2019年6月6日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎今回より挑戦者名と夏井先生の一行解説(50字要約)を追加します。挑戦者→中川翔子[5],パックン[3],渡辺正行[初],姿月あさと[2],水上颯[初],岩永徹也[13],立川志らく[18] ※数字は挑戦回数●お題:梅雨の物干しハンガー※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位72点 | 中川翔子
| 梅雨の音猫が眺める洗濯機 | つゆのおとねこがながめるせんたくき |
2 | 才能アリ2位70点 ▸特待生5級昇格 | パックン
| 五月闇干して三日の生乾き | さつきやみほしてみっかのなまがわき |
3 | 凡人3位55点 | 渡辺正行
| ツバメ達物干し竿に雨やどり | つばめたちものほしざおにあまやどり |
4 | 凡人4位50点 | 姿月あさと
| 吊るす場所考え始める走り梅雨 | つるすばしょかんがえはじめるはしりづゆ |
5 | 才能ナシ5位38点 | 水上颯
| 梅雨音の調和数列服眠る | つゆおとのちょうわすうれつふくねむる |
6 | 2級へ1ランク昇格 | ●岩永徹也
| 梅雨寒やジャズレコードの傷拾う | つゆざむやじゃずれこーどのきずひろう |
7 | 3級で現状維持 | ●立川志らく
| 洗濯機の中に住みつく梅雨空 | せんたくきのなかにすみつくつゆぞら |
→編集後記◆発表待ちシートで渡辺 俳句っていうのは
ドラマが見えてくる。スッと句を詠むと、ドラマがフワっと浮かんで来ればいい。
浜田 特待生そんなこと言うてますけど。
志らく さっき楽屋で「
全然自信ない」って。ガタガタ震えていた。
***
玉巻アナ 水上さんは俳句甲子園の優勝校
開成高校の出身です。
東大医学部の6年生なんですが、その甘いマスクで
「東大医学部のプリンス」「東大医学部の貴公子」と呼ばれています。
更に幼い頃から勉強しない天才児で、高校2年生まで
勉強しなくても全国トップレベルの成績を収めています。
浜田 ふざけんなよ!一同 (笑)
浜田 (鈴木)光ちゃんは2回で特待生になったんですよ。
水上 光ちゃんという物凄い存在が近くにいて、
プレッシャーがかかりますよ。
浜田 後ろのおじさん(志らく)もプレッシャーかかってるんですよ。
光ちゃんに何回も負けてますから。
志らく なんでこう私が出るとき、いちいち
東大生の刺客を…。
***
玉巻アナ パックンさんも高学歴で
ハーバード大学の卒業です。現在は
2回連続で才能アリを獲得されています。特待生の期待がかかっています。
パックン 今回は
しっかり研究してるんですよ。
浜田 マジか~。今日は自信があるということですね。
パックン あるある。先生の本も買った。
1400円もした!***
玉巻アナ 姿月さんは宝塚宙組の初代トップスターで、前回は
才能ナシでした。
姿月 今回までに
コソ練してきました。
浜田 研究はしてるわけですね。
姿月 してます!
***
玉巻アナ 中川翔子さんは過去4回俳句に挑戦していて、
最初に才能アリを獲得したんですが、その子は
凡人、
才能ナシ、
凡人と苦戦されています。
中川 でも、コツを覚えてきたので頑張ります。
浜田 ちょっと今日は自信が?
中川 (才能アリを)
獲ってやろうじゃないですか!***
浜田 (鈴木光)にアドバイスもらいましたか?
水上 基本的なことを落ち着いて守れば大丈夫と入れると。季語は入れるだとか、変な説明はしないとか。
浜田 それで出来てしまうんだったら腹立つよね。どう考えても。
岩永 勉強しなくてもできてしまう人だから恐い。
水上 自信は正直ないです。
浜田 腹立つわ~、落ちろ!お前は!渡辺 司会者が落としちゃだめでしょう。
浜田 頑張ってください。
渡辺 優しくして。
***
浜田 番組始まってテレビ見てる人は多分、「渡辺正行が最下位やな」と思ってたと思うんですが。左の席に座っていた段階で、「
あ、こいつこいつ」。
一同 笑
浜田 今までの皆さんの見ててどうですか?
