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20190613 プレバト!!俳句紹介【梅雨の花屋さん】

2019年6月13日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→山口真由[3],斉藤慎二[6],藤真利子[2],榎木孝明[3],濱田マリ[3],北山宏光[22],東国原英夫[47] ※数字は挑戦回数

●お題:梅雨の花屋さん

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点山口真由
土砂降りのシャッター通り濃紫陽花どしゃぶりのしゃったーどおりこあじさい
2才能アリ2位71点斉藤慎二
(ジャングルポケット)
予報は雷雨まっさらな雨合羽よほうはらいうまっさらなあまがっぱ
3才能アリ3位70点藤真利子
むらさきに染みる恋文四葩抱くむらさきにしみるこいぶみよひらだく
4凡人4位65点榎木孝明
紫陽花が仔犬の仰ぐ先にありあじさいがこいぬのあおぐさきにあり
5才能ナシ5位30点濱田マリ
雨を汲み陽に向かう花咲くは幸あめをくみひにむかうはなさくはさち
65級で現状維持北山宏光
(Kis-My-Ft2)
梅雨晴間踊る長ぐつルラルララつゆはれまおどるながぐつるらるらら
 7名人10段で
現状維持
東国原英夫
花やぎを増して花屋の梅雨入りかなはなやぎをましてはなやのついりかな
→編集後記

◆発表待ちシートで
浜田 先生、今回の皆さんの出来はいかがだったでしょうか。
夏井先生 
今回は番組過去最高の平均点だと思います。で、今この顔ぶれ見てなぜと思っています。
***
浜田:さあ、まずは榎木さん。どうですか自信の程は?
榎木 前回、ほら凡人だったんで、俺の友人からうちの句会に入れと言うね。
暗に勉強しろと言う電話がかかってきたんで、かねてからずっと逃げてきたんだけど。
浜田 じゃあ今日は駄目ってことですね。
榎木 いやいや、頑張りましたよ。
浜田 大丈夫ですか、わかりました。
***
浜田 お隣は藤真利子さんでございます。
玉巻アナ お父様は直木賞作家の藤原審爾さん。ご本人も作詞を手がけてらっしゃって、松任谷由実さんと親交が深いそうです。
浜田 今日はどうなんですか、一年ぶりの俳句。
藤 去年出た時にキスマイの千賀くんが「基本がなっていない凡人」とボロクソに言ってくれて、私がちょっと睨みつけたらファンの子がネットで「なんなの💢あのオバサン💢」と書かれてギャーと。
浜田 そら千賀が悪い。
北山 うちの千賀が一番悪い、全部悪い
浜田 な?
藤 なんで、今日は頑張ります。
浜田 わかりました。
***
浜田 お隣は濱田マリさんでございます。
マリちゃん、自信はどうですか?
マリ 自信はあります。私いつもね、発想力は素晴らしいといつき先生も褒めてくださるし。
浜田 夏井先生ね。
マリ 下の名前そうですよね。
浜田 あ~「夏井いつき」ね。
マリ 間違ってなかった、はい。
浜田 名前で「いつき先生」ってなかなか言わへんから。
マリ すいません、紫陽花はすごく好きな花なので私の才能が爆発した句が出てきてしまいました。
***
浜田 山口真由さんでございまーす。
玉巻アナ  山口さんは東大を首席で卒業した後、財務省に入ってキャリア官僚になりまして、その後財務省をやめてハーバード大学ロースクールを卒業したという才女でいらっしゃいます。
浜田 すげえよなあ。今回どうですか自信の程は?
山口 今回は自信あります。作り方をちょっと変えたので。今まで自分なりに作ったら悲惨な結果だったので、夏井先生のおっしゃる素人が一番詠みやすい詠み方で作ることにしました。
***
浜田 まあどうなるんでしょうか。さ、それじゃあ早速
斉藤 ちょっと、浜ちゃん!浜ちゃん!
玉巻アナ  斉藤さんは過去5回挑戦して、才能ナシが1回凡人が4回という結果です。
斉藤 いや~でも。結構得点は上がってきてるんで。
浜田 最初だけだったもんね、才能ナシはね。
玉巻アナ  おっしゃる通りです。1回目こそ最下位だったんですが、そこから3年半という長い年月をかけ、牛歩のように2位まで成長されました。
浜田 ゆっくり来るね。
斉藤 これをきっかけに母親も俳句教室通ったりして。
浜田 えーマジで?
斉藤 この番組が大好きで。なぜか手品教室も始めました。
***
山口 これ緊張しますね本当に。
マリ 帰りたい帰りたい。
浜田 まあどっちもちょっと…。
マリ 二人で帰ろう。
浜田 おい聞けや!どっちも自信がないということで。

