東国原英夫の全俳句一覧

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「プレバト!!」で披露された東国原英夫の全俳句一覧です。
名人10段 東国原英夫 合計40句

成績(2018年12月13日時点)
<通常挑戦者時代>才能アリ1回
<特待生時代>1ランク昇格16回、現状維持9回、1ランク降格2回
【永世名人への道】☆☆☆☆☆ 前進  2回、現状維持 1回、 後退  2回(添削があれば即降格)
第1回俳桜戦優勝第1回炎帝戦3位第1回金秋戦優勝
第2回俳桜戦優勝第2回炎帝戦決勝7位(最下位)、第2回金秋戦決勝8位(最下位)
俳句甲子園'18延長戦で9票/11票で判定勝ち
査定とは別に2017年月間MVH二度受賞(4・9月)
昇格率 56.3%(18/32)
◆添削なし秀句 17句/39句(俳句甲子園は除く、降格査定による添削不可は母数のみ含める)

「プレバト!!」では誰にも真似できないほどのずば抜けた発想力の高さが評価され、査定1発で通算5人目の特待生に昇格する天才肌。
しかし、特待生となった当初は下手な擬人化に走るなど、発想力に技術力が追い付かず、夏井先生に「暴れ馬を乗りこなせていない」と評され、通常回では季語を侮辱するなどして降格を経験。一時崖っぷち特待生になるも、そこで目が覚めたのか夏井先生が感服するほどの特待生一の勉強量が実を結び、梅沢、フジモンに次ぐ3人目の名人となる。
特待生5級から名人になるまで12回の査定は5人いる名人の中で最多であり、昇格と降格を繰り返す波乱万丈なドキュメンタリー的な展開が番組的に印象付けられ、NHK大河「風林火山」のテーマ曲が紹介時に流れるようになった。
句の特徴は県知事時代の経験を踏まえた独創的な描写力が持ち味で、ネガティブな場面描写やシリアスで意外性のある展開をもつ句が多い。当初は大胆なスケールをもつ発想の句が目立ったが、近年は体言止めにして余韻を膨らませる句が大半を占める。
本人は毎回「チャレンジ句」「名句」などと称して自身の句の趣旨を力説しており、その成果が実って視聴者からの反響がある句も少なくない。
また、類想類句にならないように注意を払うなど研究心も旺盛で、本人は夏井先生をはじめとする出演者の句をよく覚えており、NHK俳句の夏井先生のコラムを丸暗記するなど傾向と対策を練って番組に臨むほどである。
夏井先生からは「他人の句に対する意見や自分の句に対する解釈が理論的で的確であり、客観的分析力は他の追随を許さないほど伸びている」と絶賛されており、自分の句を選ぶ力を持っているとも評価されている。
素の実力の高さと番組に提出する句の取捨選択の判断力が功を奏し、名人になってからは一度も降格せずにハイペースで昇格を重ね、ライバルの梅沢富美男やフジモンを段位で猛追して一時単独トップの奪取にも成功。そして、梅沢に続く2人目の名人10段に到達した。
タイトル戦は3度栄冠を手にするなど、査定のかからないランキング戦に強い傾向があったが、【追記】の通り一連の盗作疑惑騒動でメンタルがやられたのか第2回炎帝戦では最下位に沈む大成敗。特待生初期時代に多かった17音に詰め込みすぎて技術が伴わない癖が出て、浜田から「メンタルが弱い」といじられた。また、昨年優勝した金秋戦でも下五のミスで最下位に。タイトル戦の成績は両極端で、「季語」がテーマの場合と「季語以外」がテーマの場合の成績格差が激しい。本人は、「フォーカスする対象があると苦手」と発言している。
そして「永世名人」をかけた試練にここまで5度挑戦。夏井先生から「ぶっ飛ばすと思う」と期待されている通り、初回の査定では見事に一歩前進を決めたが、2回目の査定では後退。そして、3度目の挑戦は切れ字の使いどころで高評価を受けて再び前進したが、4回目は再び後退と一進一退の攻防となる。5度目の挑戦は現状維持と厳しい査定が続いており、本人はこの試練を「奥の細道」と呼んでいる。
俳句甲子園の企画ではチームのトリとして俳句を披露。会場を轟かす世界観の句で見事に高校生チームに勝利した。