水上 ちょっと
才能ナシは本当に嫌なんで。
浜田 相手が相手だけに。
中川 こんな高スペックな人に対してこの
防御力のなさ(大好きなドラクエに例えて)。
◎それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ72点 中川翔子『梅雨の音 猫が眺める 洗濯機』◎中七が良い。下五との大きさの対比が良く、映像化に成功。季語の置き方も大したもん。猫の句以外も見たい。
【本人談】梅雨の静かな雨が降っている中で部屋の中からなかなか出ない。静かに猫がこの時間を穏やかに見守っているなと言う。
本人 最初に出た時も
猫にまつわる俳句で1位をいただいたので、私にとって
猫はパワーアニマルですね。
→初回の句も自身の飼い猫から発想して才能アリだった。
岩永 リアリティがある句でいいと思った。
野良猫ではなく一緒に暮らしている猫と分かるんで、猫が好きな
しょこたんさんらしい句だと思う。
本人 あ~、良い人!
浜田 志らくはんが
悪い人みたいになる。
夏井先生 梅雨と洗濯機の句は実はいっぱいある。
しかしながら、この
中七が良い。何を眺めるんだと、洗濯機。
「猫」と「洗濯機」の二つを配することで大きさの対比もできる。
映像が確実にきっちり出来上がってくる。これを強く褒める。
今回面白かったのが先ほどの最下位の句と1位の句と上五がほぼ一緒。
「梅雨音の」とやるとどうも違和感があるが、「梅雨の音」だと
梅雨という時候の頃の様々な音という感触になってくる。
もちろん雨の音や、反対に静けさのイメージもあり、窓の外を行く車が水を跳ねる音が微かに聞こえるなど、色んな梅雨の音を聞こえるようにしている。
真剣に考えて置いたんなら大したもん。
洗濯物がたまって動かすことができない洗濯機かもしれないし、動き始めた洗濯機かもしれない。
猫の不思議そうな怪訝そうな顔が見えてくる。
あなた、
猫の句書かせたら上手いんですね。
これは直しは要りません。
浜田 先生これパックンには勝ってますよ、特待生は?
夏井先生 そうですね、
猫の句以外で良い句を見せてもらったことがないんでね(特待生は見送り)。
添削なし◆2位
才能アリ70点 パックン『五月闇 干して三日の 生乾き』◎リアリティを追求し数詞と「生」の臭いが良い。心理的な意味を込めた意図も季語で機能した。特待生で良い。
浜田 ほんまに、ずっと
才能アリとってる。
【本人談】先生の本に書いてあった通り。この季節にバッチリ合う響きの良い5音を見つけて、それを描写する7音を。それ全部にバッチリ合う季語を持ってくればもう誰でも作れるということなんですよ。
浜田 いやお前もう。
岩永 「生乾き」というのですごく
臭いも来ますし、いいなと思う。
志らく 「
五月闇」なんて、持ってくるのがすごい。
本人 天気だけじゃなくて、
主婦の心の闇と例えているんです。
浜田 知らん!せんせーい。
夏井先生 発想そのものが非常にオリジナリティがあるタイプではないが、
リアリティを非常に追求している。
特に中七下五が良い。「三日」というこの
数詞もリアルだし、生乾きの「生」が良い。本当に臭いもしてくる。
このフレーズにどんな季語を持ってくるか。ここが一番大事な肝のところになるが、
心理的なものも入れ込んだんですね?
本人 はい。
夏井先生 それを聞くと、この季語は
季語として機能していると思う。
「五月闇」は陰暦の5月梅雨の頃の本来は夜の暗さに使う言葉だが、それが
昼にも使われるようになった。
【五月闇】夏の季語 梅雨の頃の夜の暗さ 昼間の厚い雲に覆われた暗さ |
上五の季語を変えていくと「三日の生乾き」の感触が変わってくる。
例えば
昼のどんよりとした感じにしたかったら、ストレートに「
梅雨曇(つゆぐもり)」と持ってきても構わない。窓の外の梅雨曇りの空が見える。
それから皮膚の感触。この
生乾きを冷たくすることもできる。「
梅雨寒(つゆざむ)や」とすると、生乾きの温度が変わってくる。
季語は色んな微妙な表現ができる。でもまあ、こういう難しい季語を持ってくる意欲を褒めましょう。
これは直さないでいいですよ。
本人 恐縮です。ありがとうございます。
浜田 ちなみに
3回連続才能アリ獲ってるんですよね、この人。
夏井先生 本当に
安定している。大したもんだと思います。この人は
特待生になっても、そんなに困らないんじゃないかしらねぇ。
浜田 えっ!?マジっすか?
いやでも、
来月帰るもんな?国な!本人 日本に不動産買ってますよ!帰れないよそんな簡単に。
浜田 パックン、特待生昇格~!