◎それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 山口真由
土砂降りの シャッター通り 濃紫陽花
◎中七までで映像化され「通り」で季語の地面との印象と結ばれる。無機質・鮮やかな色合いの対比も良い。

本人談
雨が強く降ってきたので、水たまりを避けながら寂れた商店街を走っていたら、思いがけずそこに紫陽花のはっきりした鞠が盛り上がって見えて、商店街のシャッターと丸いコントラストがすごく綺麗だなと思い詠みました。

東国原名人 いやー山口さんはね。東大出て財務省に行ってさ、弁護士になってさ~。1回も挫折を味わったことがないんだ。
浜田 何を言うてんねん。
東国原名人 俳句で人生勉強しろと思ってたら、こういうの持って来られるからね。取り合わせが多分できているよね。
浜田 あ~そうですか。えーっと、(北山は)ええわ。せんせーい。
北山 なんで?

夏井先生
まず「土砂降り」、天候が出てくる。「シャッター通り」は場所。
そして、最後に「濃紫陽花(こあじさい)」季語が出てくる。
それぞれの言葉がそれぞれの言葉を邪魔しないように選ばれている。ここはもうしっかりクリアしている。
雨降りではなく土砂降り。言葉が目に入った瞬間に音とか雨のしぶきも一緒に伝わってくる
それがどこに降ってるか、シャッター通り。
全部シャッターを閉めたひなびたような店がずっと続いているんでしょうね、映像が全部出てくる。
さらにもう一つ押さえたいのは「通り」。「シャッター街や」でもいいが、シャッターが降りている街になる。
「通り」でどこが得するかと言うと、地面に植わっている紫陽花と地面の印象と結ばれてくる
「シャッター街や」とやると空間が大きくなり、そこが違う。
「シャッター通り」で最後に「濃紫陽花」が出てくる。
シャッターの無機質な色合いと紫陽花の鮮やかな色合いの対比ができている
これは言葉を丁寧に押さえて型もしっかりと勉強していて、お見事。直しは要りません。

本人:ありがとうございます。

添削なし

◆2位 才能アリ71点 斉藤慎二(ジャングルポケット)
予報は雷雨 まっさらな 雨合羽
◎七五五の調べが内容と合致した。「予報」では季語の力が弱いが下五で補強されている。中七で実感もある。

斉藤 斎藤さんだぞ!
→トレンディエンジェル斎藤の上着をひけらかすモノマネを披露する
浜田 その斎藤ちゃう。
藤 うわ、初めてだ。
浜田 なんやねん、お前。自分でびっくりしてるやんか。
藤 びっくりしましたよ、浜ちゃん。
浜田 お前が2位ってなった時に東さん思わず立ち上がったよ。
斉藤 東さん。
東国原名人 びっくりした。たまに爆笑取るときあるんだよね。ジャングルポケットが。
斉藤 「たまに」って、いつもスベってるみたいな感じ。

※お題の写真の子供に目を向けて詠んだ一句だが、実は季語の使い方に工夫があります。

【本人談】
久しぶりに雨の予報が出て、子どもが雨の中でもはしゃいだりしたい。その中で、まだ使っていない雨合羽を初めて着て、お花を選びに行くっていうところをちょっと表現したいと思い、本当は五七五で今まで守りの俳句だったのだが、今回は七五五とやってみた。

東国原名人 雨合羽」(あまがっぱ)を季語とみるかは一つ論点でしょうね。これね~、よく頑張りましたね~3年半
本人 1年ぐらい呼ばれてない期間がありましたから、はい。
→斉藤は今回の出演も約1年ぶりだが、2回目と3回目の出演期間に約1年10か月ものブランクがある。