追記
名人9段に昇格した[31]「梅雨や指名手配の顔に×」が、昨年の2017年6月宮崎日日新聞に掲載された投句「梅雨や指名手配の顔に×」に酷似しているとツイッターで投句者の友人から指摘があり、ヤフーニュースおよびスポーツ紙で取り上げられて本人が謝罪する事態となりました。本人は盗作を否定し、番組の提出句は番組制作側と協議の上取り下げる方針であると説明していました。
また、2018年8月2日の放送でこの騒動について説明がありました。


●[1]お題:紅葉の京都・南禅寺
紅葉燃え 五右衛門殿が 屋根に立つ才能アリ1位70点

添削後
屋根に立つ 五右衛門殿や 紅葉燃ゆ
盗賊として有名な石川五右衛門の釜茹での逸話を、大胆な発想で例えた一句を絶賛されて特待生に昇格。

[ここから特待生として査定]

●[2]お題:冬の銀座
進撃や 夜(よ)時計響く 雪巨人」5級で現状維持

添削後
進撃や 雪の巨人と 夜(よ)の時計
東京の銀座三越の時計塔を「進撃の巨人」に喩えた大胆な発想でファンタジーな世界を表現し、抽象名詞+「や」+季語を入れたフレーズという難しい型への挑戦が高評価。「夜時計」「雪巨人」の名詞の寸詰まりを指摘され、「進撃や」の勢いで大時計が響くイメージを想像させる語順に直された。

●[3]お題:房総半島 菜の花列車
一輛の 端で待つ君 すみれ草」5級で現状維持

添削後
一輛の 傍に待つ君 すみれ草
写真の女学生を恋愛対象となる「君」と表現し、ホームで電車を待つ思春期の恥じらいやおしとやかさを「すみれ草」に喩え、敢えて雄々しい句ではなく夏井先生のハートをえぐるような女性目線で詠んだと語った句。「端」では電車のどこを指すか不明瞭とされ、車外なら「傍」、車内なら「隅」にするべきとアドバイスされた。助詞「で」も後ろに続く動詞が動的な場合であり、「待つ」の静的なイメージに合う「に」に添削され、「無難に置きに来て詰めが甘いのはダメなんじゃないすか」と駄目出しを食らった。

●[4]お題:教室と桜
椅子しづか あの日のごとく 窓に花」4級に1ランク昇格

添削なし
卒業後の教室の様子を「椅子しづか」で描写した表現力と読者の想像力の誘導を絶賛され、特待生の見本のような句と評されて初昇格。

●[5]お題:茶畑と新幹線
新茶踏み 鉄の白竜 まっしぐら」5級へ1ランク降格

添削されず
本人は茶畑の自然を新幹線という文明が踏みつけた句と説明したが、「新茶」は茶摘みが終わってすでに製品として出来上がったもの。新幹線の比喩表現と色彩的対比は褒められたが、「踏み」の擬人化が安易であり、季語を馬鹿にして自分の努力をドブに落としたと痛烈に批評され添削すらされず、崖っぷち特待生に転落。

●[6]お題:五月 日光・華厳の滝
滝落つる 水の身投げの ごとくなり」4級へ1ランク昇格

添削後
滝落つる 水の身投げの ごとなり
前回の降格を受け、土下座をして査定に臨んだ一句。後藤夜半の名句「滝の上に水現れて落ちにけり」のような視点を持ち、「身投げ」という擬人化への挑戦で、季語とあと一工夫という17音の器を理解したと認められ、見事昇格。

●[7]お題:梅雨と猫
老猫や 背筋のばして 見る蜥蜴(とかげ)」3級へ1ランク昇格

添削後
老猫や 背筋を伸ばし 視る蜥蜴
動物同士の生の緊張感を表現した名句と語った。想像力とリアリティーが褒められたが、「て」が緊張感を緩めるとされ添削された。

●[8]お題:夏の海とバス
日雷 バスのブレーキ キーと鳴る」2級へ1ランク昇格

添削後
日雷 バスのブレーキ 鳴る路面
聴覚の一点に絞り瞬時の緊張感を詠んだ名句と語った。「チャレンジ精神にあっぱれ!」と評され、「日雷」という聴覚を主体とする季語にさらに「ブレーキ」という別の音を重ねながら季語を主役に引き立てるという難しいチャレンジを絶賛。添削例なら2ランク昇格もあり得た句。