玉巻アナ おめでとうございます。
本人 恐縮です。
浜田 次回から上を目指して。
本人 ん~。やっぱり国に帰るか。
添削例(添削なしを許容)
『梅雨曇 干して三日の 生乾き』
『梅雨寒や 干して三日の 生乾き』◆特待生昇格句◆3位
凡人55点 渡辺正行
『ツバメ達 物干し竿に 雨やどり』◎発想がキングオブザ凡人。季語の片仮名表記の意図は微塵もない。下五の擬人化を映像化すると良い。
【本人談】
梅雨時ってこうジメジメして嫌な感じがあるんですけども、ツバメはこういう梅雨時にふっとこう物干し竿で一休み。梅雨時のゆったりした感じ。そういう感じを詠んだ。
志らく ツバメを漢字で書かないと先生に怒られます。
本人 え?そうなんすか?
志らく カタカナの意味がたぶんあれば別だと思うんだけど、
「ツバメ達」ってことはないと思いますね。他に
燕(つばくらめ)とか俳句には良い言葉がありますから。
本人 そうなの?
岩永 僕はオープニングで
俳句にドラマを作りたいと言っていたので、それは
僕は伝わってきて良いと思った。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 この句は発想としてまさに今回の
キングオブザ凡人の句。
燕って言ったら大体
凡人が考えるのは物干しで雨宿りしてるってことね。
志らくが指摘したカタカナは、
俳句では基本的に生き物・植物の名前は漢字で書くと。
ひらがなで書いたほうが効果的な場合も勿論あるし、あえてカタカナで書くという選択肢もある。
でもこの句の中にあえて
カタカナで書く意図は微塵も見えない。
まさか漢字が書けなかったとは信じ難いが、漢字で「
燕」としっかり書く。
そしてもう一つの問題点。この
「雨やどり」と擬人化するのではなく、
映像をきちんと書くだけで、「
あ、雨宿りしているんだな」と読み手がちゃんと読んでくれる。
まずどこから行くか。物干しの竿から。「干し竿」だけで十分。「
干し竿に」でちょうど上五ができる。「
雨の燕の」と展開する。
最後に映像化する。「
ひと並び」とでもしましょうか。「達」はいらなくなる。
そうすると、最後のところで
映像化され、複数に違いないということも伝わる。
同じ凡人の発想でも映像化すると点数は上がる。
本人 いや~、
上手いこと言うね。
[ここがポイント]安易な擬人化より映像を
※「雨やどり」はありがちな擬人化。燕のどんな様子が雨宿りに見えたのかその映像を描くべき、「雨の燕のひと並び」と描写することで、季語が主役として見えてくるのです。
添削後
『干し竿に 雨の燕の ひと並び』◆4位
凡人50点 姿月あさと
『吊るす場所 考え始める 走り梅雨』◎等身大で詠む姿勢は良い。何を吊るすかで誤読を生み、中七が字余りで説明的。行動を表現してより臨場感を。
【本人談】
洗濯物が乾きにくくなった梅雨に入って、「どこに何を干そうかな」と考え始める時期が来た。
志らく 「考え始める」が中八になってしまっている。
岩永 見た時に
「吊るす」はてるてる坊主かな?と思っちゃったんで、
読み手を誘導できるともっと良くなるかなと。
本人 なるほど。
夏井先生 二人とも偉い。大事なところをそれぞれ言い当ててくれた。
この句は全部読んでいくと洗濯物かしら?とたどり着けはする。
自分の等身大で作ろうとしているところも悪くはない。
ただ
特待生の言った2点を変えるだけ。
「吊るす」は簡単なこと。吊るすから、
てるてる坊主に間違えられる。「
干す場所
を」とする。これで洗濯物がすぐに出てくる。
問題は
「考え始める」が説明になっている。ちょっと工夫して、
臨場感があるようなあなたの行動をそのまま書く。
今の話が生々しかった。あっちにしようか、こっちにしようかとやっている。それを書くだけ。
「
あれやこれやと」に。微量、臨場感が出てくる。こうすればキングオブザ凡人(3位)に勝てたかも。
[ここがポイント]説明ではなく描写
※「考え始める」は単なる状況の説明です。「あれやこれやと」とすることで、悩んでいる様子や動作が想像でき、多少の臨場感を確保できます。
添削後
『干す場所を あれやこれやと 走り梅雨』◆最下位
才能ナシ38点 水上颯
『梅雨音の 調和数列 服眠る』◎中七の比喩と下五の擬人化で一句がしつこい。片方に絞り17音に合う分量を。表現の核は良く将来性あり。
浜田 才能ナシや!