夏井先生 
これは七五五を意図的にやったということだが、内容と七五五が合致している。
よく考えたのか偶然なのかわかりませんが、結果論としては成功している。
本人 よく考えましたよ。偶然じゃありません。
夏井先生 ありがとう、考えていただいて。
雨合羽の問題なんですが、雪が降る時の「雪合羽」、それから「夏合羽」みたいな言い方があるんですが、「雨合羽」という言い方だけで季語として捉えるのは無理がある
ところがどっこいここに「雷雨」という季語がある。「雷」は立派な季語。ただ、「予報は」ですから、まだ雷雨は来てない。
季語の気配のようなものを感じさせた後に、「雨合羽」が出てくるので、ちょうどいいような相乗効果になっている。
この真ん中の「まっさらな」何かな?と思った瞬間に「雨合羽」が出てくる。
何か新しい雨合羽をゴワゴワしながら取り出している。そんな感触もある。
これはよく考えたか偶然かはわかりませんがよくできました。
本人 偶然じゃない先ほど言いましたよぉ。
夏井先生 そうですか、直しません。
本人 (立ち上がって)ヨッシャ!初めて。

[ここがポイント]
季語の入れ方
※「予報は雷雨」だけでは雷雨という予報に過ぎないので、季語としての力は少し弱い。しかし、最後に「雨合羽」という具体的なものを持ってくることで、全体が梅雨の雰囲気を出し始めるのです。

添削なし

◆3位 才能アリ70点 藤真利子
むらさきに 染みる恋文 四葩抱く
◎綺麗な言葉が美しく取り合わされ調和するのが良い。「咲く」でない着地も物語。中七のニュアンスを微調整。

※四葩(よひら)とは紫陽花のこと。

【本人談】

小雨の中、初恋の人に一生懸命書いた恋文・ラブレターを握りしめて、しっかりと紫陽花の花を抱きしめたら、その時に花の色が手紙に染まってしまったという。

東国原名人 綺麗ですね、綺麗。「四葩咲く」としがちなんですが、あそこを「抱く」っていうのはね、なんかね。ウーン、その後の余韻が…抱かれたい。
浜田 何を言うとんねん。

夏井先生 
とても綺麗な言葉が美しく取り合わされて、調和しているのがまず一番いいところ。
むらさき、恋文、そして「四葩」というのが分かりにくい人もいるかもしれないが、紫陽花のことを四葩と言う
紫陽花の花びらのように見える部分は本当は萼(がく)だが、あの花びらっぽいのが四つある。
この字は花弁の意味になる。これが紫陽花のこと。
東国原さんも指摘していたが、最後の「咲く」じゃなく「抱く」を持ってくる展開も物語
今お話を聞いてて、あっと思ったところが一箇所だけある。
染みる」という動詞。ご本人のお話の中に別の言い方でこの部分を解説なさった。
染まる」っていう言い方。この点。「染みる」と「染まる」はニュアンスが違う。
染みる」は滲んで広がっていく感じ。「染まる」はその色になるそんなニュアンス。
お話を聞く限りはここは「染まる」ではないかなという風に思った。紫色に染まる恋文、なぜ染まるか?四葩を抱きしめていたから
そういう展開ですから、「染まる」の言い方の方が一句の世界に馴染むのではないかなという風に思う。これは微調整だけで十分。

添削後
むらさきに 染まる恋文 四葩抱く

◆4位 凡人65点 榎木孝明
紫陽花が 仔犬の仰ぐ 先にあり
◎描く光景は良い。季語と「仔犬」の大きさの対比が良い。語りが散文的なのが勿体ない。この人はすぐ伸びる。

【本人談】
犬大好きなんで、ちょっとちっちゃいワンちゃんを散歩して連れて行く人をずっと見てたら、犬が止まってふと見上げたらその先に紫陽花がふわっと咲いていた。その状況をちょっと思い出して。

東国原名人 「仔犬」から始まって最後の目線の先に紫陽花という着地の仕方があるので、そっちの方がもしかしたら良かったかも。でも「先にあり」の着地は僕は好き。
浜田 ちなみに北山はどう思う?
北山 「ちなみに」って何ですか?
浜田 一応聞いといて、後で編集ではカットできるようにという…。
北山 いや僕はね、ちょっと語順が…。
浜田 カットですね、わかりました。せんせーい!