●[9]お題:ひまわり畑
向日葵や 眠るむくろに 頭(こうべ)垂れ」2級で現状維持

添削後
向日葵や 畜魂二十九万頭
一見字面は平凡だが「向日葵」は1970年公開の同名映画による「死者が向日葵畑の下に眠る」イメージがあり、宮崎県知事時代に口蹄疫で殺処分した29万頭の家畜の亡骸を埋めた土地に無数の向日葵を植え、毎年花が咲く度に鎮魂するという願いや想いを込め「マーベラス」と熱弁して夏井先生を感動させた。「むくろ」が「漠然としている」と指摘され添削を受けたが、本人が添削後の俳句を碑にしたいと発言すると視聴者からぜひとも実現させてほしいと多くの反響があった。

●[10]お題:秋の空(特待生のみの昇級昇段試験)
鉄格子 隙間さ迷う うろこ雲」3級へ1ランク降格

添削後
うろこ雲 行く独房の 鉄格子
県知事時代に視察した刑務所から着想し、受刑者の気持ちを詠った名句と語った。「独房」という重要な場所の情報が抜けているという点と中七の散文的な点を指摘された。場所とカメラワークを明確にするよう添削され、自身2度目の降格。

●[11]お題:コスモス畑
大拍手 空舞う コスモスのブーケ」2級へ1ランク昇格

添削なし
コスモスという乙女のイメージから結婚式のブーケトスに発想を飛ばした名句と語った。語順が秀逸と評され、「舞う」という擬人化の動詞が良い位置にあると褒められ、句を読む中で意味が変化していき、華やかさがマッチしていると評価。苦手な擬人化を克服すれば名人も近いと後押しされた。

●[12]お題:新春の富士山(特待生のみの昇級昇段試験)
初富士や 北斎の プルシャンブルー」1級へ1ランク昇格

添削なし
「プルシャンブルー」は紺青のこと。葛飾北斎がドイツから持ち帰った独特の青色の絵具で富士の浮世絵を描いたことから着想した渾身のチャレンジ句と力説。色の一点への絞り込み方が絶妙と絶賛され、季語を引き立てている夜明け前の富士山を想像させる句。自身を鍛える姿勢が褒められ、昨年1年の成長率は一番と背中を押された。

●[13]お題:梅と飛行機
紅梅や 1km10秒 縮めたり」名人初段へ1ランク昇格

添削後
紅梅や 1km10秒 縮めた
梅という清々しさと、普段の朝の皇居のランニングの様子から1キロあたり10秒タイムが縮まったことを素直に表現した句。「この人にしか詠めない句」と絶賛。自分の体験を詠んだ瑞々しさ、どのような人物かが想像できる表現力、俳句が何者か勉強してきた努力を先生はベタ褒め。悲願の名人に。

●[14]お題:梅と太宰府天満宮
梅東風や 千年分の 絵馬の鳴り」名人初段で現状維持

添削後
梅東風に鳴らん 千年分の絵馬
太宰府天満宮に祀られる菅原道真の名歌「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」から着想。1000年間の人々の願いが幾千もの絵馬の音で歴史を表現した久々の名句と語った。時間と空間を発想し「千年分の絵馬」に持っていく表現は見事だが、その素晴らしい表現を「鳴り」と早々と結論づけると味わいがなくなり「読み手を置いてけぼり」にしていると指摘され、語順を直された。

●[15]お題:二宮金次郎と桜
花散るや 尊徳像の 撤去跡」名人初段で現状維持

添削後
尊徳像 撤去の跡へ 散るさくら
近年学校から撤去される傾向の強い二宮金次郎像に思いを馳せ、その撤去後へ桜の花びらが散る寂しい様子を描写した名句と語った。上五に「思いが先走っている」とし、もののあはれを押し付けられる語順を指摘。映像をはっきりさせるよう添削された。

●[16]お題:満開の桜
野良犬の 吠える沼尻 花筏(はないかだ)第1回 俳桜戦優勝

添削なし
季語「花筏」は散った桜の花びらが水面にたまって流れる様子を表す。花筏の浮かぶ薄暗い沼地に向かって野良犬が吠えているという句で、花筏の下にあるミステリーを想像させる緊張感のある句。一句の作りや表現力が巧みと評され、視覚・聴覚・嗅覚を刺激し、語順が不穏な空気を作り出した。一句の世界の奥行きを見事に表現し、タイトル戦初優勝。
2017年4月月間MVH受賞句