渡辺 キミ、
38点だよ。
志らく 38点の東大生初めて見た。
浜田 これは光ちゃんも見てると思いますよ。
本人 後で、申し訳ないと言っておかないと…。
※高校数学で習う
調和数列とは、簡単に言うと1/3、1/5、1/7…のように、
分数の分母の差が等間隔になる数列(→逆数が等差数列)のこと。
【本人談】
梅雨のぴちょんぴちょんという水が落ちていく音は単調に聞こえるが、場所によって速い音も遅い音もあって、それが子守歌のように服を寝かしつけている感じかなと思って詠んだ句。
志らく 「調和数列」って何だい!?服が最後眠っちゃうし、ちょっと
頭で考えすぎてしまってるのかな。
浜田 そっか、説明聞けばってとこですね。
夏井先生「梅雨音」は梅雨の雨音でしょう。
雨音が「調和数列」みたいだという比喩、
服が眠るという擬人化。
たった17音の中に
比喩と擬人化を盛り込むと、どっちもが損をする典型的なケース。
こういう場合は
比喩で一句、擬人化で一句と二つに分けるとちょうど良い塩梅の分量になる。
「調和数列」という言葉を俳句に持ち込んでくるのはなかなか面白いのでこっちを活かす。
「
雨音は」から始める。「
調和数列」でこっちに戻り、「
梅雨の朝」
と時間帯を入れると清々しくなる。これくらいの分量が17音の分量に合ってくる。
いずれにしても
今回は才能なしだが、
表現したいことの核がしっかりあるので
将来性のある才能ナシのタイプ。
浜田 いやその後のあなたの逆襲がどうなるか。
志らく 今のうちに潰しておかないと!
浜田 本当に絶対上がってくるよね~。
添削後
『雨音は 調和数列 梅雨の朝』★特待生昇格試験★浜田 さあ、岩永君自信は?
岩永 僕はもう今んとこ
2連続で昇格できているので、早く
名人になって着物を着たいです。
◆『梅雨寒や ジャズレコードの 傷拾う』 岩永徹也【本人談】
実際、梅雨の時期にジャズ喫茶に行ったことがある。ジャズが流れていて、時々針が傷を拾って音が飛ぶ。そのことを店員に聞いたら、「梅雨の時期はこういう音飛びをしやすい」と。その様子を季語「梅雨寒」で取り合わせた。
志らく とても良い句じゃないですか。説明を聞くと俳句も良いし人も良いから、この人の事を
悪く言うとものすごい悪党に思われる。
本人 何でも言ってください。
夏井先生 この区の評価のポイントは
季語「梅雨寒」と下五「傷拾う」の関係です。
■査定結果2級へ
1ランク昇格理由:触覚と聴覚を巧みに表現した句
◎「音」と書かずに聴覚を見事に表現。「寒」「傷」の呼応で触覚が、動詞で湿気も伝わる。丁寧に作れている。
夏井先生 まず触覚の方から行く。
季語「
梅雨寒」は寒さなので皮膚で感じる。
皮膚感・触覚に軸足がある季語。
季語を「や」で強調して、カットも切れる。
最後の「
傷拾う」が出てくる。この「傷」は実際はレコードの傷だが、「拾う」という言葉は
皮膚のイメージを持つ。
「寒」と「傷」で微かに響きあってくる。
しかも、レコードを聴いてて傷を感じるというのはまさに音が飛んだ瞬間。ここに「音」という言葉は全く入っていないが、「
拾う」という動詞でその飛んだ時の音を読み手の耳にありありと聞かせる。
そういうところを
丁寧に考えて作っている。
それから、
レコードの溝一本一本に梅雨寒の湿気が及んでいるかのような感触も全体から伝わってくる。よく勉強している。
直しはいらない。
添削なし浜田 さあ、志らくはんです。
志らく ここで止まるわけにはいかない、
どんどん上に上がらないと。
浜田 そりゃそうです。
◆『洗濯機の 中に住みつく 梅雨空』 立川志らく※五七五の基本の型を崩し、全部足して17音という破調の句。
【本人談】
梅雨時期は洗濯物が乾かない。それがもう嫌になって、洗濯機の中に梅雨空がいるような気持ちを、定型でも詠めたが破調にすればドンと迫力が出ると思って思い切り冒険した。
岩永 「洗濯機の中に住みつく」ときて誰も「梅雨空」が来るとは思わない。最後にみんなをビックリさせる
素敵なサプライズの俳句だと思う。
本人 良い人だ!浜田 岩永、お前いい加減にせーよ!夏井先生 この句の評価のポイントはここ
「住みつく梅雨空」の是非です。
■査定結果3級で
現状維持理由:語順が違う
◎破調と展開がやり過ぎ。上五・下五のありがちな取り合わせを表現する意欲は良い。読者へ問いかける語順に。
夏井先生 なんて
勿体ないことをするんだ、この男はと思っている。
発想は非常に面白い。「洗濯機」と「梅雨空」とありがちなものを
