル戦で東国原名人が「俳句の型に当てはめる作業には限界がある」と指摘し、優等生で欠点が見つけにくいからこそ、夏井先生もその意見を参考にして、もっと高みを目指してほしいと感じ、あのセリフが飛び出したのではないかと思ったからです。今までは比喩や聴覚主体の句が中心でしたが、映像描写でも若者らしい等身大の姿勢を見せてほしいのではないか、その上で「攻めてきて」と先生は期待しているように思いましたが、皆さんはどう感じたでしょうか。
さて、ジュニアさんも特待生中最多となる通算13回目の査定でようやく1級に到達。3級から降格も経験し、現状維持がかなり続きましたが、その間に急成長したという実感があります。発表時、私も以前の運動会の句を連想しましたが、字面による表現という他の特待生にない工夫がかなり実っています。「子」から連想する句が最近多いですが、実感がこもっており、好調な印象です。ただ、芸人らしく批評力はまだまだですかね。鈴木さんを立てる場面が多く見られました。1級はこれで4名となり、誰が次の名人になるか楽しみです。
そして、浜田さんが査定結果で遊ぶ場面がまた見られました。いつも笑っている鈴木さんを驚かして良いのかと番組的な反応を直前まで計算していたようです。それを前振りとして、芸人のジュニアさんに決行しました。以前は藤本・横尾両名人にも「現状維持」を「降格」と叫ぶ前科がありましたが、「昇格」を「降格」と叫び、SEに査定と異なる降格の音源が使われるのはどちらも初めてだと思います。
最後に、鈴木さんの査定で浜田さんが詰まったシーンで、ジュニアさんから「何年やってるのか」という発言が飛び出しましたが、この番組も長寿番組という認識になりつつあるのを実感しました。既に6年以上、放送回数は俳句以外も含めて正確にはわかりませんが、200回は超えているはずです。今回で通算の芸能人も500人、計1422句を数えます。これからもますます目が離せないですね。
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