●[17]お題:学校の傘立て
送り梅雨 船員送る 千の傘」名人2段へ1ランク昇格

添削後
送り梅雨 船送る 千の傘
海上自衛隊が赴任する光景を見て、家族らが傘を差して見送る様子を詠った名句と語った。梅雨明けが近いがときおり降る豪雨の中の船出を「送り梅雨」に託した季語の選択と「送り」「送る」と「船」「千」の韻が見事。より規模が大きく広く場面を描写するような添削を受けた。「千」は数を示すのではなく、数が多いことを示す美称であり、その「千」を「万」に変えるのはどうかと質問すると先生から「降格」をほのめかされた。

●[18]お題:海
夏の果 ボサノバと 水平線と第1回 炎帝戦3位

添削なし
具体的な場所は省き、水平線の向こうにボサノバが流れるブラジルがあり、それが果てのようで各語を呼応させた。五五七の調べを梅沢名人も絶賛。不協和音の調べが夏の終わりの気怠い調べで「ボサノバ」の音楽に似合っていると語順も評価。語順で調べを作ろうとしたと本人の意図通り成功した句。

●[19]お題:線香花火
牛売られ 牛舎の隅の 庭花火」名人2段で現状維持

添削後
おらぬ 牛舎の闇に 手花火す
季語の持つ侘しさや悲しさに、牛が売られて何も残らなくなった牛舎の様子を託し、畜産農家の微妙な心境を描写したと力説した句。ダイナミックな発想力は素晴らしいが、「詰めが甘い」と評され、「売られ」が説明的であり、「隅」「庭」という場所の情報がダブるのが勿体ないと添削される。「闇」で牛舎の匂いや「手花火」との対比も出るとダメ押しを受けた。

●[20]お題:お盆の帰省ラッシュ
鎌で切る 鶏の首 盆支度」名人3段へ1ランク昇格

添削なし
田舎の農家をイメージしお盆の殺生の残酷さと感謝の念を表現した一句。「季語が主役になっている」として、語順が絶賛された一句。最後に「盆支度」が来ることで、盆支度の様々な場面を想像できる膨らみをもつと高評価。

●[21]お題:夕焼けとレインボーブリッジ
秋夕焼 赤黒き 一〇〇〇グラムの吾子(あこ)」名人4段へ1ランク昇格

添削なし
「吾子」は我が子のこと。新生児医療の視察の経験をもとに、低体重の赤ちゃんが入る保育器に焦点を当て、親御さんがもつ希望や不安の心情を季語「秋夕焼」に託した一句。「秋」「赤」「吾子」で韻を踏み、字余りと破調にして体言止めで余韻を残した。「自己分析が客観的」であり、「赤黒き」の位置も評価され、読みながら意味がわかっていく語順も評価。梅沢名人も発想を大絶賛した。
2017年9月月間MVH受賞句

●[22]お題:紅葉
紅葉燃ゆ 石見銀山 処刑場第1回 金秋戦優勝

添削なし
何より「紅葉燃ゆ」が見事。戦国~江戸時代にかけて世界有数の採掘量を誇った石見銀山で、当時盗みを働いた鉱夫たちが銀山近くの処刑場で罰せられた逸話を「紅葉燃ゆ」の比喩で表現。世界遺産になってから「負の遺産」である処刑場の案内が消えたことを語り、処刑者の恨み辛みが何百年と残ることを俳句を通して後世に残し伝えていく姿勢を夏井先生も「カッコええ」と絶賛した。「銀」と「紅葉」の色彩的対比も高評価。

●[23]お題:綱引き
運動会 テントの中の 車椅子」名人4段で現状維持

添削後
運動会 テントに小さき 車椅子
運動会 テントぽつんと 車椅子
運動会 放送席に 車椅子
問題提起。大会関係者席のテントに車椅子があり、その持ち主が運動会に不参加の生徒であるという場面を詠んだ句。久々に「描写が雑すぎる」とし、車椅子の表情を描写すべきとされ、「これでは話にならない」と酷評された一句。最後の添削例は、「運動会に参加できないけど放送の仕事ならできる生徒の様子も浮かぶ」と提示された。

●[24]お題:犬と雪
柩追う 犬ごと攫(さら)う 雪しまき」名人5段へ1ランク昇格

添削なし
亡くなった飼い主の出棺で、霊柩車の後を追う犬の様子を容赦なく雪しまきが攫う様子を描写した句。「バランスが見事」と評され、「攫う」という擬人化も高評価。言葉の経済効率の見事さと「攫う」が季語の映像と犬の心情を同時に表現して「さすが名人」と絶賛。

