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20180426 プレバト!!俳句紹介【春の動物園】

2018年4月26日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

●お題:春の動物園

◆1位 才能アリ70点 桜雪(仮面女子)
象の歩に 見えては隠る 雀の子

【本人談】
子供たちの目線になったとき、大きな像と目線にある小さな雀を対比したら面白いと思い、象が歩いた時足の間から見えたり隠れたりする雀の子を見てしまうという光景を詠んだ。

村上名人
上手いし、のどかな光景が凄く浮かんでくる。

夏井先生
こんな丁寧に物を見られる人はなかなかいない。
「雀の子」が春の季語だが、「雀」だけでは季語にならない。春は鳥が恋をする季節だからである。
子供の目線に自分が立つと写真に入り込んでいるのも良い。
「象」と「雀の子」の大小の比較も使えている。
俳句において「見える」という動詞が必要なことはそんなにない。
「見えて」いるから書くのであるから、これが惜しい。
「隠れて」の後に「跳ねて」とすると象の足元でチョンチョン動いてるという動きが映像になる。

添削後
象の歩に 隠れて跳ねて 雀の子


◆2位 凡人65点 寺田農
はな子には 足止めぬ子ら 夏近し

【本人談】
動物園に今の小学生は興味がない。みんな塾などやることいっぱいあるから象なんかに構ってられない。
「ゾウだね~(そだねー)」というのはこっから出たんだよw

浜田
ちょっと殴っていいですか?

豊崎アナ
ダメです。

村上名人
「はな子」と書いて象とわかるのかな?

東国原名人
おっしゃる通り。発想はすごい。小学校の時俳句で1回褒められたのが…

浜田
馬鹿にしてるでしょ!

夏井先生
名人2人の指摘したところだけが唯一の問題。
発想は褒めたい。遠足・動物園という言葉を使わないで表現しようとしているのは俳人的。
上五は字余りにしてよいので「象の」と入れる。
こういう発想ができる人は俳句のコツ・ルールを覚えるとすぐに才能アリが見える。

[ここがポイント]
固有名詞は具体的に

添削後
象のはな子に 足止めぬ子ら 夏近し


◆3位 凡人55点 金子恵美
春風に ゆられ長鼻 檻の主

【本人談】
暖かい春の風が吹き始めた頃動物園の檻の中の象も眠い中で風に揺られている長鼻をそのまま詠んだ。

東国原名人
長鼻と象とイメージが重なっているのが残念。

村上名人
象の鼻は春風に「揺られ」るほどか細いというより「吹かれて」の方がいいのでは?

夏井先生
名人2人とも大事なところを押さえている。
言いたいことはかなり伝わるが問題点がいくつかある。
「春風」と「象の鼻」のゆらりというのどかな気分は似合っている。
春風「に」ゆられと来るから村上さんの指摘の通りとなる。
「長鼻」があるから「主」はいらない。
「春風の檻や」で一回切る。「ゆらりと」とし、「長き鼻」として寸詰まりな言い方も解消し、調べも良くなる。

[ここがポイント]
カットを割って映像を明確に

添削後
春風の 檻やゆらりと 長

◆4位 才能ナシ35点 光浦靖子
春昼に ひび割れのまま 象と脛(すね)

【本人談】
暖かいポカポカの日に初めてヒートテックを脱いでスカートをはいて動物園へ行った。
象を見たら相変わらずシワシワだなと思い、クリーム塗り忘れたと気づいて自分の脛を見たらバリバリだったというドキュメンタリーを句にした。

東国原名人
「象と脛」って久々に吹いたわ。

夏井先生
パッと見た瞬間に誤解して読んでしまい、今日の1位だと思った。
「象のすねがひび割れている」という句かと思い、少し添削して
春昼 ひび割れ深き 象」とすれば、象の脛がありありとクローズアップされる。
「スゴイ!」と思って1回1位にしたが、もう一回読み直したら「己の脛」かよ。
この語順では本人の言いたいことが全く言えてない。
自分の脛は見るのをやめて、ちゃんと目の前の対象を詠みなさい。

添削後
や 象のごとく ひび割れたりし

◆最下位 才能ナシ15点 風間トオル
象よりも ゲーム気になる ミモザ達

【本人談】
子供たちは象を見ていない。象よりもゲームが気になっている。
写真の黄色帽の園児がミモザの花のように見えた様子を詠んだ。

東国原名人
問題山積。季語「ミモザ」を擬人化すると季語の力が弱まる。

夏井先生
話聞いて下五の謎が解けた。「よりもゲーム」なので「気になる」は不要。
上五を字余りにするしかない。「象よりもゲーム」と言い放つ。
「ミモザのような」とし、説明的になるけど「黄色帽」として子供たちの比喩とわかるように。
所詮15点。

添削後
象よりもゲーム ミモザのような 黄色帽

★特待生昇格試験★

◆「象の糞 豊かに崩れ 穀雨かな」 村上健志(フルーツポンチ)

【本人談】
わざわざ動物園に行った。穀雨は晩春の季語で穀物の種子や芽を潤す雨のこと。
象の糞って大きいけど目の前で崩れていく感じで生命力がある。
もう夏が近づいて春が深いという生命力にあふれている2つを取り合わせただけの俳句。

東国原名人
ポンチ君は動物園に行く時間があるのが良い。

夏井先生
この句の評価のポイントは季語「穀雨」の是非です。

■査定結果
名人4段へ1ランク昇格

理由:付かず離れずの感覚が◎

夏井先生
付かず離れずとは季語「穀雨」と季語以外のもの「象の糞」の取り合わせで、季語を説明するのではなく「象の糞」に偏るのでもなくちょうどいい塩梅になっていること。意味の上ではつながらないが、イメージの上で似合っている。
穀物を育てる雨、食べた後の豊かな糞、という2つのイメージ。よく持ってきた。
目の前で現場で糞が崩れているのを表現するならば、「かな」で詠嘆するよりも「ゆく」とするのがいい。

添削後
象の糞 豊かに崩れゆく穀雨

◆「春深し 象舎の壁の 罅(ひび)長く」 東国原英夫

【本人談】
象舎の壁に罅が長い。老朽化なのか象がぶつかったのか。
老朽化であれば象も年を取っているかもしれない。しわも長いのか、深いのか。
そこに「春深し」という季語を合わせた。いかがでしょうか。

村上名人
さすが「こくばる」さん。繊細な所にいく暗さに焦点を当てるのがうまい。「春深し」がどうなのか。

夏井先生
この句の評価のポイントは季語「春深し」の是非です。

■査定結果
名人7段へ1ランク昇格

理由:季語選びのセンスが良い

夏井先生
この句の季語もまさに付かず離れずをうまく選んでいる。句としてはどんな季語でも成立する。
季語「春深し」は初春・仲春・晩春と三分割した最後の晩春の傍題である。
「晩春や」とすれば「そういう時期」というだけで終わる。
「春惜しむ」だと心情にぐっと傾く。
「春深し」と「罅長く」のバランスが良い。「深し」と「長く」もイメージも対応している。
繊細な選び方ができるのはやはり名人。
直しはいらない。



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