夏井先生 
これは描こうとしてる光景がとても良い
紫陽花の大きなボリューム、大きなモコモコとしたものですから。
それと、犬という生き物との大きさの対比みたいなのがここでちゃんと出てくる。
何がもったいないか、本当に本当に惜しいんです。
語りが散文の語順になっているという小さなもったいなさなんです。
【散文的】
味わいや奥行きが感じられない

東国原さんもおっしゃったが、「仔犬」から始まって仔犬の仰ぐ先に紫陽花があると持っていくこともできる。
どこにカメラをまず当てて、画面をどう展開していくかという問題になる。
この語順を尊重した時に、どうすると説明ではなくなるか。2カットの光景にするだけ。
紫陽花が揺れているとその光景を先に書く。「揺れる」と書けばいいだけ。
その先に紫陽花がぽっともう1回見えてくる。ここでカットが切れる。
「紫陽花が揺れる仔犬の仰ぐ先」とこの語順で行きたければ、これでも十分いける。
こういう目の付け所はとても俳句的で、この人はすぐ伸びると思います。

本人 ありがとうございます、嬉しいです。

[ここがポイント]
情景を2カットで描く
※一句が散文的になっている場合は、2カットの情景に作り変えてみるのも一手です。
榎木の句では、紫陽花が仔犬の先にあるというワンカットで表現されていますが、「紫陽花が揺れる」とアップの情景から入り、「仔犬の仰ぐ先」と2カット目へいけば、説明的な句から映像的な句へ早変わりします。

添削後
紫陽花が ゆれる仔犬の 仰ぐ先

◆最下位 才能ナシ30点 濱田マリ
雨を汲み 陽に向かう花 咲くは幸
◎紫陽花のなぞなぞ。下五で慌てて俳句っぽくしているだけであまりに陳腐。季語をしっかり入れて完成を。

※五七五の中になど紫陽花の文字を忍ばせる工夫を見せたが才能ナシ

【本人談】
梅雨時に雨という恵みを受けてたまに青空に向かって咲く紫陽花は強いなと。幸せの象徴やないかと、ふふふふ。(急に真顔になる)

東国原名人 
これはダメですな。ダメさで秀逸だわ。例えば季語がないとか、何が言いたいのか分からないだとか、でもこういうのがないと番組が面白くないからね。
浜ちゃんはこういうの好きよ、大好きよ大好物ね。

夏井先生 
これは俳句というよりはなぞなぞ
雨を汲んで陽に向かう花はなーんだ?」と問われながら、紫陽花でしょうよで終わる。
下五までいくと、なんか慌てて俳句っぽい顔をしてみたが、「咲くは幸」があまりにも陳腐ではないかと。
こういう感じではございます。せめて季語を入れるところだけ修正してみる。
雨を汲み陽に向かうって言う、ここら辺が言いたかったんはず。でも「向かう」と「咲く」を二つ書く必要はない
「向かう」にはさっさと帰って頂いて、「雨を汲み陽に咲く」でいい。次に「花」にこようかなと。
名前は何だ、何でしょう?「名は」とちゃんと書くんですよ。
浜田 「紫陽花」って書いたらえぇ。
夏井先生 その通りですよ。せめて書いて。
本人 えー!
夏井先生 「えー!」じゃないよ
もうなぞなぞを完成させて終わりにする。

本人 先生、今日私に結構辛く当たるね?
夏井先生 今日だけではないです。ずっと辛く当たっています

添削後
雨を汲み 陽に咲く 名は紫陽花

★特待生昇格試験★
北山 今回ね、今ツアー中でして、東京ドームの楽屋とかだと俳句の話になるんですよ。作らしていただいた時に名人3級(正確には3段)の横尾先生いるじゃないですか。横尾先生に「大丈夫!」というお墨付きをもらいました。
浜田 じゃあ今回は行けると。
北山 いける!
浜田 「東京ドーム」というのは嘘ですよね?
北山 本当だわ!