●[25]お題:ラーメン屋台
冴返る 屋台の骨に 接(つ)ぐ義足」名人5段で現状維持

添削後
冴返る 屋台のに 接ぐ義足
季語「冴返(さえかえ)る」は、春の暖かくなりかける時期に寒さがぶり返すこと。ラーメン屋台の下に義足があり、大将が古い義足を置いて新しい義足に変えたイメージ。季語の凍えるような寒さと義足が支える人間のたくましさを屋台に表現したと語り、「やりすぎ」と一蹴された。取り合わせは良いが、「義足」でドキッとする。「骨」で屋台全体にいく視点を「脚」の下の方に持っていく視点にすべきと添削された。

●[26]お題:都会のたんぽぽ
ビル鎮火 濁水まみれの たんぽぽ」名人6段へ1ランク昇格

添削なし
ビル火災を消した後のたんぽぽに焦点を絞り、中七の擬人化で悩んだと語った。「臨場感のある破調」と評され、「ビル鎮火」が読み手を引き込む力技ではあるが、聴覚や嗅覚にも着目し、たんぽぽの健気さと再生のイメージも入っていると賞賛された。

●[27]お題:桜と富士山
花震ふ 富士山 火山性微動第2回 俳桜戦優勝

添削なし
桜と富士の呼びかけの兼題であり、浅間神社に祀られる桜の女神の歴史を力説。桜が我々に富士山も活火山であることを知らせていると語り、梅沢名人が降参した一句。ベタな題材だが意外性のある書き方をし、「花震ふ」は風ではなく火山の微動で揺れたという皮膚感覚と科学の言葉を詩の言葉にした表現力を絶賛し、タイトル戦3度目の栄冠。

●[28]お題:春の動物園
春深し 象舎の壁の 罅(ひび)長く」名人7段へ1ランク昇格

添削なし
象舎が老朽化で罅が長く、「春深し」と取り合わせた句。象自身も高齢でしわがあるのではないかと想像させられる。「季語選びのセンスが良い」と評され、「春深し」「罅長く」の呼応がさすがであると褒められた一句。

●[29]お題:学校のこいのぼり
こいのぼり さいのかわらに かがむ吾子」名人7段で現状維持

添削後
鯉幟 さいのかわらの 空如何(いかん)
鯉幟 さいのかわらの 空蒼し
「賽の河原」とは親を残して先立った子が行く三途の川の河原。子どもの日に揚がる鯉幟から発想し、鯉幟の前向きなイメージとは裏腹に三途の川で石を積む亡き子の幻想的イメージを詠った句。「下五が説明しすぎ」であり、前向きな意味を蒼く現実味のない空に託すよう添削を受けたが、「賽の河原」を取り合わせるチャレンジ精神は評価された。

●[30]お題:新緑の鎌倉
青嵐 黄綬受章の 父の眉」名人8段へ1ランク昇格

添削なし
黄綬褒章を受ける父をイメージし、眉にその方の人生経験が表れている様子を詠った句。「眉」をクローズアップした「焦点の絞り方が的確」と評され、季語「青嵐」が気持ちよく、「青」「黄」「白か黒」という色の対比も客観的に分析できており、客観視も絶賛された。


●[31]お題:梅雨の駅
梅雨明や 指名手配の 顔に×」名人9段へ1ランク昇格

添削なし
梅雨明けと指名手配の逃亡犯が捕まったという双方の安堵感がにじみ出た一句。「映像化ができている」と評され、梅沢名人にはこの発想はできないと賞賛され、見事単独トップの段位に立った。
しかし、この句は本記事冒頭にあるように盗作疑惑が持ち上がる問題句となり、夏井先生から性善説では盗作とは考えないが、以降は自身の作品と名乗らないことで決着した。

●[32]お題:離婚届
調停の 席着く妻の サングラス」名人10段へ1ランク昇格

添削なし
本人曰く想像で、「サングラス」は夏の季語。離婚調停で、妻が見られたいのか見られたくないのか微妙な心境や修羅場の様子を詠んだリアリティーに富んだ句。千原ジュニアはラテ欄にあったらドラマを見たいというほど絶賛する。「さすがの臨場感」が出たと評され、「席着く」という寸詰まりな言い方で妻側の緊張感がにじみ出た一句と絶賛され、見事梅沢に続く10段到達を果たした。

●[33]お題:ラジカセ
ラジカセに憑く 幽霊の 呻き声第2回 炎帝戦決勝7位(最下位)