どう違う形で表現しようとするか。その意欲は強く評価したいと思う。
あえて破調にする、住み着くのが何か最後にサプライズ。ここが
ちょっとだけやりすぎている。
本人が思うほど最後に梅雨空が出ることで面白いというよりは、むしろ
「何それ?」と思う人の割合が多くなる。せっかくの発想だから、
きっちりと伝わる形にした方が絶対に良かった。
「洗濯機の中に」の後に、サプライズいらないからさっさと「梅雨空」を出す。最後に「住みつく
か」。この
「か」の押さえが大事。
まるで洗濯機の中に梅雨空が住み着いているかのようじゃないかと読者に問いかけてくれる。
読者は「そうですね、志らくさん」と答えることができる。
浜田 (真顔の本人に)
なんちゅう顔してんねん。
本人 やっぱり
まだまだ甘いんですね。
浜田 でも現状維持ということですからね。
本人 そういうこと「か」ってやつですね。
添削後
『洗濯機の 中に梅雨空 住みつくか』編集後記今回は梅雨をバックに複数の洗濯バサミがぶら下がる写真がお題。実際に雨の日も多くなってきました。
1位は猫の句を詠んだ中川さん。独特のタッチの絵でお馴染みですが、俳句でも2度目の才能アリ。基本の型ではありますが、下から洗濯機を眺める目線が映像化されていましたし、上五でしっかりカットを切ったことで、猫の心情も色々と想像できる一句でした。特待生候補となり、今後にも注目です。
2位は特待生に昇格したパックンさん。「五月闇」という季語に心情を込めたということで、添削なしでもOKということでした(コメントご指摘ありがとうございます)。この時期に三日も生乾きの臭いがするのは困るので、漂白剤や乾燥機の使用、洗濯はこまめにするなど色々徹底する必要があり、考えさせられますね。
3位は初登場の渡辺さん。発想は凡人でも映像化はできていました。「雨やどり」が擬人化というのは個人的にはあまり問題点に感じませんでしたが、雨やどりする燕の心情に寄せて書くと違ったのかもしれません。
4位は元宝塚女優の姿月さん。中八「考え始める」は説明でしたね。「あれやこれやと」とすることで、季語の「走り」も生かされるように感じました。
最下位はクイズ番組で活躍する水上さん。高校で習って以来の「調和数列」が馴染みが薄すぎてポカンとしましたが、等差数列の逆数をとった数列ということですね。さすが東大生の発想です。ただ、音楽の世界では結構常識なようで、楽器の音律は数列に基づいているそうなので、水上さんは雨音にも様々な音階があり、その旋律で子どもが眠るという鈴木さん同様音楽から発想したのだと後で理解しました。しかし、凡人には唐突過ぎで、下五も蛇足な印象なのが残念でした。岩永さん同様の逆襲があるのでしょうか。
特待生はどちらも3級の2名が挑戦。
タイトル戦ではめっぽう弱いものの、査定は好調の岩永さんは連続昇格。「傷拾う」という負の側面を描写した点が良いですね。かつて石倉三郎さんが「梅雨空にジャズの流れて夢二の画」で75点をとるなど、聴覚にもう1つの感覚を表現した句は強い印象です。
一方の志らくさんは2級返り咲きならず。破調も得意ですが、中七まで出た瞬間に、「妖怪」「蟲」とかつて詠んだ生物がくることを想像しましたが、そこで季語の比喩だとは思いません。ただ、意味はわかりにくかったですね。もう少し素直な描写にも挑戦してほしいです。
さて、今回は良い人キャラで褒めスタンスの岩永さんの批評が好調な回でした。勉強量も凄いですが、頭の回転も速いですね。今後、ますます期待できます。
また、2位でありながら特待生昇格の前例についてですが、特待生制度が明確になって以降に1位が昇格ならず、2位のみ昇格は初の事例です。皆藤愛子さんも一斉昇格試験では2位でしたが、1位の河合さんと同時に特待生に認定されています。また、コメントにもご指摘がありましたが、かつて友利新さんが1位・梅沢さんが2位という回もありましたが、この時は特待生制度がなく、友利さんは初、梅沢さんは9回目の才能アリでしたので、その実績で特待生が制度化されたとみるのが自然かと思います。
最後に、今回からブログ編集に音声認識を取り入れ、速報版から名簿と先生の50字要約コメントを追加しています。オープニング会話については毎回掲載するとは限りませんが、これらの点について、ご要望等ある場合はコメントいただけると助かります。
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