◆『梅雨晴間 踊る長ぐつ ルラルララ 北山宏光(Kis-My-Ft2)

【本人談】
兼題写真の子供の長靴が可愛いと思ったんですよ。梅雨の晴れ間に思わず長靴が嬉しくて鼻歌を歌いながらスキップしていたりするのかなーと。

東国原名人 「踊る」とか「舞う」とかね~、(安易な擬人化の動詞は)ちょっと嫌うんですよ。
このルラルララ(→普通に言えてる!)…ラル…ラルルラ…ラルル?ルラルラ?ルラルララ」というオノマトペは僕は楽しくて良いと思う。

夏井先生 
この句の評価のポイントはここ「間」の一字
浜田 何それ?
本人 間?

■査定結果
5級で現状維持

理由:助詞を効果的に
◎下五の音を褒めたいと思ったが持ち歌の歌詞とは衝撃。作詞家が偉い。時間と空間を表す助詞を使うべき。

夏井先生 
助詞の問題は後で説明するとして、良いところから。
梅雨晴間」という季語が入ってきますが、「長ぐつ」という具体的なものが出てくる。
最後の「ルラルララ」という音が明るくて楽しいし、オリジナリティもあると思うんですが。
本人 あの先生。歌詞の中にあるんですよ、その「ルラルララ」が。
→Kis-My-Ft2が現在ライブツアーで引っ提げているアルバム「FREE HUGS!」に収録されている曲に「ルラルララ」と同名タイトルがあることを暴露。
夏井先生 あんたが考えたんじゃないの?
本人 (あっさりと)違います。
東国原名人 あれれれ?
夏井先生 すごく褒めたいのがここだったんだけど、じゃそれは作詞家の人が偉かったということか?
一同 笑
夏井先生 そういうことか?
本人 そうなりますね。
夏井先生 そうなりますね~。今、衝撃の事実に驚いてどうしたらいいか分からないんですが、まあそこは作詞家を褒める!
助詞の問題に戻る。「梅雨晴間」とやるとここで軽く切れるような印象になる。ここでこそ助詞。これは「」。
“梅雨晴れの時間と空間を”という助詞のニュアンスになる。動詞で攻めるなら、「踊る」は「跳ねる」ぐらいにしてもいい。
ここの中七の表現は色々できる。
私が一番褒めたかったのは「ルラルララ」だった~(強張る表情で)。
一同 笑
浜田 こりゃ、しゃーないわ。

添削後
梅雨晴を 跳ねる長ぐつ ルラルララ

★永世名人への道★
◆『花やぎを 増して花屋の 梅雨入りかな 東国原英夫

【本人談】
花屋さんは梅雨に入ると、花がすごく豪華絢爛に華やかになるが、周りは梅雨で暗くなってくる。梅雨に入って、花屋さんはちょっと花やぎを増したかような雰囲気を表現した。

本人 「花やぎ」という言い方が言い過ぎなのか、「増して」がどうなのか「かな」という詠嘆がどうなのか…
浜田 全部やん!