添削後
ラジカセは 呻く幽霊 憑きしてふ
騒動後初の収録とみられ、動揺した東国原の17音に詰め込む悪いクセが出た一句。本人は「幽霊」を季語と思い込んでいたが、ほとんどの歳時記には載っておらず、無季の句と言い切るべきと断言された。ラジカセに幽霊が憑依しているのか、カセットテープから幽霊の声が流れているのか状況が正確に読み取れず、前者の意味に添削され、タイトル戦初の最下位に。

●[34]お題:夏休みの終わり
草茂る 洞窟のこと 他言せず」名人10段★1へ1つ前進

添削なし
少年時代の思い出に発想を飛ばし、うっそうと茂る草木の中に見つけた洞窟を誰にも言わなかったという心情を表現した句。「語らないで伝える力」と評され、洞窟内で起きた事件をもずっと秘密にしているのかという読みも成り立ち、季語「草茂る」の使い方も絶賛。あえて言わないことで読者の想像を掻き立てる表現力で見事に前進を決めた。

●[35]お題:駅の花屋
女店員の 首にキス跡 桔梗買う」名人10段へ1つ後退

添削後
桔梗(きちこう)を勧める にキス
桔梗勧める にキス
浜田が食いついた一句。作者は花屋の店員に恋心を抱いていたが、先客がいたのではないかというイメージを描写したエロスな句。「季語の印象が薄い」と評され、季語が「女店員」の強烈な印象に隠れてしまっているとして、季語の清楚さを押し出した大幅な添削を受ける。段位が下がるのは約2年ぶり。

●[36]お題:俳都・松山(俳句甲子園'18延長戦)
鰯雲 仰臥(ぎょうが)の子規の 無重力」審査員11人中9票で徳山高校に判定勝ち

添削なし
「仰臥(ぎょうが)」とは仰向けに寝ている様子のこと。正岡子規が晩年書いた『仰臥漫録(ぎょうがまんろく)』という日記の書名から着想。「鰯雲」は子規の闘病の末、意識が無重力状態となってできたものではないかと発想を膨らませた一句。俳句甲子園の会場がどよめくほど審査員も大絶賛し、夏井先生は子規の死後、死そのものが子規の体自身を無重力にしていくのではないかというイメージが「無重力」に込められていると評した。

●[37]お題:郵便ポスト
星月夜 赤ちゃんポスト 動きをり第2回 金秋戦決勝8位(最下位)

添削後
赤ちゃんポストに 赤ちゃん動く 星月夜
新生児の特別養子縁組をする施設「赤ちゃんポスト」と星月夜という希望を与える季語とを取り合わせ、下五のミスがなければ優勝も狙えた発想の一句。「動く」対象を明確にするよう添削され、タイトル戦は2連続最下位と分が悪い結果に。

●[38]お題:朝食の風景
炊き出しや 並べば遠き 秋の雲」名人10段★1へ1つ前進

添削なし
貧困者が炊き出しに並ぶ様子をイメージし、人々との思い出やこれからの人生の希望や不安を「秋の雲」に託した一句。「や」で上五をしっかり切ったことでファーストカットの画力が引き出されたと絶賛され、再び他の名人を引き離し単独トップに。

●[39]お題:結婚式
冬近し チリ人娶る 過疎の村」名人10段へ1つ後退

添削後
チリ人 娶る村々 冬近し
少子高齢化で地方に嫁が来ない。とうとうチリ人まで迎え入れる状況で、村は厳冬を迎える。国際結婚を題材に社会問題を提起した句だとしたが、「説明しなくても描ける」と評され、「過疎」「チリ人」「娶る」が冷え冷えした印象を与えるとされ、社会問題に軸足があると伝わるよう添削を受けた。再び振り出しに戻ることに。

●[40]お題:スーパー銭湯
湯冷めして 九条議論 終はりけり」名人10段で現状維持

添削後
九条議論 終は湯冷めの嚔(くさめ)にて
国会での憲法九条の議論に発想を飛ばし、銭湯でも庶民が議論していたが、湯冷めをしてすぐ終わるぐらいの軽い議論だったという政治家目線の句。発想はさすがだが、「~して~はり」の叙述が散文的で、「臨場感が足りない」と評された。「くしゃみ」をきっかけに議論を終わらせる光景にしたかったが、「湯冷め」との季重なりを避ける意図があったと本人は語り、季語を合体させる上級技の添削を受け、年内の前進はお預けとなった。


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