夏井先生 
この句の評価のポイントは、中七「増して花屋の」です。

■査定結果
名人10段で現状維持

理由:(非公表)
◎対比の目の付け所は良く上五と詠嘆は効果的。動詞「増して」が説明。「他と比べてさらに」の意味の副詞に。

夏井先生 
目の付け所はいいですね~。
暗くなりがちな街の中でお花屋さんの店先だけがいつも以上に華やいでいるとここに目をつけるかという感じ。
ご本人は「花やぎ」が気になったようですが、これはいいと思う。
「花やぎ」というちょっと漠然とした言い方ですけど、この後「花屋」という明確な場所が出てくるので、花やぎの種類は否応なく分かる
そして「梅雨入りかな」。ご本人は「かな」も心配していましたが、この場合の詠嘆は、“何と美しい花やいだ梅雨入りでしょうか”と展開するため、「かな」も効いている
問題はここ「増して」という部分。何が問題なのかと言うと、少々説明的になっているということ。
「増す」という動詞について。動詞は動きを表現する時にはすごく効果的に機能してくれるが、状態とか状況を書くときにちょっとやり方を間違えると説明的になってしまいがち
本人 おっしゃる通りです。「増して」のところをずっと考えました。国語辞典をずっと引いて「あ」から始まって「い」で終わりました
夏井先生 
こんな時に「増してるんだよ」と言いたいが、どうするか。
例えば「尚も」とか「一層」とか「益々」という言い方をすると、「増して」でなくても想像できる。
東国原さんが言いたいのはこれじゃないかなと思います。「殊(こと)に」。この副詞は、“他と比べてさらに”とか“他と比べて際立っている”という意味。
まさに他のお店と比べて花屋さんだけが花やぎを増している。これがあなたの言いたいことではないかと。ここをこれにしておくだけで1ランク昇格でした。
浜田 なるほど~。いや、でも現状維持なんで、お二人とも次回頑張っていただければと思います。

添削後
花やぎの 殊に花屋の 梅雨入りかな

編集後記
今回は梅雨の花屋さんということで、目線を花に下ろした写真で子どもが一人映っていました。梅雨と花は紫陽花を中心に番組でも定番のお題です。平場に才能アリ経験者がなく、全員がリベンジでしたが、才能アリはなんと3人。番組最高の平均点という夏井先生の言葉にコメントもいただきました。今回が過去最高ではありませんが、印象としてハイレベルということでしょうね。
1位は前々回が才能ナシ、前回が凡人と調子を上げている、語り口が独特の山口さん。岩永さん同様の逆襲という結果に。型に当てはめて手堅くまとめた印象ですが、色彩の対比が褒められました。添削例以外での「濃紫陽花」は、かつて梅沢名人が「曇天に俯く北の濃紫陽花」で詠んでいます。
2位はジャンポケ斉藤さん。今回が初の才能アリでしたが、七五五の破調で来るとは予想だにしませんでした。季語も「予報」では力が弱いですが、下五で補強されるというテクニックも中々高度で、破調以外にも意図的に仕掛けたとしたら策士ですね。将来的に特待生になる可能性も垣間見えます。
3位は藤さん。前回は「赤信号驟雨にまぎれ奪ふ唇」と発想は面白くもリズムが悪い句でしたが、恋心を思わせる「抱く」という動詞が今回は機能しました。「染まる」は凡人が好きなワードと紹介されますが、これは比喩ではなく「染色する」という本来の意味なのでOKですね。「染みる」は「滲む」とも捉えられるので、添削でニュアンスを変えたのだと思いました。
4位は榎木さん。「仔犬」という表記により小さく幼い子犬のイメージが出て、紫陽花を見上げる動作が想像できます。助詞「が」は散文的になりやすい印象がありますが、それ以上に2カットの映像を工夫して見せるという点に添削の方向性があるように思いました。
最下位は濱田マリさん(司会の浜田さんと被るため、本文は下の名前で表記しています)。なぞなぞ俳句でしたが、「紫陽花」の漢字のうち2つしかないので、なぞなぞだとも感じ取れず、「花」が桜を表す季語かなと混乱する一句でした。以前、方正さんが「のぞみ」「ひかり」で新幹線俳句を詠み、「こだま」も入れろと先生からお叱りを受けましたが、同様にウィットに富んだ方向でいくなら上五を「紫の」としないと完成型にはなりませんね。
さて、特待生昇格試験は査定に苦しむ2名が登場。
キスマイ北山さんは5級として史上初の4回連続現状維持。「踊る」の擬人化が安易で「ルラルララ」でも伝わる感じがしましたが、グループの宣伝のつもりだったのか「歌詞にある」発言が飛び出し、せっかくの褒めポイントで墓穴を掘ることに。「くつ」を平仮名にすることで子どもを想像させる工夫は理解できますが、発想がかつての「蝉歌う僕らの『さんぽ』の音にのせ」と似ていて特待生らしくなかったのが残念。横尾名人がなぜお墨付きだったのか…。ジャニーズの特待生3名はこれで通算10連続現状維持と遂に1年間昇格知らずとなりました。前回昇格が横尾名人の「おもいではぽろぽろ遠い二重虹」と高畑勲氏の追悼句になります。
そして9度目の「永世名人への道」挑戦となる東国原名人。昨年の梅雨明けのお題で「顔に×」騒動を起こし、花屋のお題で「首にキス」など過激な発想が見られるので、今回も期待しましたが前進できず。「花やぎ」と梅雨空の対比は面白く、「花」をリフレインすることで言葉を押さえるのも確かな技術な印象でした。しかし、不安要素を複数抱えていたようで、本人の予想は的中した感じ。発想が先行して表現力が疎かになる傾向が強く、どれだけ発想が良くても添削されたら終わりのこの制度では東さん苦しいですね。対照的に発想は飛ばずとも、自身の知識で勝負する梅沢名人とは対照的です。名人昇段中のような伸び伸びとした発想で、これしかないと自信が持てるような句で勝負してほしいです。
 
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コメント

Re: タイトルなし

鍵付コメントありがとうございました。

ご指摘の箇所、確認後に訂正致しました。

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No title

↑2
北山はスランプというよりかは、元々ラッキーパンチ&頑張ったで賞な感じで特待生にしてもらったようなものですし
やっぱり本人がまだその器じゃないんじゃないですかね
このままだと羽田圭介以来の特待生陥落も現実的になってしまうかも

「史上最高の平均点」というのを言葉通りに捉えると、
平成30年12月6日の「銀座のイルミネーション」の65.8点という回もありました。

ただ先生はいちいちデータを取って言っているわけではなく、
採点をした感触のことを指して言っているのだと思います。
「史上最高の平均点」というのは、先生が数詞を用いた添削でよく言う"美称"に近い表現だと思います。

No title

才能アリが3人は今年は3度目で、「番組最高の平均点」と言ってましたが、
今回は(72+71+70+65+30)÷5=308÷5=61.6
ですが、同じく才能アリが3人いる2/21の方が高かったみたいです。この回は才能ナシがいなかったので。
(73+71+70+55+53)÷5=322÷5=64.4

とはいえ、最下位を経験している3人中2人が上位に入るとはびっくりしました。
1位の山口真由さんは25点からの大躍進で1位を勝ち取りましたね。過去に最下位だったときMCに「先生分かりませんよ、岩永君の例もあるから」と言われてたので、予測通りこの人はやってくれると思っていました。ちなみに濃紫陽花は熊谷真実さんの句の添削で「母逝きて喪屋の標べに色紫陽花」→「母逝きて喪屋の標べの濃紫陽花」でありましたね。
2位の斉藤さんのチャレンジ精神のある755は、以前自身が凡人2位だった梅雨明けの回で、1位の伍代夏子さんが「Yシャツ眩し白南風の丸の内」と755で作ってたので、勉強の成果はそこも関係しているかと思います。最初の銀杏がベンチの上でひとやすみの幼稚な句と同じ作者とは思えない句でした。ちなみに、斉藤さんは過去に50点が3回連続してたこともありました。これは麒麟川島さんも経験していますがまだ才能アリはとってません。
3位の「染みる」→「染まる」はちょっと意外な添削でした。「染まる」はこの番組でよく先生が言う「失敗しやすい動詞ベスト3」に入っている動詞だからです(これも過去に斉藤さんが「一面の銀杏が染める通学路」でも指摘されています)。しかしこれは確かに「染まる」を使わないと言いたいことが伝わらないので、こういうこともありなんだなと思いました。

負のスパイラルに続いてまたしても最下位となった濱田マリさんはなぞなぞ・・・高畑淳子さん以来ですね。花というのは俳句では桜のことをいうので。

北山君はスランプですね・・・ただ才能アリを3つも見た直後に見ると少々物足りないと思いました。
俳句はテレビだから3行書きだけど、本来は1行で離さずに書くので、最初に漢字が「梅雨晴間踊」と5つ連続しているのが字面としても少々勿体ないか・・・と思いました。

このブログで最近導入された冒頭の表でもわかりやすく書かれてて、色々と勉強になった回でした。
長文で失礼しました。

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俳号「白プロキオン」。全てのブログ記事を編集しています。
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